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とある転生者の宇宙放浪記  作者: 結城明日嘩
王国編

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開拓船への襲撃者

 接敵するまでにアイネへと情報を伝えておく。ギリガメル傭兵団が王国の徴兵機関であり、優秀な兵士を選出する作業をこの星系で行っていたこと。

 危機感なくコボルトを狩れるようにすることは、王国の方針に反するという事で目を付けられ、帝国の諜報員と誤認されたという話をした。


『迷惑な話ですね』

「全くです」


 兵士として雇ってから鍛えるとコストが掛かるし、死傷者が出ると年金などの支払額も増える。予め優秀になる素体を選別して少数精鋭で備えるというのは、国庫への負担を考えても大多数の人間にとっては喜ばれる政策かもしれない。

 しかし、命を張ってコボルトと戦っている当事者としては知らず知らずのうちに危険な状況を押し付けられて選別されている事になる。

 そこで出る死者にはなんら補償は行われない。

 あえて飢える環境を作って餓死するよりは戦うという追い込みを掛けている。


 それだけ王国全体に余裕がないのだろう。しかし、それを押し付けられる国民や攻められる周辺諸国にとっては迷惑でしかない。


「国に縛られない為にも開拓船は確保しないとですね」


 俺は迫ってくる歩兵運搬船へと狙いを定めた。




 ヨロイを30人運搬できる船。強襲揚陸艇みたいなものだろう。船に突っ込んで船体に穴を開け、そこから兵員を送り込む。

 しかし、魔導騎士に対しての戦力としては弱い。直進性能は高いだろうが、回避するよりも速さで船に近づく作りだ。魔導騎士の足が戦闘機に劣るとはいえ、進路に割り込んで止めるのは難しくない。


 こちらが魔導騎士を持っている事は相手も知っているはず。それなのに護衛の魔導騎士も連れずに無謀な特攻を仕掛けてくる。

 何らかの対魔導騎士戦術を持っていると見るべきだろう。


『私が船を止めます』

「お気をつけて」


 俺の乗る魔導騎士は50年以上前の骨董品。最新鋭のアイネの方が戦力としては高い。下手に騎士道を発揮して自分が前に出る場面ではないだろう。




 交戦距離まで後少しとなった所で、輸送船の機銃が火を吹いた。光術式の弾が飛んでくるが、まだ当たるような距離ではない。

 そこへアイネが加速して突っ込んでいく。

 すると輸送船がいきなり爆発した。接触するにはまだ早い、ハンマーも届かない距離だ。

 何がと思った瞬間、輸送船の爆発からヨロイが飛び出して来るのが見えた。どうやら煙幕を焚いたらしい。


 アイネ機は煙幕の中、やられる事はないだろうが視界を奪われている。救助に向かうべきかと一瞬悩んだが、開拓船に向かわれる方が厄介だ。

 ヨロイは追加ブースターを背負っているらしく、それなりの加速を持っている。追いかけようとするとそれなりに時間が掛かるだろう。


「数を減らさせてもらうぞ」


 傭兵ギルドの格納庫に置いてあった時から装備していたアサルトライフルっぽい銃を構える。魔導騎士が5mほどに対して、ヨロイも3mほどなのでサイズ的な差は少ない。ただヨロイには防御結界が無いに等しい厚さしかなかった。

 ヨロイは魔力炉を積んでおらず、バッテリー駆動の様な感じで出力が制限されるからだ。車と電動アシスト自転車並の差がある。

 つまり適当に乱射してもそれなりにダメージを与えられるのだ。


「っち、本気で捨て駒なのかよ」


 ヨロイ達は他人のフォローなど考えずにバラバラの方向へ飛び出し、俺を避けて進んでいく。数人がやられている間に、少しでも開拓船へ取り付こうって腹だ。


「させるかよっ」


 こっちは直進特化の魔導騎士、ブースターによる直線的な移動ならこっちだって追いつける。またブースターを使ってる事で魔力感知がしやすい。高出力の方へ向けてアサルトライフルを放てば適当に撃っても当たる。

