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とある転生者の宇宙放浪記  作者: 結城明日嘩
王国編

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ドヴェルグ星系の食

 ドヴェルグ星系の食堂へと向かい、アイネ達と合流した。テーブルを見ると既に幾つか注文がなされていて、ウインナーやハンバーグといった肉料理が並んでいた。


「コボルト星系では見かけなかった料理か」

「惑星で飼ってるって」


 居住可能な惑星の名前もドヴェルグらしい。そこでは畜産業が盛んで色々な家畜が飼われているらしい。

 高重力環境なので足が太かったり、本数が多い動物がいるようだ。


「ふむ……」


 ひとまず置かれているウインナーを食べてみると、肉質は固めだが旨味が強く、噛めば噛むほど味が染み出してくる。

 高重力環境だと筋繊維が発達しやすいのだろう。脂肪分は少なめの赤身肉だと思うが、肉本来の美味さが濃く出ていた。

 ウインナーでこれならばとハンバーグを食べてみると。


「固っ」

「だよね〜」

「赤身100%で作ってるのか……これだけ肉に旨味があれば、繋ぎを入れて緩めに作った方が美味いだろうな」


 混じりっ気のない素材100%が美味いなら、そのまま焼くだけでいいのだ。ハンバーグという形にするなら、肉に応じた配合というものがある。

 ただ単なるブタや牛って訳じゃなさそうだな。鳥系ではないのは確かなので、哺乳類かそれに近い種だとは思う……虫系じゃないよね?


「船の修理には時間が掛かるだろうから、惑星に降りる機会もあるだろう」

「新しい食材!」


 リリアのテンションが高い。高重力環境下で独自の進化をしてきた原生生物は見たことがないものばかりだろう。

 植物も縦に伸びることが難しく、樹木も自重を支えられないので低木に限られる。そのため果物などは種類がないそうだ。

 その代わり根菜などが独自の発展を遂げており、果物のように甘い蜜を内部に蓄えた芋や蕪の様な野菜があるらしい。


甜菜てんさいとも違うみたいだな」

「甜菜?」

「砂糖が取れる野菜だな。かなり甘い」


 俺も前世で少し食べた事がある程度だ。汁を絞って砂糖を作るのは、サトウキビと変わらない。しかし、この星の根菜は根本的に違うみたいで楽しみだ。


「後は実食してのお楽しみだな」

「うん」




「で、ぶっちゃけコボルト星系でまともに稼ぐ前に出てきたので資金が不足しています」

「そうですか。どこかを襲いますか」

「海賊ムーブは厳しいですね。この星系も王国から海賊を送り込まれているので、不審な活動をすると軍が派遣されます」


 アイネの海賊主義はどこで埋め込まれたんだろうか。あの培養カプセルを出た時から船長になりたがったりしてたもんな。アイネの記憶結晶を取り込む前の素体にも既に別の魂が植えられていた可能性はあるか……その辺を調べるにはあの研究所の博士達の知識が必要になる。

 本人達がどうなったかも、知識がどこへ逃されたかも分かっていない。ネットで情報を集めていたウィザードですら見つけてなかった。

 ただまあその辺の事は今の問題とは無関係だ。


「ひとまず小型宇宙船を売却して、修理用の費用を捻出しつつ、中古の船を探します」


 元帝国の諜報船だったあの船は、共和圏で改装したが中身的には高性能な宇宙船だ。売ればそれなりの価格で下取りに出せるだろう。

 それでフロンティアラインの修理を行う。ただ開拓船とステーションを行き来できる小型宇宙船は必要なので、型落ちの安い民間船を買っておきたい。


「……まあ、良いでしょう」


 少しの逡巡はずっと乗ってきた船を手放す名残惜しさか。


「戦闘艦は買えないのですか」


 違った、戦力ダウンが嫌だったみたいだ。


「軍の払い下げ品は、かなりの型落ちしか市場には出てこないので、民間の中古以下の物しかないんですよ」

「仕方ありませんね。どこかで鹵獲するまで我慢しましょう」

「いや、戦闘艦なんかとやり合いませんからね!?」


 小型の戦闘宇宙船としては、コルベット艦などがあるが、それらの船でも現役なら民間船の比ではない火力武装をしている。海賊船を狩る側の船だ。それらを鹵獲しようとするのも無謀だし、そもそも軍を相手にしたら、また追われての移動になってしまう。

