第三十九話 南部連合国対合衆国 その8
はい、前回の続きを話す前に南部連合国の航空戦力について話します。
南部連合国の航空戦力は大きく二つあります。
空軍と海軍航空隊です。
南部連合国空軍は陸軍航空隊を母体としており、ドイツ空軍の影響が強い組織です。
南部連合国海軍航空隊は日本海軍航空隊の影響が強い組織です。
空軍が装備するのはドイツ空軍の機体をライセンス生産した物であり、海軍航空隊は日本海軍航空隊の機体をライセンス生産した物でした。
空軍は本土上空での航空作戦を目的としていました。
海軍航空隊は空母を保有していないため、基地航空隊による南部連合国近海での洋上航空作戦を目的としていました。
南部連合国軍は、陸軍・海軍・空軍の三つの軍がありましたが、三つ軍の間の軋轢は少なかったのでした。
なぜなら、南部連合国軍で参謀組織を持っているのは陸軍だけで、海軍と空軍は陸軍参謀本部の指揮下に入ることになっていました。
もともと、南部連合国軍が陸軍と海軍の二つの軍だった時に、海軍は陸軍にくらべて規模が圧倒的に小さく、南部連合国近海での活動が主な目的であり、陸軍の指揮下にあった方が合理的と考えられたため、陸軍が優位としました。
南部連合国空軍が建軍されても、合衆国の陸海軍の対立が酷い軋轢を生んでいるのを反面教師として、空軍も陸軍参謀本部の指揮下に入れました。
陸軍軍人しか軍のトップになれないというのは問題がありましたが、陸軍参謀本部は海軍と空軍からも人員を受け入れ、後々には海軍・空軍軍人もトップになれる「国軍参謀本部」に組織変えをすることを確約していました。
さて、南部連合国の防空体制について説明します。
南部連合国において防空を担当するのは空軍でした。
戦闘機部隊だけでなく、要所に設置されている高射砲も指揮しており、海軍の戦闘機部隊も緊急時には指揮下になることになっていました。
空軍には一元的に防空を指揮する防空総司令部が戦前からありました。
南部連合国領空内を飛行する航空機は軍用機も民間機も常に監視下にあり、各地にある監視所からの目視情報やレーダーによる探知情報が、防空総司令部に一元的に集約されました。
もちろん、合衆国領空から南部連合国領空に向かう航空機も、すべて監視下にありました。
前回に話しました大量に化学肥料を積んだ民間機も当然、防空総司令部の監視下にありました。
監視のために戦闘機一機を随伴するように防空総司令部から指示が出されましたが、日常的な業務に過ぎず。
防空総司令部はその機体を特に警戒はしていませんでした。
続きは次回に話します。
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