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第35話 新たな仲間

「──聞かせて貰ってもいいか?」



 俺は、ヴィヴィアンに問いかけた。無理強いするつもりは無い。だが、何故か決意の籠もった彼女の目が気になった。ヴィヴィアンも今更隠すつもりは無いらしく、その想いを語り始める。


「私が一族内で固有能力(ユニークスキル)の発現を隠した事はお話し致しましたわよね。その想いも、理由も。ですが、私はその事によって気付いてしまったのです……」


「気付いた?」


 何を?


 そう付け加えようとする前に、ヴィヴィアンは付け加えた。


「王族内に蔓延る、固有能力(ユニークスキル)が発現しなかった者への差別です。固有(ユニーク)持ちでは無い者は、まるで出来損ないの様に扱われるのです……」


「……え?」


 傍らのアスカが、思わず声を漏らした。無理も無い。彼女の知るこの世界の現実とは、まるで逆の常識だからだ。固有(ユニーク)持ちは、汚れた混血。忌み子。そう差別され、これまで生きて来たのだから。


「驚くのも無理はありませんわ。世間の常識とは真逆の様ですので。でも、城の外(外の世界)を知らない私にはそれが常識でした。王家の血筋に生まれた以上、その能力(ちから)は王族の証。次代へ引き継がねばならない、大切な王族の誇りでしたので」


 確かに、固有能力(ユニークスキル)一般能力(ノーマルスキル)よりも強力な物が多いと聞く。王族は、自分達だけがその能力(ちから)を保有する事によって、一般市民を見下す傾向にあるのかも知れない。


「で、気付いた事と言うのは?」


 もう一度、同じ質問を投げかける。すると、ヴィヴィアンは少し悲しそうに、しかし、決意の籠もった表情(かお)で話し始めた。


「王族だけでは無い、この世界の歪な現実ですわ。私は、固有能力(ユニークスキル)を持たない為に、王族では差別を受けました。次代に能力(ちから)を残せない役立たずとして……。でも、それは良いのです。私が自ら選んだ事ですから……」


 確か、同族の男との縁談を断る為だったか……ヴィヴィアンが城を飛び出す決意をしたのは。まあ、元々、冒険者に憧れるくらいのお転婆ではあったみたいだが。


「しかし、私は身分を隠して民に紛れ込み、生活する様になった事で知ったのです。城では持っていない事で差別された固有能力(このちから)が、今度は持っている事で差別の対象になる事を……」


 混血者に対する、この世界の扱い。どうやらヴィヴィアンは、その現実をその時初めて知ったらしい。王家と市民の固有能力(ユニークスキル)に対する認識の矛盾。固有(ユニーク)持ちの王族でありながら、その存在を隠しているヴィヴィアンだからこそ気付けたのかも知れない。本来、町ではされる筈が無いと思われた差別の対象になる事で……。


「おかしいと思いませんか? 同じ人間でありながら、一方では王家の証として持て囃され、一方では邪教の証として忌み嫌われる。そんな、歪なこの世界を……」


「……」


 思う所があるのだろう。真剣な表情で訴え掛けるヴィヴィアンに、アスカは無言で考え込んだ。もしかすると、こんなに混血者への差別を否定する人間は、アスカも、村の連中以外では初めてなのかも知れない。幾ら、ヴィヴィアンも混血であるとは言え、彼女は王族だ。おそらく、こんな事を言う王族等、今まではいなかったのだろう。


「私は、この差別(歪み)を無くしたいのです。固有(ユニーク)持ちは……混血者は邪教の信者なんかでは無い。こんなに優れた人間だと。実績を積んで、冒険者の皆さんを始め一般の民の方々に。そして、その民意を盾に、いつか王族にも純血を見下す風潮を正させたい……!」


「……ヴィヴィアン」



 ──ヴィヴィアンの語る、壮大な夢。それは、奇しくも俺やアスカが望んだ世界でもあった。この時、俺とアスカはヴィヴィアン……いや、ビビを正式に仲間として迎える決意を固めた。


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