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砂浜の戦いと、船長のたくらみ

 砂浜で、激しい戦いが始まった。


『グオオオオオオーッ!!』


 ボルドンは、砂浜を突き進みながら、荒れ狂って前脚を振り回し、猿の海賊たちを、ばばばばばーん! とまとめて吹き飛ばしていく。


「おらおらおらーっ! てめえら、小せえ子供相手に、調子に乗ってんじゃねえ! かかるなら、俺にかかってこいってんだ、おらあぁ!」


 ディールは、子供たちを背中にかばって、竜巻のように槍を振り回し、


「子供たちはみんな、後ろへ下がれ! ……さあ、今度は、我らが相手だ! 命が惜しくない者は、かかってくるがいい!」


 ガーベラ隊長も、子供たちを守りながら、飛びかかってくる猿の海賊たちを、ばんばん蹴散らしていく。

 タータさんは、


「あんな小さい子たちをいじめるなんて……絶対に、許せません! 反省しなさぁぁぁぁい!」


 ドバババババババ! と怒りの百連続パンチを出して、猿の海賊たちを吹っ飛ばし、フレイオは、


「炎よ!」


 と、杖の先から、ゴオオオオオーッと魔法の火を噴き出させて、


『ウキャキャキャキャーッ!』


『あっちゃちゃちゃちゃちゃぎゃーっ!』


 お尻の毛に火がついた猿の海賊たちは、砂浜を走り回り、次々に海の中へ飛び込んだ。

 また、こっちでは、


『ふんっ!』


 ガジッ!


『ウキャアーッ!?』


『ふんふんふんっ!』


 ガブガブガブッ!


『ギャギャギャギャギャーッ!?』


 みんなの足元を、疾風のように駆け抜けながら、ブルーが、猿の海賊たちの足に次々と噛みついて、痛さのあまり飛び上がらせている。

 猿の海賊たちは、痛さのあまりと、怒りのあまりに、足をばたばたさせて、ブルーを踏みつぶそうとするけど、


『ふぅんっ!』


 タタタタタターッ! ガジッ!


『ウギャアアアアーッ!』


 ブルーは、目にもとまらぬ速さで身をかわして、逆に相手の体を駆け上がり、耳に噛みついて攻撃する。

 そしてマッサは、空を飛ぶ魔法で、猿の海賊たちのあいだを、びゅんびゅん飛び回り、たくさんの敵の注意を、自分に引きつけておいてから、


「とおおおおおぉっ!」


 と一気に急降下し、すべるように低く飛びながら、猿の海賊たちが慌てて突き出してくる武器を、


 スパパパパパーン!


 と、自分の剣で、まとめて叩き切っていった。

 マッサの剣は、さわっただけで岩も切ってしまうほどの切れ味を持っているから、猿の海賊たちの、さびた武器なんかは、包丁でバナナを切るよりも簡単に、真っ二つになってしまう。


『ウキャキャキャキャーッ!?』


 手に持っていた剣の、刃のところがなくなって、持つところだけになってしまった猿の海賊たちは、大慌てだ。

 そこへ、


「えええーいっ!」


 カーン! と、ものすごい音がして、猿の海賊のひとりが、ウギャー! と叫んで、ひっくり返った。

 見ると、そこにいたのは、大きなフライパンをかまえたチッチだ!

