第56話
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堺で、フランス人と会って交渉を終えた後も、堺の有力者たちと立て続けにあった。その中で千利休とかもいて、茶湯の指導をもらったりといろいろ頑張った。そして堺に到着してから1週間半後、僕は京に向けて出立した。父上も、後始末を家臣に任せることで、京に行けるそうだ。父上の使者が教えてくれた。京の今川邸はかなり大きく、1万人の兵を収容できる。更に今川軍の駐留部隊のために、京都奉行所の建設を許可してくださったそうで、三千はそちらにいるそうだ。更に邸には駐留兵五百がいるそうだ。全て京都駐留専用の部隊だ。武蔵で訓練していた各国に配置する用の部隊を置いた。少し予備部隊もいたしな。それに京都には京都奉行藤枝氏明がいる。彼は今川家京屋敷の留守居も勤めている。彼を通じて今川家との通信は行われているのだ。
「若殿、お待ちしていました。」
「藤枝か?よく迎えにきたな。しかしわざわざここまでありがとう。」
「いえ、私を取り立ててくださった若殿に早くお会いしたかったので。」
「そうか。ご苦労であった。行くか。」
「はっ」
藤枝は京都奉行として治安の取り締まりなど忙しいはずなのに、わざわざ京の入り口まで僕を迎えにきてくれた。僕は領内を主に通ってきたからとても護衛が少ないが、藤枝が1000も連れてきたので、かなり威厳がある一行になったと思う。京の民衆は今川家の権威の高さを見るだろうな。嫡男でこれなんだから。
京の様子は僕がさった時よりも安定しているように見えた。治安が良くなっているのだろう。道端に貧民を見ない。それに武士の崩れ、足軽みたいな人もうろついていない。氏明はうまくやっているようだ。
「藤枝、」
「はっ」
「京の統治頑張っているようだな。前より景色がマシになっている。後で視察に回る。案内せよ。」
「はっ」
しかし京の賑わいは堺はもちろん駿府にも負けている。長年にわたる戦乱で荒廃したのであろう。それが少しずつ復興していると言う感じか。京は帝、義兄上の座すところで首都なのにこれでは酷いな。もっと復興していく必要があるだろうが、20ヵ国を治める今川家の領都、駿府には勝てないだろうな。加賀は九谷焼きなどがあるし、結構いいな。これから発展するだろう。富樫家が権力を失って以来荒れていたであろうあの3国を早急に復興させねば。一向宗の禁止なども父上やその家臣たちはやっているだろうし婚儀は5日後だ。父上も早急に向かっているだろう。予定では明後日着くはずだが、どうなるのかはわからない。そこへ大きい建物が見えてきた。
「若殿こちらが今川邸で、こちらが上様の御所です。」
「そうか。すごく近いな。」
「はっ、上様はとても良い土地をくださいました。」
「そうだな。義兄上に感謝致さなければ。」
今川邸はとても大きかった。予想以上だ。規模としては御所よりも大きいのではないか。まあ華やかさは御所が勝つし、今川家や諸大名が少し献金して建設を援助したからかろうじて、体裁は整っているが。一様規模もほんの少しだが、御所の方が大きくなっている。しかしこう見ると今川家はすごいな。




