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変質者&下ネタ注意
「レン、けっこう動けたんだね」
「アンには負けるけどね」
結果的に死屍累々となった、その場所から離れる。
すぐに他の気配がしたので、教官達が脱落者を回収にきたのだろう。
「いや、ボクはレンに負ける。飲み水とか回収するなんてよく考えついた
ね」
「水が無いなら持ってる人から貰えばいいから」
奪えば良い、の間違いでは無かろうか。
脱落者には不必要と言えば不必要なので、自分達が有効に使えばいいと言うのには賛成だが。
「それよりも、ボク、ちょっと気になることがあるんだけど」
「なぁに?」
「魔法が使えないはずなのに、どうやって先生達はボクたちを監視してるんだろ?」
「うーん、たぶんだけど。生徒限定で魔法を使えないようにしてるんだと思う」
「あ、なるほど。生徒限定にすれば関係ないのか」
そうして山というか森の中をどんどん進んでいく。
進むなかで、木の実などの確保も忘れない。
中には、食べると一時的に身体能力を上げてくれるものもあるので、生身でドラゴンと戦うには丁度いい。
と、また気配がした。
最初に仕掛けてきたのは別のクラスのグループだった。
それも真正面からだった。
今度はどうだろうか?
向こうはこちらに気づいているか?
それを、感覚を研ぎませつつ慎重に探りながら進んでいく。
途中で、この試験に参加している生徒にしてはなんというか違和感があるくらいその気配が計算され消えては現れ、消えては現れていることに気づいた。
教師達だろうか?
それにしては、何か違う。
その違和感を突き止めようと、アルストレーナは足を止めて周囲の気配を探る。
魔物の気配もあるが、その中でやはりずっと感じている気配だけが異様だった。
魔物ではない。人の気配だ。
しかし、先生達とも生徒達とも違うそれ。
何よりも気配はするのに、その場所がわからない。
視線は感じるのに、どこから見られているのかわからない。
薄気味悪い感覚に、久しぶりにアルストレーナは軽い恐怖を感じた。
「ね、レン」
止まって、気配を探っていたアルストレーナはレンへ声をかけた。
同時にレンもアルストレーナへ声をかける。
「アン、あれ見て」
小さな囁くような声で、そう言ってレンは少し離れた場所を指し示す。
アルストレーナは、そちらを見た。
背の高い草の茂みから、馬のような頭が見えている。
どうやら、魔物だけでなく普通の動物もいるようだ。
「先は長いかもだし、ここで動物性たんぱく質をゲットしておくのも手じゃない?」
レンの提案に、アルストレーナも賛成する。
レンがすぐに動き出した。
ここでは、見晴らしが悪い。
そのため、より優位な場所へと移動したのだ。
アルストレーナも気配を消して、馬を刺激しないようにする。
しかし、それを嘲笑うかのように馬がいきなり動いた。
ガサガサと茂みが揺れ、アルストレーナによく見える位置にその姿を現したのだ。
その姿を見て、アルストレーナは動けなくなってしまった。
この時、アルストレーナは自分の経験していないことや、予想外過ぎることが起きると人間と言うものは頭が真っ白になるという事を実際に体験した。
姿を現した馬は、頭は馬だが、体は人間だった。
そう言う亜人がいることは知っていたが、アルストレーナが知っているのは上半身が人間で下半身が馬である種族だ。そして、一番の問題はその格好である。
頭から下、つまりは人間部分が全裸だったのだ。
体つきは鍛えているのか、いわゆる細マッチョである。
最後の良心なのか、股間の部分には大きな葉をお面のように切り取って形にしたものが張り付けてあり、男を象徴する部分を何かの角で表していた。
「............」
馬だか人間だか魔物だかよくわからない、その馬頭と目が合ったような気がした、直後。
その馬だか人間だか魔物だかよくわからない馬頭が、アルストレーナに向かって猛ダッシュをしてきた。
草で隠れているところから、男性を象徴する竿が激しいダッシュによってブラブラ揺れチラ見する。
理解の出来ない存在を見て、そしてよくわからない恐怖に襲われたアルストレーナは、この世の終わりのような悲鳴をあげた。
「いやぁぁぁああああアアア!!??」
と、そこに馬だか人間だか魔物だかよくわからない馬頭の動きを止めようとレンの弓が襲いかかる。
その襲いくる弓矢を、馬頭の気持ち悪い存在は殴ってへし折ったり、つかんでへし折ったりしてしまった。
ヤバイ。
これは、ヤバイ。
出会ってはいけない存在である、とアルストレーナの脳味噌が遅すぎる警告を出す。
怖くて足が震えて、うまく動けなくなってしまう。
もうすぐそこまで気持ちの悪い馬頭が迫ってきた。
「アン、逃げて!」
小さい頃、父親であるトールと一緒に入浴するときに普通に見ていた、しかし他の存在のブツが、隠された葉っぱの向こうでブラブラとさらに激しさをまして揺れているように見えた。
思わずアルストレーナは目をつむってしまった。
彼女は、ほぼ涙目であった。




