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姉が妹を性的対象にするのは良くないと思います。

帰宅。玄関の扉を開けた瞬間、姉の姿が目の前に合って面食らう


「うわぁ!?」


「奈妓ぃち゛ゃぁぁぁ゛ん゛ッ!!!」


いきなり抱きつかれてぎゅっと抱きしめられる

一年ぶりに戦場から帰って来た飼い主と犬の動画を思い出す。

こっちは一日ぶりなんですけどね


「ちょ、ちょっとやめてよ」


「ご、ごめんな゛さぁい゛奈妓ちゃんの帰りが遅いから心配でぇぇ!!」


「分かったから離れてよ」


軽く押して尻尾をブンブン振る雌犬をステイさせる

お前のせいで帰り遅くなったんですけど!

いつもは私の感情を敏感に読み取る『奈妓ちゃんもしかして元気ないのかな星人』なんだけど、嬉し過ぎるのかただの地球人に成り下がっている


まだ興奮気味の姉をなんとか抑えて両親に挨拶してから二階の私の部屋に上がった

当然のように姉もついて来ている


「奈妓ちゃん大丈夫だった?どこも怪我してない?」


「無酸素でエベレストに登ったと思ってる?」


遊園地に行っただけなのになんでそんな心配されるんだ

ウザい、ウザいけど…憎めねぇ…


無意識に姉のあご下を撫でながら考える

報いを受けさせると言った結衣のことを警告しておくべきなんだろうか?

今度は突発的に発言しちゃだめだ、よく考えないと…


「遊園地楽しかったよ。結衣が考えたプランが完璧で沢山楽しめた」


「どんなアトラクションに乗ったの?」


「んー色々乗ったけど、お化け屋敷が印象に残ってるかな。ほら、私ってホラー系苦手じゃん?でも結衣が手を握ってくれたから怖くなかった」


「奈妓ちゃん昔から怖がりだったわよね。昔、怖いテレビを見ちゃった日に一緒に寝たの覚えてる?」


「恥ずかしいこと思いださせないでよ。あ、恥ずかしいことと言えば、夜パジャマパーティしたんだけど、罰ゲームでメイド服着ることになってさ、すっごく恥ずかしかった。でもあとで結衣が褒めてくれて嬉しかったなー」


「メイド服!?だ、だ、大丈夫だったの?みんなになにかされなかった?」


「されてないって」


…ダメだ

それとなく結衣のことを褒めて、結衣の好感度を上げようとしたんだけど、姉は不自然なくらい結衣の名前を無視している

挙句には自分のことを棚に上げて皆になにかされなかったのか心配する始末だ


結衣の言うように償いをさせる気はもうないけど、私と姉の関係をもう一度整理しておくべきだ

最近、ちょっと調子に乗らせ過ぎた


「それでね。結衣にこれ貰ったの」


姉の視線は私の首元のネックレスに写る

良い感情で見ていないことは明らかだ


「で、私はお返しに指輪をあげたんだ」


ネックレスから視線を外して俯く姉

少し心が痛くなるが、ここは心を鬼にして分からせないといけない場面だ


「ゆ、指輪はちょっとどうかと思うな…勘違いされちゃうよ」


「勘違い?彼女なんだから勘違いじゃないでしょ」


思えば姉の前でこんなに結衣の話をしたのは初めてだ

いつしか結衣の存在は私達の間で新たな『禁忌』になっていたのかもしれない


「指輪って結婚するみたいに思われるかもしれないし…」


「私が遊びで結衣と付き合ってると思ってんの?」


「そ、そうじゃなくて」


勿論、結婚指輪のつもりで渡した訳ではないが、私は屋上で結衣にシワシワなおばあちゃんになっても一緒に居ようと誓った。そう遠くない未来に本当の結婚指輪を渡す日が訪れると信じている。


「…小鳥遊さんは、あまり良くないんじゃないかな?」


「なにそれ?どういう意味?」


「怒らないで聞いてね。今回は小鳥遊さんがリードしてくれたみたいだけど、いつもは奈妓ちゃんにプラン練らせてるでしょ?それって恋人としてどうなのかなって…実際、奈妓ちゃんがデートに行く時、不安そうな顔をしている時が多いみたいだし…」


