第20話 アスカの本性
「あら、凄い。貴方も加護持ちなのね、クロス君。えっと……加護の名は『短剣使い』ね。レベルは……え? レ、レベル……『ニ』!?」
驚きの表情を浮かべる、アリス。しかし、実は俺も驚いていた。
自分のレベルが『ニ』になっているのは、知っている。アスカと出かけたあの日、俺はあの後、更に数体の魔物を倒してそれを感じていた。そして、それを裏付ける様に、俺の肩にある紋様も変化している。なので、別にレベルが『ニ』だと言われても驚く事は無い。
しかし、『短剣使い』と言う一般能力を手に入れていたのは知らなかった。しかも、レベル『ニ』。確かに、短剣捌きは上手くなっている様な気はするが。もしかして、一般能力の熟練度は固有能力に比例しているのだろうか。
そんな事を考えていると、アリスがプレートを手渡して来た。そして、少し興奮気味に話し始める。
「凄いわね……その歳で加護持ちな上に、レベル『ニ』なんて。しかも、冒険者向きな戦闘能力。見た目も悪くないし……これはもしかして、かなりの優良物件を引き当てたかしら?」
最後の方は少し聞き辛かったが、何やら、急に色目を使い出したアリス。すると、突然、背筋を冷たい物が走った。悪寒。ふと目をやると、傍らにいるアスカの瞳が輝きを失っている。ドンよりと重い空気を纏い、ジッと無表情でアリスを見つめていた。
「クロスに近付く悪い女。殺す……」
気のせいか、凍えそうな冷たいオーラが見える。開いた瞳孔と同じ、碧い殺気……。異変を察知したアリスは、慌てて弁解を始めた。
「じょ、冗談よ? アスカさん! わ、私はギルドの担当として、アタリの冒険者を引いたかなぁ〜って! あはは! わ、私達にもノルマとかあるからさ……」
まるで命乞いでもする様に、必死で誤魔化すアリス。だが、それも無理は無い。それ程、アスカの放つ殺気は凄まじかった。
「……そう。冗談……ですか。それは、早とちりしてすいませんでした……」
全てを凍らせる様な殺気を収め、アスカはニコリと微笑んだ。その言葉とは裏腹に、特に反省している様子は無い。
「ははは……い、いいのよ。気にしないで。はははは……」
若干、顔を引きつらせて応えるアリス。相当、恐ろしい物でも見た後の様な表情だ。おそらくもう、彼女はアスカには逆らえないだろう。何故か、そんな気がする。
「──クロス。手続きは終わった。行きましょう」
短く、そう促して来るアスカを見て、俺は思った。もしかして、彼女は、余り怒らせてはいけない種類の女なのかも知れない、と──。
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