 チッチは、みんなが戦っているなか、すばやく走って自分の家に戻り、おかあちゃんのフライパンを持ち出していた。

 それで、猿の海賊のむこうずねを、思いっきり、ぶっ叩いたんだ。


「よくも、あたしたちのいえを、むちゃくちゃにしたわねーっ!」


 カーン! と、またフライパンで一撃されて、猿の海賊は、ばったり、のびてしまった。

 チッチの活躍を見た子供たちは、歓声をあげ、ひとり、またひとりと、チッチと同じように、猿の海賊との戦いに加わりはじめた。

 武器は、そのへんにあるもの、何でもだ。

 襲いかかってくる猿の海賊には、足元の砂をつかんで投げつけて、目つぶしをしたり。

 二人で一組になって、落ちている長いロープをひろい、ひとりずつ、端っこを持って、海賊のまわりを走り回って、海賊の足を、ぐるぐる巻きにしてしまったり。


「おい、待て、お前ら、あぶねえぞっ!」


 子供たちの大活躍は、ディールも、思わず、慌ててしまうくらいだ。


「俺の前に出るなーっ! 槍が、当たる! 戦うなら、俺たちと、並んで戦えっつうの!」


     *


 そんな砂浜での戦いのようすを、海の上の海賊船から、猿の海賊の船長が、じいっと見つめていた。

 船に残った手下の猿たちは、味方の苦戦に、おろおろしているけれど、船長だけは、慌てずに、何かを考えている。


『おい!』


『はいっ!?』


 急に、船長に呼ばれて、手下の一人が、あわてて走ってきた。

 船長は、近くまで来た手下の肩を、がしっとつかんで、船べりに連れていった。

 手下は、ひええええ……と、もう少しで気絶しそうになった。

 船長は、機嫌が悪くなると、手下の海賊のなかから、気に入らない者を、海に放り込んで、海賊船を引っ張る大海蛇のえさにしてしまうからだ。


『おい!』


『は、は、はいいっ!』


『おまえ、あそこにある林が見えるな。』


『へっ、えっ? 林、ですか!?』


『見えるな、と、きいているんだ。』


『はっ、はい、はい! 見えます、見えます!』


 泣きそうになりながら手下が言うと、船長は、砂浜での激しい戦いのようすは無視して、少し離れた林のほうを指さした。


『あれは、何だと思う?』


『えっ、えっ!? あ、あ、あれはですね、あれは、林です!』


『ばかやろう! そんなことは、わかっとる。』


 船長は、ごん! と手下を殴って、もう一度、林のほうを指さした。


『あの林の中に、何か、置いてあるように見えんか。』


『えっ……?』


『よく見ろ! 木のすきまに、たたまれたマストのようなものが、二本、見えるだろう。

 そういえば、王子たちが姿を現したのも、あの林の中からだった。これは、あやしい。

 もしかして、王子たちは、あそこに、船を隠しているのではないか?』


 船長が、ぱん、ぱん、と手を叩くと、別の手下たちが、大きな木の箱を運んできた。

 中には、クッションがわりの砂がいっぱいに詰められていて、その砂の中に入っていたのは、スイカの実くらいの大きさの、黒くて丸いものが入っていた。

 本物のスイカだったら「へた」にあたるところから、つるみたいな、ひもが出ている。


『せ、せ、せ、船長。何ですか、こいつは?』


『こいつはなあ、だ。』


 船長は、にやりと笑って言った。


『……ん? いや、違ったかな。どこどん? いや、ぼこぼん? ……ええい、そんなこたぁ、どうでもいい!

 とにかく、こいつは、大魔王さまが、さいきん発明なさった武器でな。中には、大魔王さまの、炎の魔法が入っている。

 こいつを、ドカーンとやっちまえば、何でもかんでも、木っ端みじんってわけだ。』


『す、すげえ! こいつを、ドカーンとやって、王子と仲間どもを、ぶっ飛ばすってわけですね!?』


『いや、いや。情報によれば、王子は《守り石》を持っているからな。自分も、仲間も、それで守ってしまうかもしれん。

 狙うのは、やつらの船だ。

 ほら、砂浜のありさまを見ろ! 残念ながら、今の俺たちの戦力では、やつらを倒すことはできんようだ。

 だが、船さえ壊してしまえば、やつらを、足止めすることができる。俺たちは、そのあいだに島に引き返して、大魔王さまに報告し、もっと大勢の仲間を連れて戻ってきて、王子たちを倒すというわけだ。』


『すげえ! さすがは、船長! 完璧な作戦です! じゃあ、今からさっそく、この、だくだんだか、どこどんだか、ぼこぼんだかを使って、あいつらの船を、吹っ飛ばしましょう!』


『そうだな。』


 船長は猫なで声を出して、手下の両肩を、がしっとつかんだ。


『しっかりやれよ。』


『……えっ?』


『今から、おまえが、こいつを持って、ボートに乗って、あの林に行って、船を吹っ飛ばすんだ。

 向こうに着いたら、船のそばに、こいつを置いて、この導火線に、火をつけるんだぞ。』


『えええーっ!?』


『何だ、文句でもあるのか? いやだと言うなら、おまえを、大海蛇のえさにしてやる!』


『えええーっ!? わ、わ、わ、分かりました、分かりました! やります!』


『途中で、ぶつけたり、落としたりするんじゃねえぞ、いいな! 火をつけなくても、この、黒いいれものが割れただけで、ドカーンといくからな。よくよく、注意しろ。』


『ええええーっ!?』



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