⑯我ら○○○攻略パーティ
【ホラー要素あり】
暗闇で生まれた俺達は、基本一匹狼である。
しかしそんな俺に対し、どういうワケだか同士が話を持ちかけてきた。
「噂で聞いたんだが、どうやら、ちょっと危険だけど……上手くいけば適度に水や食料を確実に確保する事ができるルートがあるってよ」
なんだか怪しいが、挑む価値があると判断し、俺はそのルートへと向かうのだが――。
最初に目を覚ましたのは、暗闇の中だった。
そしてそこには俺と同じく、闇の中で生まれた同士がたくさん居た。
しかし俺達には、群れようとする気は起きない。
この暗闇が無くなる先に、如何なる困難や敵が待ち構えているのか分からないというのに……一匹狼な親から生まれたせいかな。
しかし俺達は、そんな無駄な思考はすぐにやめて……動き始める。
明るい場所には……いや、暗い場所にも敵は居たけど、ある意味では明るい場所に居る敵の方が手強いかもしれない。
だけど、どちらかと言えば綺麗で清潔な場所で生活したい俺達は……危険を承知で明るい場所へと足を運ぶ。
叩き潰されたり罠に嵌まったりして、同士がたくさん死んだ。
くそっ! いったい俺達が何をしたんだ!
俺達はただ、綺麗で明るく、少なくとも水が確保できる場所で動き回りたいだけなのに!
「おい、知っているか?」
すると、そんな時。
群れないハズの同士が俺に話しかけてきた。
「噂で聞いたんだが、どうやら、ちょっと危険だけど……上手くいけば適度に水や食料を確実に確保する事ができるルートがあるってよ」
なんだぁそりゃあ。
だが、リスクはあれど……挑んでみる価値はありそうだった。
そして俺は、同士に教えてもらったルートで楽園を目指す。
そこは今まで俺が生きていた暗闇……よりも少々ぬめりが多いルートだ。
俺は足には自信があるが、このぬめりは少々厄介だ。周りを見ると、他の同士もこのぬめりに苦戦しているようだ。
「ッ! 水が流れ込んで来たぞ! 避けろ!」
前を歩いていた同士が絶叫する。
前を見ると、滝のような水がルートに流れ込んで来ていた。
「「「「うあああああ!!」」」」
同士の1部が水に押し流され、奈落の底へと落ちて行った。
「くそぉ! 〝連中〟の生活する時間帯だったか!」
残った同士が悪態を吐く。
しかしすぐに別の同士が「諦めるな!」と叫んだ。
「どうやら〝連中〟の生活時間らしいが、このルートの出口を使う時間はそう長くはないハズだ! 俺達が出口に到着する頃にはすでに使用は終わっている!」
「くそぉ! なんとしてでも進むしかないってのかよ!」
それからも、何度も滝のような水がルートに流れ込んだ。
しかしいつしか、水が流れ込んで来なくなった。どうやら〝連中〟は、出口の使用を止めたようだ。
「よぉし! 一気に行くぞ!」
同士の掛け声に、残った同士が応える。
ぬめりが少ない所を選んで、俺達はついに明かりがこぼれる出口へと――。
※
「フンフンフ~~ン♪ ……ッ!? AIEEEEE! ゴ〇ブーリィッ!」
しかし、出口――浴室の排水溝を出た直後だった。
俺達ことチャ〇ネゴキ〇リは、浴室の湯船から出ようとした瞬間の敵――人間のメスに見つかり……その身に大量のシャンプーを浴びせられた。
ちょ、おい待てそこは呼吸のためのあ、なが――。




