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第30話 ヴィヴィアン

※明日2019/06/09は私用の為、更新出来ないと思います。月曜日からまた投稿を再開しますので宜しくお願い致します。

「──ユ、固有能力(ユニークスキル)……」



 アスカが呟いた。


 そう言えば、アンクは言っていた。この世界の魔法は、使える者がいても殆どが初級魔法か中級魔法。上級魔法やそれに匹敵する様な物は、ほぼ固有能力(ユニークスキル)である場合が多いと。確かに今、目の前で使用された炎の魔法は、明らかに初級の威力では無かった。ならば、固有能力(ユニークスキル)だと考える方が、確かに自然なのかも知れない。


「とりあえず、無事で良かったけど……。まさか、こんな所で混血(なかま)に出会うとはな……」


 或いは、王族。固有能力(ユニークスキル)を持っていると言う事は、王家の血を引いている可能性がある。言われてみれば、襲われていた美女は、確かにどこか気品の様な物を感じさせる。


「ハァ……ハァ……」


 肩を揺らすその美女は、まだ少し動揺している。余程、蛇が苦手なのだろう。今の攻撃を見ても、全く持って容赦無い。見るのも嫌、と言う感じだった。一刻も早く、目の前から消えろと言わんばかりに。


「大丈夫ですか?」


 間を見計らい、俺は彼女に声をかけた。ようやく俺達の存在に気が付いたのか、彼女はビクリと反応してこちらに振り向く。


「え、ええ……。問題ありませんわ。それより……」


 彼女は少し焦り気味で、言い辛そうに口を開いた。


「いつからそこに居ましたの? そ、その……見ました? 今の……」


炎の魔法(ユニークスキル)の事ですか?」


 隠さず、正直に答える。すると、彼女は諦めた様な表情(かお)で溜息をついた。


「ハァ……。見られた物は仕方ありませんね。仰る通り、今のは固有能力(ユニークスキル)ですわ。私は、王家に名を連ねる者ですので」


 やはりか。


 まあ、混血者にしては身なりもいいし、それ以外で固有(ユニーク)持ちは考えられない。本人も、その辺りは十分理解している様だ。


「私は、オルキア王国の第三王女、ヴィヴィアン。でも、今はその身分を隠していますの。貴方達、今見た事は忘れて貰えるかしら?」


 そう、少し上から目線で話す彼女、ヴィヴィアン。


「で、そのお姫様が、何で護衛も付けずにこんな所へ? しかも、身分を隠してまで…」


 素朴な疑問。幾ら俺がこの世界の常識に疎いとは言え、普通に考えれば有り得ない状況だ。


「何の刺激も無いお城(うち)に居たら、退屈で気が滅入ってしまうもの。それに……」


 おいおい。


 どうやら、このお姫様はとんでも無いお転婆らしい。見た目は清楚系その物なのに……。そんな彼女は、更に続けた。


「お城では、私が固有(ユニーク)持ちだと言う事は隠していますの。もしバレたら、一族の固有(ユニーク)持ちと結婚させられてしまいますので。好きでも無い男と一緒になるなんて、真平御免ですわ」


 そう言いながら、ヴィヴィアンは仕立ての良いワンピースから肩口を覗かせた。そして、星形の痣をシールの様に剥がして見せる。


「……偽物?」


 脇にいたアスカが、そう呟いた。その言葉に、ヴィヴィアンが答える。


「そう。星型の痣(これ)は、偽装ですわ。混血者の血が薄い私達王家の人間は、15歳になるまで純血(ノーマル)混血交じり(ユニーク)持ちかわかりませんの。それまで、どちらも発現しませんからね。そして、15歳の誕生日に、突然(それ)は現れますの。体のどこかにね」


 そう言って、今度はスカートを捲り上げるヴィヴィアン。ドキリとして少し動揺する俺を他所に、ヴィヴィアンは太股を曝け出した。チラリと目を向けた視線の先に、俺やアスカとは違う意匠(デザイン)の紋様が視界に入る。俺達がそれを見た事を確認すると、ヴィヴィアンは悪戯っぽく笑って告げた。



「──だから、私は固有能力(ユニークスキル)が発現した事を隠しましたの。王家(うち)を飛び出して冒険者になる為にね」


読んで頂いてありがとうございました。

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