所用
村が形になってきて、余裕が出来たので、久しぶりにエイディアスの街に顔を出した。
「あ、店長久しぶりです。もう店長から村長になるつもりなのかと思ってましたよ」
店に顔を出すと、アンズから皮肉を言われた。
「そんなつもりは毛頭ないな。目的が果たされれば次に移るさ」
後ろにはエキオンだけでなく、ナーもいる。
あまり余計な話はしたくない。
ノヴァクも街に用事があるとかで、入り口までは一緒だったが、街に入るとすぐに別れた。
貴族院に報告をしに行ったのだろう。
ご苦労な事だ。
アンズはエキオンにも挨拶したが、エキオンは当然無視した。
アンズが余計な事を話すと面倒だな。
「スミス。店はどうだ?」
「スケルトンが14体売れました。やはり、先頃の戦いでのカドモス様の噂が広まっているようです。ビフロンスには精強なスケルトンが揃っているとの評判も合わせて広がっているようで」
アンズの興味はナーに移ったようで、誰です?その人?とか何とか言っている。
特に紹介する気も無いので、やはり無視だ。
「何せ、今いるスケルトンはその戦いをくぐり抜けてきた奴らだからな。その辺りも強調して売れ。またどこかでスケルトンを調達しないと不味いな」
墓荒らしをする気は無い。
この間の戦いで敵軍にもかなりの死者が出ていたが、それももう既に街の外の墓地にまとめて処理されている。
この辺りで骸骨を調達するのは難しいだろう。
暇を見て、またダンジョンにでも潜る必要があるな。
「在庫は近いうちに何とかする。あまりにも売れる速度が早い時は、すぐに連絡しろ。場合によっては村のスケルトンを何体かこっちに寄越す。なんなら予約という形を取る事も考える必要があるかもしれん」
スミスに指示を出し、すぐに店を出た。
アンズは最後までナーとじゃれあっていた。
あまり気の合うふたりではなさそうだった。
親父の店にも顔を出した。
「よう。英雄様じゃないか。久しぶりだな。一部じゃ貴族ごっこを始めたって話だったが飽きたか?」
「まあな。ここらでそろそろ本業の事も考えないとな」
親父の羽振りも良くなっているようだ。
いやに機嫌の良さそうな笑い方をしている。
「護衛に人を使うとは珍しいな」
後ろに立つナーを見て口にした。
「お目付役さ。注目度が上がると面倒も増えるって事だ」
「なるほど。なら、俺の所にお目付役が来ないのは、後で文句を言う必要があるな?」
そう言って笑う。
「頼んでた物はどうだ?」
「既に入ってるよ」
そう言って、裏から一塊の包みを持って来た。
ナーがいるからか、親父は余計な事を言わずに渡す。
「代金は店から貰ってくれ」
サインだけは先に渡した。
スミスにも話は通してあるので、問題は無い。
包みを少しだけ開いて確認する。
親父の事は信頼しているので、間違いは無いだろう。
「分かった。後で顔を出しておく。しかし、そんな嬢ちゃんを連れ回していい身分だな」
「言ってろ」
軍にも少し顔を出した。
以前にワグナー将軍から、何かあったら使えと言われていた連絡口を使って、手紙を頼んだ。
世話になった相手だ。
さすがに何も連絡無しという訳にもいかないだろう。
ナーにも、顔を出す必要がある所があれば、好きにしろと言うと、特にありませんと言われた。
多分、俺の知らない所で報告書の提出なり、人に会うなりしているのだろう。
目的を果たしたので村へと戻る事にした。
ノヴァクはノヴァクで勝手に村に戻ってくるだろう。




