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とある転生者の宇宙放浪記  作者: 結城明日嘩
青年期

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ケルンvs参謀科1位

 ケルンと参謀科の対戦が始まる。ケルンはロッドを構えたまま待ち受けるようだ。普段のロッド戦であれば、自分から仕掛ける方が圧倒的に多いが、魔導騎士では思うようにいかないのだろう。

 一方の参謀科も一気に攻め掛かる様子はなく、ジリジリと間合いを詰める動き。参謀という役職から慎重さを求められるという事か。


 ふと魔力感知に反応があってつぶさに観察してみると、ケルンの機体から魔力が広がっていた。薄く伸ばした魔力は、魔導騎士に影響を及ぼす様なものではない。

 それもあって参謀科は仕掛けを慎重になっているのだろうか。


 ただ放出されている魔力も徐々に広がっていて、その先端が相手の機体に触れる。が、そこでも特に変化は起こらない。

 それを感じてか、参謀科も動き始めた。

 スラスターを吹かせて一気に近づく。大剣を振りかぶって横薙ぎに一閃。それをケルンはわずかに下がる事で避ける。しかし、まだ反撃には出ない。静かなケルンというのは珍しく感じる。


 参謀科は更に踏み込み、逆から再度の横振り。それもまたケルンは下がって避ける。間合いを完全に測れていた。

 2度避けられた参謀科はより深く踏み込み、袈裟斬りに大剣を振るう。これまたケルンは下がって避けようとするが、参謀科は踏み込みの足を更にスラスターを吹かす事でより深く入り込む。


 本来なら足を踏みしめ武器を振るわないと、威力も出ないし大剣の重さに引っ張られて体勢を崩す。しかし、参謀科の1位は重心を下げつつ腕関節に余裕を持たせた振りで、インパクトのポイントを調整し、目測を誤らせる一撃を繰り出していた。

 これに対してケルンはわずかに前へと踏み出しながら、ロッドで受ける事で打点をズラし最大威力が出る前に受け流す。


 互いの機体が接触し合う距離。ケルンが生身であれば、持ち前の戦闘センスでロッドの間合いでなくても戦える。

 しかし、最小限の動きで凌いでいる現状、そこまでの動きは期待できなかった。

 参謀科が大剣から片手を離してケルン機のロッドを押さえにかかる。そのまま肩口から体当たり、そのまま上に伸し掛かろうとした。


 しかし、ケルン機もロッドから片手を離し、体当たりに来た肩を横向きに押すことで、自身の体を逃がす。

 その時に足を残して、参謀科の機体を躓かせようとした。この足をきっちり踏み越えて見せる参謀科の腕は確かだ。

 更に参謀科の機体に変化があった。その背後から2本の腕が生えていく。折りたたんでいたものを伸ばしたのだろう。その腕を使ってケルン機に掴み掛かる。


 ケルン機の両肩を上から押さえつけようとした。ケルンにもそれは分かっていたようだが、密着した状態での攻防で動ける余地がない。

 苦渋の決断であろう、ロッドを握っていた手を使って追加腕の一つをブロック。完全に体を固定されるのは回避する。

 しかし、これで武器を失っていた。


 両手に大剣とロッドを持った参謀科は一旦距離を取ろうと後退を試みる。武器を失ったケルンとしては、そのまま逃がすとかなり不利。必死に追いすがる。

 参謀科が下がる分、ケルン機も前進。そのまま5mほど動く間に、参謀科は追加腕の方で殴りかかった。それをケルンも両腕で捌く。

 参謀科がホバーでの後方移動から、右足を地面に付ける事で急ターンを試みるが、ケルンはそれにもついていった。急転回は機体のバランスを崩しやすいのに、それをやってのけられるほど、きっちりと制御している。


