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幼馴染と夜の公園で

皆と別れ、帰り道

方角的に私と結衣は二人きりになる




「「……………」」




駅からずっとこんな感じだ

花火の時の少し喋ったけどどうやら仲直りした訳ではないらしい

この状況って朝の無限観覧車より酷い状況なんじゃないか?


…ずっと眼を逸らしていたけど、私達ってもしかして別れてる?

結果的に詩織さんに二人とも振られた形になるんだけど、あの時、お互いの気持ちが離れていたのは事実

最後に正式に別れを告げられたりしちゃうんだろうか


い、嫌だ


もっと結衣と楽しい思い出を作りたいよ

やりたいことも行きたい場所もまだまだ沢山ある

謝ろう、三カウント唱えてから切り出そう




「奈妓」


「んぇ?」


二カウントで結衣の方から話しかけられて思わず声が上擦ってしまった。


「少し…あそこで話さない?」


そう言って結衣が示した先は例の公園だった

気付かない内に彼女の家の前まで来ていた。


いつも座っているベンチに座る

いつもと同じベンチだが、二人の距離はいつもと少し遠い


「あのさ…」


座って暫くたって結衣が口を開いた

私は愚かにもその先の言葉にまだ淡い期待を持っている

彼女から謝ってくれるかもしれない、やっぱり奈妓が一番好きだよって言ってくれるかもしれない




「ごめん!」




「へっ?」


ごめん!って言った?謝ってくれてる?




「詩織さんとの件、ホントごめんね。まだ怒ってる…カナ?」


「お、怒ってないって、こちらこそ…ごめん。どうかしてたよ」




マジで仲直りじゃん!

私の予想が当たる時ってあんの!?

「ごめん!」の後に「陽咲先輩が好きになっちゃった」とか言われるかと身構えたけどそんなことも無かったぜ


「じゃ、じゃあこれからもよろしくってことだよね?」


「これから?()()()だヨー」


結衣の両手を握る

彼女の手は冷えていたが心の中には温かい気持ちが流れ込んでくる


「うん!うん!ずっと一緒!!陽咲先輩とか詩織さんとか好きになっちゃ駄目だからね!!」


「なんでその二人の名前が出てくんの?」


「だって、陽咲先輩とは新幹線でずっと仲良さそうにしてたし、お土産交換までしてたじゃん。陽咲先輩、結衣が怒ってから君に惚れたの分かってる?」


「陽咲先輩が私に惚れた???なワケないじゃん。お土産交換は『友達』って意味だし、本命のお土産は奈妓のだよ」


「じゃ、じゃあ詩織さんは?光堕ちしてからなんか気が合うみたいだし」


「光堕ちってなんだよ。詩織さんは眞帆先輩とくっついたから敵対する理由も無くなったってこと、だったら友達になりたいじゃん」


「よ、陽キャっスね」


結衣は返事の代わりにニッと笑った

ああ、私が好きな笑顔だ

もうこの笑顔を壊したくない


「でも悪い気はしないカナ」


「え?」


「たまには嫉妬されるのも悪くないカナ。私の気持ち分かったかバカ奈妓」


「バカとはなんだ、バカとは」


緊張がようやく解けた私も笑う

その様子に結衣は満足気に頷いてから膝元のバックから小袋を取り出して封を切った

月明りに照らされたそれはチュウチュウランドのキャラクターを施したネックレスだった


ちゅ


私の首にネックレスを掛ける流れで結衣はキスを落としてくれた


「私達、これからもいっぱい喧嘩すると思う。でもどんなに怒っても、心の中では奈妓のことが大好きだからね。また喧嘩したらこのネックレス見て今の言葉を思い出して欲しいな」


「ゆ、結衣ぃぃ」


涙腺が崩壊してしまった

私も上着のポケットから袋を出す

渡させるか渡せないか不安な気持ちで買ったお土産

もし渡す時があればカッコよく決めようと思ってたけど、それは叶わなかった


「な、奈妓!?これって?」


「嫌?」


「嫌なんかじゃないよ。でも…これじゃ私の方がセンス悪いみたいじゃん」


私が買ったのは指輪だった

婚約指輪みたいな立派なモノじゃない、子供だましみたいな指輪

でも、気持ちは同じだ


ちゅ


結衣の指に嵌めてから今度は私からキスをした


「あーあ、こんなことなら私も指輪にすれば良かったナー」


「ある意味私達らしいじゃん」


「うん…そうだね」


ベンチの距離を詰めて抱き合う

人類幸福ランキング一位どころじゃない


「ねぇ奈妓…」


「ん?」




「えっちしよ」




「ここで!?」


「ここでじゃねーわ!!」


ガバっと私の胸から顔を離してつっこまれる

ええ?今の、私が悪い?そういう趣味を月明りのロマンチックな雰囲気で暴露されたのかと思った


「ここでじゃなくて私の家で!!壁薄いとかもう気にしない、詩織さんしか知らない身体で居たくないからさ…初めてじゃないのは申し訳ないけど…」


「そんな気にしなくて良いよ。私だって初めてじゃないし」







「お前今なんつった?」

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