第八十五話 合衆国西海岸進攻作戦 その14
はい、前回の続きを話します。
日本海軍がサンディエゴの合衆国海軍基地の破壊を作戦目標としたのは、太平洋の制海権を日本のものとするためでした。
合衆国西海岸には、他にも合衆国海軍基地はありますが、最大の合衆国海軍基地が壊滅すれば、太平洋における合衆国海軍の活動は低調になります。
もし、南北戦争で南部連合国が敗北し、南部連合国が合衆国に併合されていれば、日本が手が出ない東海岸で合衆国は海軍を再建し、数年後には日本海軍の数倍の艦隊が出現していたでしょう。
しかし、南部連合国が存在する世界では、それは困難でした。
南部連合国空軍は、合衆国東海岸の造船所に戦略爆撃をしていました。
造船所は、合衆国海軍航空隊と対空砲に守られていて、造船施設に対してあまり損害は与えられませんでした。
戦後に判明したことですが、合衆国政府は、南部連合国との開戦を決断した時点で、軍事予算を陸軍優先とし、海軍は現状維持となり、造船所は開店休業の状態でした。
合衆国海軍は抵抗しましたが、ワシントンD.C.にある合衆国政府としては、広大な太平洋を挟んだ日本よりも、地続きの隣国である南部連合国の方が脅威でした。
合衆国海軍は、現有兵力で日本海軍に対抗しなければなりませんでした。
合衆国陸軍が南部連合国を再併合して(合衆国海軍と陸軍は予算や権限をめぐり激しく対立していましましが、海軍は陸軍の勝利を確信していました)、合衆国海軍が日本海軍により、壊滅的な損害を受ければ、戦後も軍事予算は陸軍優先となり、海軍は大艦隊の再建が不可能になります。
合衆国海軍は、自らの組織防衛のために日本海軍との戦いに勝利しなければなりませんでした。
日本海軍は、サンディエゴ海軍基地を第一目標としていて、合衆国太平洋艦隊との艦隊決戦は二の次でした。
太平洋艦隊が健在でも、後方支援基地が壊滅すれば、活動できなくなるからです。
日本海軍は、この作戦のために、戦艦八隻、空母八隻を投入しました。
戦艦は、大和型戦艦二隻、長門型戦艦二隻、金剛型戦艦四隻でした。
扶桑型戦艦、伊勢型戦艦は低速のため、本土待機となりました。
空母は、「赤城」「加賀」「翔鶴」「瑞鶴」「蒼龍」「飛龍」と新たに加わった「隼鷹」「飛鷹」でした。
空母「隼鷹」「飛鷹」は、商船改造空母でしたが、南部連合国との交通のための高速客船として建造されたため、商船としてはオーバースペックの最高速力三十ノットであり、正規空母との同行が可能でした。
続きは、次回に話します。
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