第17話 始まりの町
三章スタートしました!
「──大きな町……」
思わず、アスカは呟いた。
ここは、オルキア大陸の東側。人間が治める領地のちょうど真ん中、タストと言う町だ。様々な石造りの店が建ち並び、大勢の人が行き交っている、その大通り。名もなき村の少し南側にあたるこの町は、この国では二番目に大きい町らしい。
人間の国。
名は『オルキア王国』と言うらしい。この大陸の名前、そのままの名だ。王政が敷かれ、大陸の東を治める国。この町の少し南には、その王都があるそうだ。
「とりあえず、まずは今晩の宿だな」
よく整備された石畳の上を歩きながら、俺は、アスカにそう告げた。程なくして、ベッドを模したデザインの看板が目に付く。西部劇で見た事がある様な、両開きのウエスタンドアを潜り、中へ。酒場も兼ねているらしい一階では、既に何人かの客がいた。俺は、そのまま奥のカウンターへと歩みを進める。
「いらっしゃい! 泊まりかい?」
声をかけて来たのは、恰幅のいい女性だった。どうやら、彼女がここのオーナーらしい。
「はい。部屋は空いてますか?」
ニコニコと上機嫌なその女性に、俺は尋ねた。
「ああ、勿論空いてるよ。ベッドが二つあるタイプの部屋でいいかい?」
その女性は、アスカの方をチラリと見てそう言った。
「いや、出来れば別々の──」
「──その部屋でお願いします」
俺が断ろうとした矢先、アスカが返答に被せて来た。
「はいよ! ダブルの部屋だね。素泊まりで一泊、銅貨六枚。朝食付きだと銅貨七枚だよ!」
俺が口を挟む暇も無く、あっという間に話は纏まった。まあ、幸いベッドは別々の様だし、仕方ない。そう思う事にして、俺はそれ以上、無粋な事を口にするのを控えた。
因みに、この国の通貨は全部で三種。銅貨、銀貨、そして金貨。其々、十枚で一つ上の貨幣になる。細かく言えば、価値が半分になる半銅貨と言う物もあるらしい。金貨十枚の価値になる白銀貨等は、庶民には関係ないそうだ。
「じゃあ、朝食付きでお願いします。とりあえず、三日程」
そう言って俺は、銀貨二枚と銅貨を一枚、カウンターの上に置いた。
「ちょうどだね。はいよ!」
目でカウンターの硬貨を確認し、部屋の鍵を手渡して来る。俺はそれを受け取り、そのまま後にある階段に目を向けた。
「その階段を上がって、一番奥の部屋だよ。食事する時は声をかけとくれ! 夕食もここで食べれるから、良かったら使っておくれよ」
そう言ってニッコリ笑い、その女性はそのまま続けた。
「私はこの宿のオーナー、ケリーってんだ。何か困った事があれば、いつでも声をかけとくれ!」
「はい、ケリーさん。ありがとう」
軽く挨拶を交わし、俺は部屋へと向かった。ギシギシと音を立てて、階段を上る。二階の廊下には、右手側に五つの扉があった。
「この一番奥か……」
右手に持つ鍵でドアを開け、中に入る。とりあえず荷物を下ろし、俺はようやく一息ついた。
「これから、どうしますか?」
特に、目的もあても無い旅。強いて言えば、この世界を見て回る事か。だからかも知れない。アスカはそう、これからの行動を尋ねて来た。
「そうだな。やっぱり異世界と言えば、まずはアレだろ」
なんの事かサッパリ、と言った表情のアスカ。そりゃそうだ。こんな話、俺にしかわからない。
「──とりあえず、冒険者ギルドに行ってみよう」
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