表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
町のはずれで小さなお店を。  作者: buchi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/47

第25話 婚約発表!

ごとごとと馬車が動き出す。


隣には同じように正装に身を包んだロアン様。気のせいか、ずっとこっちを向いて座っている。目が合ってしまうので、仕方なくて窓の外を見ている。


ドレスに着替えた私を見て、ロアン様はゴボゴボ咳き込んでいた。それから足早に部屋に入ってくると、手を取って「急ごう」とかなんとか言い出した。そのあとはずっとチラチラ見まわしているので、なんだか怖い。



誰のパーティで会場はどこなのか。


伯爵家の令息ロアン様が出席されると言うなら、それ相応のパーティだと思うけど。


「モレル様」


「ロアンと呼んでくれ」


いや、伯爵家の令息に失礼ですから。


「会場はどちらでしょうか」


「俺んちだ」


ちょっと待って?


「モレル伯爵邸ですか?」


「そうだ。本邸の方だ」


わあああああ。伯爵家主催のパーティ? そんなパーティで、伯爵家の令息が女性を連れてきて婚約者だと言い出したら、冗談で済まなくなる。


「安心しろ。主催者は伯爵ではない。俺だ。幸い両親は旅行中なんだ」


幸い? 私はロアン様の顔を目の玉が飛び出るほど見つめた。ますますダメじゃない!

ロアン様はちょっと照れた。照れる場面か?


「まだ、正式に両親に紹介していないので、気づまりかなと思って、そこは心遣いした。俺主催にした方がいいだろう。お前の両親もまだ戻ってきていないし」


その心遣いは心遣いなのか? ほかに方法がありそうなもんだけど?


「ご両親が戻ってきてからパーティをすればいいのでは」


私は途切れ途切れに言い出したが、全否定された。


「今すぐのパーティーじゃないとダメだ。この間も説明したろう。この二週間が危険なんだ」


えらい力の入れようなので、口を挟めなかった。


「俺が婚約者に名乗り出れば、ジェロームなど声もかけられなくなる。そのためのパーティ出席だ」


ふはははは……とロアン様は満足げに笑ったが、私は全然笑えなかった。



パーティ会場には、ほかの参加者と同様に馬車で乗り入れた。主催者だけど。


「なるほど。坊ちゃまがお選びになるだけあって、本当にお美しい」


ロアン様、黙る。どうしてそこで寡黙になるの? 私の前ではあんなにぺらぺらしゃべっているのに。


私、美人ではないし、ロアン様の隣だなんて恥ずかしいわ。きっとあちこちの令嬢からクレームがつくと思うわ! 不釣り合いだって。


家臣?一同がお屋敷のお坊ちゃまと、その付属物(私のことだ)をうやうやしく迎え入れた。もう、針の(むしろ)、いたたまれない。私は平民なのに。


主人がいなくてもパーティの準備が滞りなく出来るくらい使用人が優秀らしい。さすが伯爵家。


大きな広間はざわざわ人声がして、すでに人が入っているらしい。緊張するわ。



訳知り顔の執事が広間のドアを開ける。


光が明るい! 大勢の人たちが見ている。全員見ている。


私は手を引かれて、広間へ入った。


声が通る執事が声を張って私たちを紹介した。


「お集まりの皆様。お待たせいたしました」


ざわめきが広がり、会場の全員が私たちを見た。視線が痛い!







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