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第八十話 合衆国西海岸進攻作戦 その9

 はい、前回の続きを話します。


 パナマ国家警察の小銃・機関銃を装備した部隊は、一般の警察と区別するために「パナマ国家警察予備隊」と名づけられました。


 計画段階の仮の名称として「武装警察隊」というのもありましたが、「武装組織であることを全面に出すべきではない」ということで、この名称になりました。


 パナマ政府内部には、警察予備隊を足掛かりにして、パナマ国軍の復活を目論む勢力がありました。


 まず、戦車を手に入れようとしました。


 パナマ合衆国軍合同司令部はもちろん認めようとはしませんでした。


 次には、対戦車ライフルを手に入れようとしました。


 協議の末、合同司令部は認めました。


 パナマ警察予備隊が対戦車能力がなければ、予備兵力として頼りないからです。


 対戦車ライフルの訓練をするには、戦車が必要です。


 パナマ警察予備隊は戦車を保有していないので、合衆国陸軍から戦車を派遣してもらうようにしました。


 しかし、合衆国陸軍の都合で戦車が用意できないこともあり、訓練ではトラックに戦車のハリボテをした車両に戦車の代役をさせなければならないことが多かったのです。


 パナマ警察予備隊は、「訓練用戦車」をパナマ合衆国軍合同司令部に求めました。


 パナマ合衆国軍合同司令部は、最初は難色を示しましたが。


 パナマ警察予備隊が、戦車の運用能力を持って、合衆国に反抗された場合のことを考えたのです。


 結局は認めましたが、パナマ警察予備隊に供与する「訓練用戦車」には制限を設けました。


 供与するのはM3戦車で、砲は封印し、機銃のみを射撃可能にしました。


 砲は使えませんが、「本物の戦車」が手に入ったので、パナマ警察予備隊は一応満足しました。


 次の段階は、「砲が使える戦車」を手に入れることでしたが、これは難航しました。


 現地のパナマ合衆国軍合同司令部も合衆国政府も、それは頑として認めなかったのです。


 パナマ警察予備隊は、「M3戦車の正式な大量配備、ただし、砲は搭載せず機銃のみ」を代案として提案しました。


 パナマ合衆国軍合同司令部は、「砲がない戦車は脅威にならない」と、これを認めました。


 パナマ警察予備隊のM3戦車は、多数の機銃を装備した「歩兵制圧用戦車」という名目で配備されました。


 そして、パナマ合衆国軍合同司令部が、パナマに日本海軍特務陸戦隊が侵入したと判断し、パナマ全土に戒厳令が発せられた時、パナマ警察予備隊のM3戦車は出動し、主に市街地の警備につくことになりました。


 それが歴史に残る事件を引き起こすことになりました。


 続きは次回に話します。

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