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ネタバレ 絶叫落ち

チャンスは夕方にやってきた。

私達は上下に動くフリーフォール型のアトラクションの列に並んでいる。

私はもはやお決まりになった文言で隣にいる麗奈先輩に話しかけた。


「最近どうすか?」


「…まぁまぁね」


流石に私の伝家の宝刀の「最近どう?」が陽咲先輩とのことだと気づいたようだ

だったら話が早い


「全然まぁまぁじゃないですよ。むしろ全然ダメです」


「どうしてよ?」


「さっきチェロス食べた時、陽咲先輩に何の味を食べているのか聞かれましたよね?」


「ええ、ちゃんと答えたわ」


大袈裟に天を仰いでアチャーという顔をして見せる。


「ブブー不正解です!」


「その顔やめて、何かジョークでも言えっての?」


「ブブブブブー!!」


「グーでも良いかしら?」


「ぐ、グーはダメです!」


調子に乗り過ぎて殴られそうになったので慌てて顔の作画を戻して正解を告げる


「正解はズバリ『陽咲先輩にあーんする』です!」


「な、な、な、な///」


明らかに狼狽えた麗奈先輩

お前、淫行ボランティア部の部長だろ!?こんなんで照れんの?


「そ、それは私がやっても似合わないわ」


「そのギャップが良いんですって」


「そうかしら…」


前髪を弄りながら考え込む麗奈先輩

そんな彼女に私は囁く


「抱きついちゃいましょうよ」


「ふぁっ!?」


なんだこの人、今日めっちゃ可愛いな

私は麗奈先輩のリアクションでご飯三杯食べながら計画の全容を説明する


「アトラクションで怖がったフリをして陽咲先輩に抱きつきましょう」


「ぬ、ぬ、ぬ、ぬ///」


()はそんなに可愛くないですよってつっこもうと思ったが殴られそうなので耐える


「抱かれると相手をすっごく意識しちゃうんです」


「…貴女が言うと説得力あるわね」


そう、私は抱きしめられただけで顔もしらない相手に惚れた女

誰がチョロ子じゃ!


「健闘を祈ってます」


「上手く出来るか分からないけどやってみるわ」


よし、その気になってくれたみたいだ

正直、麗奈先輩と陽咲先輩の場合は元からの好感度からして詩織さんと眞帆先輩の時より簡単だ

私は勝ちを確信してアトラクションに乗り込んだ。




今度のアトラクションは横六列なので人数的には丁度良い

もちろん、麗奈先輩の隣には陽咲先輩が座る。準備バッチリだ

さぁ抱きつけまくれ麗奈!係のお姉さんが扉を閉める間際に隣の麗奈先輩に視線でエールを送った。


ぐいーん



ここで予想外のことが起こった。

このアトラクション遅くね?しょぼくね?キッズ向けか?

暗闇の中を上下するのでそれなりには怖いのだが、抱きつくほどの恐怖は感じない

入り口にLEVEL13とか書いてあったから正直ビビッてたのだが、こんなもんか…って



突如、牙を向いたアトラクション

インディーズバンドの曲みたいに突然スピードがマッハになった

LEVEL13とかふざけんな!こっちは初回なんだぞ!初回でココイチの10辛頼むヤツはいねぇよ



ここでもう一つ予想外のことが起こった

なんと麗奈先輩が私に抱きついてきたのだ

お前、マジで絶叫マシン苦手だったんかい!?先に言ってよ!!

無重力おっぱいを押して陽咲先輩の方に向けようとするが、残念ながら私は宇宙飛行士の訓練を受けていないので上手く行かなかった。



出口で麗奈先輩に詰め寄る

反省会の開幕だ


「…なんで私に抱きついてんすか?」


「陽咲に思いっきり抱きつくのは悪いと思って…貴女なら絞められるのは慣れてるでしょ」


慣れてねぇよ!ぬいぐるみなら綿が飛び出すくらい痛かったわ!とつっこもうとしたが、結衣に腕を引っ張られてそれは叶わなかった。今度は私が怒られるターンだ


「なんで麗奈先輩の胸揉んでんのカナー?アクロバット浮気?」


「重力と空力と米大統領選挙の結果とか色々絡んでどうしてもこういう恰好になってしまうんだよね」


「ウソつけ!」


彼女がゆび指した先には決定的な証拠がモニターに写されていた

くしょお…チュウチュウランドめ、肖像権の侵害だぞ


「あー奈妓ちゃんたち喧嘩してるー私に抱きついてくれれば良かったのにー」


「え?」


結衣に怒られながらも陽咲先輩の発言は聞き逃さなかった


「つ、次はそうするわ///」


意図した結果ではなかったが作戦は成功したみたい


「もしかして作戦だった?陽咲先輩を嫉妬させる為に空中胸揉みしたの?」


「まぁそうだね…全部私の手のひらの上だったってことかな」(メガネクイー)


「ウソつけ!そのエアメガネ外せ!」


私のエアメガネを彼方にぶん投げながらも結衣は笑顔だった

お互いに笑顔になる。私達の恋のキューピット作戦は大成功に終わった

でもまだ楽しい時間は終わらない、これからの期待に私は胸を躍らせた。




―――遠山奈妓と藤詩織がキスするまであと【14時間】―――

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