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第五十三話 南部連合国対合衆国その22

 はい、前回の続きを話します。


 南部連合国海軍の「ターゲット・タイプ・A」によるノースカロライナ艦隊に対する攻撃は、戦艦「ノースカロライナ」を浸水させ速力低下、駆逐艦数隻撃沈という結果であり、新兵器の初陣としてはまずまずの戦果と言えるでしょう。


 しかし、撃退には失敗しました。


 速力は低下しましたが、ノースカロライナ艦隊の司令官は作戦の続行を決断しました。


 作戦がスケジュールより遅れるだけで、特に問題はないと判断したからです。


 南部連合国軍にとっては、そのスケジュールの遅れが金塊よりも貴重になりました。


 その時間で南部連合国海軍航空隊と空軍がノースカロライナ艦隊に対する部隊を用意することができたからです。


 この時間を稼いだのが、「ターゲット・タイプ・A」の最大の戦果と言えるでしょう。


 南部連合国海軍航空隊だけでなく空軍もノースカロライナ艦隊への対艦攻撃を準備していました。


 戦時中は「南部連合国海軍航空隊と空軍が見事な連携をしてノースカロライナ艦隊を攻撃した」と新聞・雑誌・ラジオで報道されました。


 そのため戦後に制作された映画などでも、そう描写されているので、ほとんどの人は現在でも「南部連合国海軍航空隊と空軍は見事な連携をした」と思っています。


 しかし、実際は違います。


 戦後、二十年以上経過して公開された情報によると、南部連合国海軍航空隊と空軍は「連携が取れていた」とは、とても言えず。むしろ、「バラバラに行動していた」と言えるものでした。


 原因は「セクショナリズム」でした。


 合衆国陸海軍ほど酷くはありませんでしたが、南部連合国陸海空軍にも「縄張り意識」はありました。


 戦艦「ノースカロライナ」に対して戦果を挙げれば、軍事の素人であるほとんどの国民に対して何よりも分かりやすい自軍についての宣伝になります。


 海軍航空隊と空軍は「一番槍」を争いました。


 ノースカロライナ艦隊の上空に先に到達したのは空軍でした。


 Ju88爆撃機が海軍航空隊の一式陸上攻撃機より早く到達できた理由は、空軍が航空魚雷を保有していなかったからです。


 海軍航空隊は航空魚雷の調整に手間取り、出撃が遅れました。


 空軍が航空魚雷を保有していない理由は、縄張り意識からくるもので「魚雷は海軍の管轄」とされていたからです。


 Ju88には護衛の戦闘機は随伴していませんでした。


 空軍のBf109戦闘機は航続距離が短く戦闘海域まで往復するのは不可能だったからです。


 上空には護衛空母を発艦したF4Fワイルドキャット戦闘機が待ち構えていました。


 続きは次回に話します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ここまで読んだら、ミッドウェー海戦を思い浮かべました。 空海連携した整然とした攻撃じゃくて、バラバラな五月雨式の方が守る側は対応に隙ができるのかもしれませんね。 しかも、戦艦だから爆撃→雷…
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