表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/52

17

 生徒会を筆頭に、委員会というものが存在する。

 捜査委員会というのはそんな委員会の一つである。

 風紀委員会からの協力要請があると、この委員会は動き始める。

 この捜査委員会ができた理由の一つに、天空第一総合学校が荒れたということがあげられる。

 学生運動とやらが活発化した時期と、不良になるのが一種のステータス扱いとなった時期があるのだ。

 当時の風紀委員だけでは、過激な活動をする生徒と不良に対処しきれなくなったのだ。

 その時、この学校の創設者が直々に、数人の腕に覚えのある生徒を集めて火消しに動いたのが始まりであった。

 

 「だいたいの事情はわかりました」


 現、捜査委員会委員長である魔族の少年が風紀委員会からの依頼書を受け取り、いくつか気になる点を確認する。

 この学校、基本来るものは拒まない。

 なので種族の坩堝だったりする。

 魔族の生徒だけでなく、かつて人類を滅ぼそうと暗躍して勇者パーティに集団暴行の刑を受けた魔王や邪神なんかも教師として雇われていたりする。

 

 「しかし、改めてこちらに、捜査委員まで連絡、というか依頼がくるというのも珍しいですね」

 

 「ですねぇ。まぁ、久方ぶりの質の悪い生徒のあぶり出し目的もあるようです」


 「問題のある生徒は、あの賢者が推薦人の生徒、か」


 「はい」


 「編入してきてからの授業態度や生活態度は?」


 「どちらも、先日の情報提供があるまでは問題などは見受けられませんでした。

 生徒指導の教師も件の生徒ーーアルストレーナを指導した者一名を除いて、それとなく注意をして見ていたらしいですが、報告にあったような問題行動は特に起こしていないという事です」


 「そうですか。わかりました、あとはこちらにお任せを」


 そうして風紀委員との会話は終了した。

 依頼書を持ってきた風紀委員が捜査委員会の使用している部屋を出ていき、完全に気配が遠退いてから、捜査委員会の委員長であり魔族の少年ーーエルドは、今まで委員同士のやり取りを見守っていた代理の担当教師を見た。

 その担当教師は、妙齢の絶世の美女であった。

 落ち着いた、春のスーツを着込み美しいピンクの髪を束ねている。


 「エステル先生は、どう思われますか?」


 「どうって?」


 「この生徒の件についてです」


 「そうだなぁ。可愛い子だな」


 「いえ、そう言うことが聞きたいんでなくて」


 「めんどくさいから説明を飛ばして言うと、シロだな」


 「その説明をお願いします」


 やれやれと面倒そうに、エステルは依頼書と一緒に風紀委員が持ってきた資料を見る。


 「ここにそのアルストレーナさんとやらが、男子とイチャイチャしてさらには如何わしい、あはんうふんな行為をしたらしいって書いてあるけどその相手の男子の名前が不明だろ。

 んでもって一番問題なのはその場所だ。ここには第十三空中訓練庭園って書いてあるよな?

 ここに何があって、利用したことのある生徒からなんて呼ばれてるのかお前知ってるか?」


 第十三空中訓練庭園というのは、別の場所に浮かんでいるこの学校の私有地の一つである。

 騎士学科や冒険者学科の生徒が、利用する施設の一つである。

 似たような空に浮かぶ施設が他にも存在していたりする。

 移動は、校内にある転移ゲートを使えば自由に行き来できるが、授業以外で生徒が好んでいく場所ではないのは確かだ。


 「え、訓練用の森とかじゃないんですか?

 呼称については、今まで利用したことがないんで知りません」


 「それも、ある」


 それ〈も〉?

 言葉尻が気になりエルドは首を傾げる。

 

 「ここな、一応行き来は自由に出来るがナニをするには適さないんだ。

 何故なら」


 そこでエステルは指をぱちんと鳴らした。

 途端に部屋の景色が変わる。

 目の前に広がるのは青い空と、海岸、そして大きな海。

 その大きな海では、山のように巨大なカイザーホエールと呼ばれる魔物が、同じように巨大なシードラゴンと死闘を繰り広げていた。

 と、今度は巨大な影がエルドとエステルの二人に落ちる。

 エルドが見上げると、八つの長い首を持つドラゴンが凶悪な口を開けて業火を吐こうとしているところだった。

 そこでまたパチン、とエステルが指を鳴らした。

 すると景色が変わり、元の部屋に戻ってきていた。


 「わかったか?」


 コクコクとエルドが頷いた。


 「何なんですか? さっきの場所」


 「この捜査委員会の本来の担当者であり、この学校を作ったバカが、趣味で作った自分用の特別訓練場所だ。

 一年生の授業内容だと、そもそも第一から第三空中訓練庭園までしか使わないから、あんな感じの場所だって知らないだろうし、自由に行き来出来るって言っても自主訓練に使う場合は使いますよーって申請出さなきゃだしな。

 で、導き出されるのは、そもそもこの話自体が嘘か捏造されて流されてる可能性だ」

  

 そこで、一旦言葉を切ってエステルは苦笑を浮かべると続けた。


 「で、あそこを作ったバカが付けた名前だがな。

 【極楽地獄(エデン)】だ」


 皮肉が効いてるだろと言わんばかりである。


 「とにかく、噂だけじゃ確証がないからな。

 というわけで、ちょっと仕掛けてみよう」


 「仕掛けるって、何をどうするんですか?」


 「アルストレーナさんだったか?

 その生徒を餌にする。

 クズはすぐに釣れるはずだ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