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無限観覧車編

相変わらずの静寂

手持ち無沙汰で三人はスマホをひたすら弄っている

一応言っておくがここは通勤電車ではない。楽しい観覧車の中なのだ


時久にラインを送ってみたが、既読は付かない

この時間は流石に練習中のようだ

助けて時久…私とお前の位置を入れ替えてくれよ


隣の麗奈先輩のスマホを覗き見ると、政治家がアピールの為に富士山に登ったというクソどうでも良いニュースが映っていた。

普段なら絶対見ないだろ、人って追い込まれるとこんな記事まで読んじゃうの?


腕を伸ばして伸びをするついでに後ろに振り返って下のゴンドラの結衣たちを見てみる

結衣が詩織さんと眞帆先輩のツーショットを撮っていた。途中で詩織さんが何か冗談を言ったのか、結衣と眞帆先輩はゴンドラが揺れんばかりに手を叩いて笑いだした。


陽キャかよぉ!!

景色そっちのけでキャッキャッ騒いでるよ!

座席に醤油ぶちまけた動画TikTokに上げて炎上しろぉ!


「「「……………」」」


一方こっちは地獄だよぉ!!

これからデスゲームでも始まるのかってくらい静かだよ

いや、デスゲームの冒頭って「ここはどこだ?」「私達どうなっちゃうの?」「フフフ前回優勝者の僕が説明してあげよう」みたいな会話あるもんな!こっちの方が地獄だな!




「あの…」


沈黙を破ったのはデスゲームの主催者ではなく、陽咲先輩だった

一瞬、私に話しかけたのかと思ったが、どうやら視線の先からして麗奈先輩に話しかけたらしい

お、これは逆転があったりする?


「私もね…麗奈のことは特別だと思ってる。だから…だから好きになろうとした。でも駄目だった。私のナカにそんな綺麗な感情は残ってなかった…そんなカラッポな気持ちでお付き合いするのは耐えられないよ…ごめん」


「…私こそ悪かったわ、君ありて幸福と言っておきながら、私は貴女に気持ちを押し付けていたのかもしれないわね」


…とりあえず二人が決裂する最悪な事態は免れたみたい

しっかし、これからのボランティア部はどうなるのかな?廃部は無くなったけど、告白した方と振られた方の二人だけってのは結構キツいと思う




「…セフレなら良いよ」




せ、せ、セフるぇ!?

突如陽咲先輩から発せられた電車の中釣り広告でしか見たこと無い単語!

えっちだけするってヤツ?そんなん第三者が居る前で言うんじゃないよ!え?もしかして私って既に死んでたりする?幽霊なの?


「あ、勘違いしないでね。誰にでもこんなこと言わないよ。麗奈が特別なのは本当だから…心はカラッポだけど身体ならあげれるからさ。汚れた身体でも良ければだけど…」


「そんなこと言わないの。もっと自分を大事になさい」


こ、断った

なんかこの期に及んでカッコつけてないか?

気持ちは分からんでもないけど、チャンスが完全に消えちゃわない?

私は『お姉さま』に振られたと勘違いした時、部活に行く気が無くなってしまった。麗奈先輩もあの時の私と同じ状態にならないかな?

セフレになるのが良いことだとは言わないけど…


そうこう考えている内にようやく地獄観覧車は終点を迎えた。

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