「ケルンの奴、ここまで制御できるようになってるじゃないか」


 序盤の動かない姿勢で、そこまでの制御ができないと思わせておいて、実際はかなりスムーズな動きを手に入れていた。

 ケルンはロッドの訓練に重きを置いていたが、無手での格闘もかなりの水準で修めている。それに対して参謀科は4本の腕を持つものの2本は武器で塞がっており、追加腕の方はあくまで補助的なもので、可動域も制限されているようだった。


 後退する参謀科と前進するケルン機。現時点の優位はケルンにある。追加腕を上方に弾き、がら空きになった胴体部分へと掌底を突き出した。

 コックピットのある胴体は魔導騎士でも最も装甲の厚い箇所。魔導騎士の腕力でも無手では有効な打撃は与えられない。が、無手格闘の鎧通しと呼ばれる衝撃を鎧の内側へと叩き込む技を、魔導騎士で再現して見せていた。


 後退する中で、更にケルン機に押される形となり、バランスを崩した参謀科は仰向けに倒れる。後退しながらだったので、鎧通しの衝撃はそこまで伝わってはいないはず。それでもかなりコックピットを揺さぶられたのだろう。転倒した参謀科の機体は動き出す気配がなかった。


『勝負あり、勝者歩兵科ルーデリッヒ』


 審判による勝ち名乗りが上げられ、ケルンの勝利が伝えられた。倒れて動かない参謀科の機体に救護班が駆け寄り、コックピットを強制解放。中を覗き込んで、生徒の体を引っ張りだす。

 観客がざわめく中、救護員の1人が両手を上げて丸を作った。

 どうやら生存確認されたらしい。

 それを見て観客もワーッと歓声を上げた。




 参謀科1位を歩兵科3位のケルンが撃破するという大番狂わせに、観客の興奮が高まっている中、当の本人はメリッサに何やら注意を受けながら控室へと戻っていった。

 さて、次は俺とルイスの1戦だな。


 運搬用のパワードスーツが参謀科とケルンの魔導騎士を運び出し、続いて俺達の魔導騎士を運んでくる。

 どちらもシンプルな量産品の魔導騎士だ。ただ俺の機体はクラス対抗の間だけ貸し出される機体に対して、ルイスの物は二学期以降専用機として貸与されている物。ルイスに合わせてチューニングされているはずだ。


 俺は片手剣と盾という防御寄りの装備。対するルイス機は片手剣をそれぞれの腕に装備した二刀流を選んだらしい。手にしているのは刀ではなく、サーベルの様だ。刺突系の武器ではあるが、斬ることもできるタイプ。

 魔導騎士の武器はどちらかと言うと、無骨な叩き切る感じの大剣系の武器が多い中、細身のサーベルはあまり見ない。


「剣術に自信があるって事かな」


 俺は魔導騎士に乗り込みながら、戦い方をシミュレートする。宮本武蔵に代表される日本の二刀流は、左の太刀で受けて、右手の太刀で攻撃する様なイメージだ。

 しかし、それは盾を持つ習慣の無かった日本での戦い方。こちらの攻撃を武器で受けても、こちらも盾で受け止めれば済む。

 線と線で受け止めなければならないルイスより、面で受け止められる俺の方が優利ではある。


 俺の機体に装備されている盾は、半身を隠せる様な方形の盾。デメリットとしては、視界を遮る点と小回りが効かない点か。それなりの重量があるので、機動力にも影響はある。

 それ以上に受けやすいというメリットが勝つわけだが。


「まずは相手の出方を見つつ、カウンター狙いが妥当だな」


 方針を固めつつ、機体を起動させる。授業ではその日によって乗る機体が変わるが、クラス対抗中は同じ機体なので、昨日動かした感触が残っている。

 手足へと魔力の巡りを感じつつ、身体強化のイメージで制御を行う。この数ヶ月でかなりスムーズに動かせる様になっていた。


 右足を引いて、左の盾を前に構える俺に対して、ルイスは左右の剣を両手に下げたままの自然体の構えだった。


『はじめっ』


 互いの準備が整った事を見て取った審判の声が響いた。

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