「それをお前に言われる筋合いある?私の笑顔を奪ったお前が?」


「私はただ…奈妓ちゃんのことを想って」


軽く『禁忌』に触れたが、姉はいつものように部屋を飛び出して行くことはしなかった

むしろ、嘆願するかのように私の肩に触れようとした

ネックレスを穢されると感じ、その手を振り払う

いつからこんなに簡単に触れられるようになった?やっぱり償いはもっとさせておくべきだった


「私のことを想って?自分のことしか考えてないでしょ?私と結衣が別れたら喜ぶのはお姉ちゃんだもんね。私のパジャマにあんなのまで縫い付けてさ、妹のことモノかなんかだと思ってる?ああ…そう言えば結衣とヤリそびれたよ。お姉ちゃんに犯されたこと言ったら立ち消えになった。フフッ『あの日』に手付けておいて良かったね。なんならここでまたブチ犯してみる?上手く行けば手籠めに出来るかもしれないよ」




バチン!!


言い終わった瞬間に大きな音が部屋に響いた

姉が手のひらを振りかぶった瞬間、麗奈先輩のように自分の頬を引っ叩くかと思ったら、鳴ったのは私の頬だった。


「い、痛ぁい…痛いよぉ!ぶつなんて酷いよぉ!」


「ご、ごめんなさい!でも、前に奈妓ちゃんが『妹が自暴自棄になったらバチーンってビンタして目覚めさせて』って言ってたから…」


「今そうじゃにゃい!自暴自棄になってにゃい!!怒って言ったの!!」


ジンジン傷む頬を抑えながら泣く

ほんとーぉにバカ!叩かれたのなんて初めてだよ!


「本当にごめんなさい、お姉ちゃんのこと叩いていいから」


「もういい!嫌い!出てって!」


叫んで姉を追いだした

暫くしゃくりあげていたが、どっと疲れを感じてベットにうつ伏せで倒れ込んだ




「なんだこの気持ち」


ぽつりと呟く

姉に結衣のことを否定されて、ビンタまでされたのになんで私に罪悪感が湧くんだ


…考えてみれば姉に結衣とのノロケを聞かせるのは酷だったのかもしれない、頭に血が上って酷いことも言っちゃった。


のそりと起き上がる

もう頬は痛くない、でも心はまだ痛い

私も酷いことされたんだから謝らない、けどお土産くらいは渡してやろう

それでお互いの心が少し晴れるだろう

そう思って床に乱雑に置いてあった袋から姉用のお土産を取り出して、自分の部屋を出た。




ガチャ


「!!!!!」

「!!!!!」


「あ、こ、これお土産…ここに置いておく…ね。お、おやすみ」


「な、奈妓ちゃん…これは…その」




自分の部屋になんとか戻った私はドアを閉めるなりぱたんとへたり込んだ


お…




オ〇ニーしてらした…


頭をぶんぶん振って先程の衝撃的な光景がなにかの間違いだったと否定しようとするが、ぱんつまで脱いでたら否定のしようがない

「な、奈妓ちゃん…これは…その」とか言ってたけど、あの状況でどう頑張っても言い逃れ出来ないし、あそこから入れる生命保険もない、言い訳する前にぱんつ履け


姉が独りで頑張ってたことは事実だとして、問題なのは姉のスイッチが何で入ったかだ

久しぶり(一日)に私に会って嬉しかったからか、もしくは私にビンタして興奮したか

…もし後者なら今後の付き合いは本当に考えないといけない、殴られながら犯されるのは勘弁願いたいです。


「トラウマが増えちまったよ」


再びベットに倒れ込む

さっきの私の体温が残ってるのか、ベットは仄かに温かい

よく考えたら、姉が部屋から出て行ってから私がお土産を渡しに行くまでそんなに時間経ってなくね?

あの変態は私の部屋を出て行った勢いでベットに飛び込んでハッスルしたんじゃないか?

そこまで考えた所で自分のベットに違和感を感じた。

なんかシーツがいつもより綺麗にぴっちり張ってある気がする…私はこんなに器用じゃないぞ

生徒会長様は昨日、妹の部屋で寝た?それだけならまだいいが、まさか興じてないだろうな?


「妹を性的対象にするのは良くないと思います~」


名探偵ナギ―の推理は今回も外れることを願って、私はシスコンが致したかもしれないベットで眠りについた。

★予告★

次話から『夏休み編』突入


・二人きりの部室で奈妓が時久を誘惑!?

・詩織さんのお家にお呼ばれ。奈妓に課せられたミッションとは!?

・まさかの姉×麗奈!?

・遠山奈妓(16)人生初めての女だらけの合コン(彼女同伴)!?


等々、楽しいイベントが盛り沢山

ぜひぜひお付き合い下さい

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