 それでも減らせたのは半分くらいか。アイネはその間に輸送船を破壊していた。どうやらレーダーを無効化するような魔力感知を阻害する煙幕だったらしく、船を止めないことには効果範囲を抜け出すのも難しかったようだ。


「テッド、そっちへ向かったヨロイをできるだけ減らせ。リリア、船内の隔壁とか閉められそうか?」

『分かってるぜ、兄ちゃん』

『隔壁閉鎖だね、分かった』


 兄妹の返答を聞きながら俺は残敵を追いかけて加速した。




 開拓船に戻るまでに減らせたのは2人だけで、14人が船に取り付いていた。下手に攻撃すると船を傷つけるので後は船内でやるしかなさそうだ。

 加速力の差でアイネがやってくるにはもう数分かかる。しかし、中に入られているなら待っている余裕はないな。俺は格納庫へと飛び込み適当な場所へと魔導騎士を停止させると、コックピットから飛び出す。


「お、ちゃんとした動き」


 魔導騎士のコックピットは、腹の部分。5mの体で人間を収めておけるのは腹しかないからな。後は前から出るか、後ろから出るかくらいの差で、大半は前から出るようになっている。

 そこをちゃんと狙撃してきた。もちろん、防御結界を張っているので直撃する事はない。


「弾は普通だったか……残念だな」


 船内制圧用だからか威力もそこまでではない。対防御結界用の術式もなかったので軽く弾けた。ただ撃たれ続けると維持する魔力を削られていくので対処しなければならない。

 コックピットに据え置きされていたハンドガンで応射。魔力感知で位置は掴めているが、ハンドガンではヨロイの装甲を抜けなかった。

 コボルトの噛みつき程度は防げる仕様だろうか。面倒ではあるが問題はない。防御結界の有無を調べたかっただけだ。

 防御結界があるとそれを破る為にそれなりの威力が必要だからな。それをない奴に当てたらミンチになってしまう。これから使っていこうという開拓船を無駄に汚したくない。


「という事で、コレをくらっときな」


 誘導性能のある光弾術式を放つ。電気ショックに近い体内魔力をかき乱すスタン弾だ。ヨロイの回路をショートさせつつ、装備者も気絶させられるだろう。防御結界があるとほぼ無効化されてしまうたぐいの術式だ。

 少し遅めの弾速に躱そうと試みたが誘導性があるので着弾。パチンと弾けると全身をビクビクッとさせて動かなくなる。格納庫は無重力だが、重力制御ブーツのおかけで床から浮くことはなかった。足を固定されたまま脱力して揺らめく姿は海藻のようだ。


「リリア、コックピットは出たか?」

『うん、セーフティルームにいるよ。侵入者の位置をマーキングした』


 コックピットの側には侵入者が来た時の為に防御に特化した部屋が用意されている。海族なんかが最初に狙うのは船の制御を司るコックピットだからだ。そこへ逃げ込めば外から開けるのは困難。扉を吹き飛ばすくらいの術式が必要だろう。

 情報端末を確認すると侵入者の位置が表示されていた。左舷の後方付近に穴を開けて侵入したらしく、そこから先頭のコックピットへ向かう一団と格納庫や居住区のある後方区画、機関部のある中央区画へと向かうグループに分けられている。

 海藻になってるのは後方担当の1人だな。


「通路の奴はヨロイを脱いでるのか?」

『うん、ヨロイのままだと屈んで進まないといけないから、普通の宇宙服で進んでるよ』

「船内の防衛設備は?」

『監視カメラと隔壁程度、巡回型警備ゴーレムは売っちゃったって』


 貧乏こそが最悪の敵だな。


「テッドはどうしてる?」

『銃座室で立て篭もってるぜ』

「部屋からはでるなよ」

『アイネ姉ちゃんに仕込まれてるから分かってるよ』


 その辺はアイネの教育に抜かりはないな。銃座は外から狙われやすいポイントなので、被害を広げないために船内への扉も厚い。逃げ込むにも悪くない場所だ。

 そんな事を考えていると防衛結界に着弾があった。


「ととっ2人の無事が分かったら後は制圧しなきゃな」

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