 宇宙を旅するのに反対はないが、追われながらの旅というのはそろそろ止めて落ち着きたかった。


「ただまあ、多少なりと稼ぎたいので海賊狩りの仕事を受けようかと」


 海賊と言いながら王国からの回し者だったりするんで普通の海賊よりも装備が良かったり、パイロットの腕が良かったりするみたいだが。

 王国が侵攻する前に侵略先の戦力を測るための先遣部隊みたいなものらしい。

 それが分かっていても止められないのが、この辺の宙域の難点だな。通商連合として近隣の星系から派遣軍が出張っているが、侵略戦争を繰り返す王国軍の練度には及ばない。

 なので積極的に傭兵ギルドにも海賊狩りを依頼する土壌があるというわけだ。


「半分王国軍ですが、正規軍に比べると装備の質は落ちるんでやれるかと」

「そうですね、戦力を下げない為にはしっかりと稼ぎましょう」

「分かっていただけて何よりです」


 海賊狩りをする間は今の宇宙船とアイネの魔導騎士で戦うのが良いだろう。宇宙船のスペックはあった方がいい。まとまった金ができたら宇宙船を担保に修理を始めてもらう。売りに出す宇宙船を乗り回すわけにはいかないだろうしな。

 いや修理する開拓船自体を担保に修理を始めて貰うのはありか。

 修理が終わるまでに十分な資金が集まれば、小型宇宙船を売らなくて済むかもしれない。


「じゃ、その方向で話を進めますね」




 情報端末で傭兵ギルドに繋ぎ、今の討伐状況を調べておく。王国の手の者というのは暗黙の了解だが、証拠をつける様な真似はしない。王国に侵略された国の船が多いとしても、侵略されたから逃げ出して海賊になったと理由付けできてしまう。

 王国正規軍の部品は使われていないので、疑わしくも海賊としてしか処理できない。


 しかし、海賊と言うには整備が行き届いた船で、スペックが高くパイロットの腕もいい。海賊としてのレートも高めに設定されていて、報酬は高いが完全に成功報酬となっており、返り討ちにあったとしても何ら補償はなされない。


 それでも腕に自信のある傭兵や王国に滅ぼされた国出身の傭兵など、応募もそれなりにあって今のところは均衡が保たれていた。

 ただ王国自体が帝国への侵攻で余力がなかった状況から、一応停戦となって帝国が内乱状態に陥っているので、王国には余力が生まれ始めているだろう。

 周辺国への侵攻が活発になってもおかしくはない。


「稼ぎ時ではあるかな」


 オファーとしては集団任務と単独任務の2種類があり、集団の方が大規模で戦闘がメイン。単独の方は自由度が高く、海賊の発見が主な任務となっている。

 自由度が高い単独の方が、俺達に向いてそうだが、まずはこの星系の海賊の強さを知るためにも、集団任務に参加してみようかと思う。


 定期的に行われている討伐任務で、3日後に予定されていた。星系の特定宙域を包囲するように部隊を展開し、その中の海賊を討伐する形になる。


 海賊の船は戦闘機から小型宇宙船くらいのサイズで、装甲は紙だが機動力が高いタイプだ。一機辺り幾らで追加報酬が出る。

 後は戦利品を回収するコンテナ船がいるはずなので、それを撃破、物資の回収ができるとボーナスとなるらしい。


 ただこのボーナスの存在が隊列を乱す原因にもなるようで、コンテナ船を先を争って狙うと包囲網に穴ができて海賊を逃がしたりといったケースや、コンテナ船自体を囮に集まってきた傭兵を挟撃したりと策を弄してくる場合もあるようだ。


「素人は小型艇を確実に仕留めるのに徹した方が良さそうだな」

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