第39話 スミス
「──で、今迄に無い新しい魔法剣ってのは?」
スミスの工房の一室。山賊の様な大男、スミスが身を乗り出して聞いて来る。どうやら、俺の言葉に興味がある様だ。
「俺の聞いた話では、今ある魔法剣と言うのは属性が一つ。それも、製造する時に付与した初級魔法がベースだと聞いています」
炎の初級魔法なら、炎属性の剣。氷の初級魔法なら、氷属性の剣、と言う具合だ。魔法剣に付与されているのはその初級魔法と属性だけで、使う者の魔力に比例して、各属性の効果は変わるらしい。
「その通りだ。幾ら使う者の魔力が強くても、所詮は初級魔法。中級以上の魔法を込めた魔法剣には及ばない。勿論、中級以上の魔法も付与出来るが、そもそも、使いこなせる様な人間なんていねえからな」
「魔力が足りない……って事ですか?」
「それもある。人間は、亜人や魔族に比べて魔力が低いからな。人間でそいつを使いこなせる様な魔力を持つ者がいるとしたら、それこそ混血者くらいのもんだろうよ」
そう言って、スミスは葉巻に火を点けた。大きな口から豪快に煙を吐き出し、ドカッと背もたれに体を預ける。俺は、その様子を眺めながら別の事を考えていた。
(混血者は魔力が高いのか……?)
そんな俺の考えを見越した様に、ビビが耳打ちして来る。
「混血者は固有能力を使いこなせる様に、普通よりも強い魔力を持って生まれて来るのですわ」
なるほど。と言う事は、俺やアスカ……それに、ビビも問題は無さそうだ。そんな事を考えていると、スミスが痺れを切らした様に問いかけて来た。
「それで、それがお前の言う『新しい魔法剣』と、どういう関係があるんだ?」
スミスが厳しい目を向けて来る。俺は、自分の考えを纏めて記した、羊皮紙を懐から取り出した。そして、それをスミスに手渡しながら尋ねる。
「スミスさん。ひとつ教えて欲しいんですが……それ、造る事は可能ですか?」
俺の希望のみを羅列した、漫画絵の様なラフ案。しかし、口で説明するよりは伝わり易い筈だ。そう思い、密かに作成していたのだが……。
受け取った羊皮紙を食い入る様に見つめる、スミス。大きな目が一層大きく見開き、額には若干、汗が見える。どうやら、俺の言いたい事は伝わっている様だが……。すると、スミスはボソリと呟いた。
「こ、こいつは……」
明らかに驚きの表情を浮かべる、スミス。
「造れますか?」
もう一度、尋ねる。すると、スミスは真剣な顔で答えた。
「出来るか出来ねえかで言えば……技術的には、可能だ。だが、それには特殊な材料がいる。それに、そもそも、こんな物を造っても使いこなせる訳が……」
そうスミスが言おうとした矢先、勢い良く入口のドアが開かれた。まるで、ドアを蹴破る様にして工房に乗り込んで来たのは、さっき逃げて行った騎士風の男達。そして、その一番後ろに先程は見かけなかった、一人だけ立派な鎧を着た男がいた。恐らく、こいつがリーダーなのだろう。
そう思って見つめていると、その男は突然、怒鳴り始めた。
「貴様! 王国騎士団からの依頼を断ったそうだな! 一体、どう言うつもりだ!」
──偉そうに吠えるこの男、どうやら王国の騎士団らしい。ちょうどいい。スミスに俺の実力を見せつけるにはいい機会だ……。
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