☆彼女が経験豊富な先輩とイチャつくと脳が壊れるって知ってました?
帰りの新幹線
行きは結衣の隣でワクワクした気持ちで乗っていたのだが、帰りは麗奈先輩の隣でソワソワした気持ちで乗っている。
なぜソワソワしているかと言うと、前の席の結衣と陽咲先輩の会話が気になるからだ
「小鳥遊ちゃんこれ…貰って欲しいな」
「ええ!?これって自分用に買ったんじゃ?」
「うん、でも貰って欲しいの…」
「あ、ありがとうございます…その…どうしてくれるんですか?私、興奮して陽咲先輩に酷いこと言っちゃったのに…」
「ううん、そんなことない…むしろ嬉しかったよ」
「う、嬉しかった?」
「ち、違う!変な意味じゃなくて、私って親とか友達にもあんなに本気で怒られたことなかったから、初めて私のことを想ってくれてる人が出来たって思って…やっぱり、変かな?」
「変ですよ!ヘン!私だったら「なにをー!」って言い返しますもん。でも、そう言って貰えると嬉しい…カナ」
「小鳥遊ちゃん///」
「あ、じゃあお返しにこれあげちゃいます。仲直りの印ってヤツかな」
「ありがとう、大事にするね」
「そんな大層なモノじゃないですって大袈裟だなー」
おいおいおい!
自分の気持ち出し過ぎでしょ!!後ろの席に彼女と振られた女が座ってるんですけど!!
良い雰囲気でお土産交換してるんじゃないよ!
カタカタカタカタカタ
ん?なんか妙に揺れるな
今時の新幹線は砂利道の上走ったりすんの?
窓の外を見てから、隣の麗奈先輩の方を見ると彼女は手に持っていたコーヒーカップを猛烈に揺らしていた。震源はこの人だった。
「麗奈先輩!?大丈夫ですか!?」
「な、な、な、なにがが?な、な、なにも問題な、な、ないけど?」
「問題ありまくりですよ!?コーヒーこぼれまくってますよ!?手にめっちゃ掛かってますって!熱くないっすか!?動揺し過ぎですって!!」
慌ててハンカチを取り出して麗奈先輩の手を拭く
『君ありて幸福』とかスカしときながらこれじゃねーか
「…なにしてんのお二人さん?」
「フフッ」
いつの間にか前の席の結衣と陽咲先輩が振り返って私達を見ていた
手繋いでると思われとる!?
なんとか誤解を解いて一息つく
後ろの席から詩織さんと眞帆先輩の可愛い寝息が聞こえてきた
振り返ってカップルを覗く、二人は頭を寄せ合って幸せそうに眠っていた
きっとお互いの夢を見ているのだろう
こっちまで心が温かくなって…
こねーよ!私はそんなデキた人間じゃないんだよ!!
元々、詩織さんと眞帆先輩がくっつくのは応援してたよ?
でも、でもさ…私と結衣の仲が拗れたら意味ないじゃん!意味ないじゃ~ん!!
出発前は
眞帆→詩織→奈妓♡結衣
麗奈→陽咲
だったのに
帰りは
奈妓×結衣←陽咲←麗奈
眞帆♡詩織
になってんじゃん!
人間関係ぐっちゃぐちゃ過ぎるよぉ!陽キャってこんな中で生きてんの?
もう人類幸福ランキング一位とか調子乗ったこと言わないから許してぇぇぇッ!!




