人類幸せランキング二位に躍り出た奈妓選手
学校からの帰り道、結衣と並んで歩く
彼女のテンションは明らかにさっきより下がっている。
「うえー憂鬱だよーお姉と一緒に行くなんて」
「ごめんね」
「奈妓が謝ることじゃないよ。お姉とは別に仲悪いワケじゃないし、人数増えればそれだけ安くなるから我慢する。それより麗奈先輩にホントは何て言ったの？」
おっ鋭い、これは浮気出来ないな。するつもりないけど
みんなには適当なそれらしい理由で麗奈先輩と交渉したと言ったが、結衣にはそれが嘘だとバレバレだったみたい
「陽咲先輩との恋を協力するって言ったんだよ」
「えーそれ素敵！もしかしてこの旅行でカップル二組出来ちゃうのカナー」
カップルもう一組は詩織×眞帆のことだろう
元から恋バナが大好物な結衣は少女漫画並みに瞳をキラキラさせている
二組カップル出来たらボランティア部は跡形もなく無くなるんだけどね。
「アトラクション乗る時とかさ、さりげなく二人になるように誘導したりしようよ」
「やろうやろう！キューピットだね」
そうこう盛り上がっている内に結衣の家の前に着いた
楽しい時間はいつだってあっという間だ
「奈妓…ありがと」
ちゅ
玄関に入る前に軽く口付けしてくれた結衣
彼女の姿が見えなくなるまで見送ってから私は帰路につく
「……………」
暫く無表情で歩いていたがどうしても抑えきれなくなって私は叫んだ
「うわぁぁぁっ！幸せすぎるぅぅぅッ！！！」
前を歩いていたおじさんがビクっとして振り向いたがそんなのは気にしない
今の私は無敵だからだ
私ってもしかして超絶リア充なんじゃね！？
あんなに可愛い彼女がいてしかも夏休みにみんなとチュウチュウ行くんだよ！？
やばい！幸せがやばい！人類幸せランキングがあったら上から三番目くらいだよ！！
家で姉にセクハラされる悩みがなかったら幸せランキング一位だよ！！！
～♪
人目を気にせずワールドカップでゴールを決めたサッカー選手並みにガッツポーズをする私に更に幸福の追加点が入る。
鳴ったスマホを確認すると『チュウチュウランド探検隊』というグループの招待を受けていたことが分かった。招待してくれたのは勿論、結衣だ
うおおおッ！！！
LINEのグループって実在してたのかぁぁぁッ！？
いや、正確に言えばテニス部の時に部活のグループには入ってたよ。でもアレは業務連絡だけだったし
こんな楽しい感じのヤツじゃない
ウキウキな気持ちで招待を承認してグループの中に入ってみると、既に結衣と陽咲先輩がアトラクションの話題で盛り上がっていた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ！！！」
三笘選手のアシストで奈妓選手がまた決めとぅぁぁぁッ！幸せランキング二位に躍り出とぁぁぁぁ！！
幸せの絶頂に達した藤原竜也は叫びながら家に帰った。
