★小鳥遊結衣エピローグ『小さくなった滑り台』
遅刻するかと思われたが、ギリギリセーフで小鳥遊家に到着した。
フッまだまだ私の脚力も捨てたもんじゃないな
「遅ーい!デートは30分前集合が基本!!」
窓から見ていたのか到着した途端に結衣が家から出てきた。
どこのブラック企業だよってつっこもうと思ったが、出てきた彼女の容姿があまりにも綺麗だったので言葉が出てこない。私の天使は結衣だった!
「ど、どうしたの?」
「…綺麗過ぎて言葉が出てこなかった」
「ば、ばか///」
思わず思っていることそのまま言ってしまった。お互い照れたまま暫く立ち尽くす。
「…今のは結構嬉しかったよ。奈妓の割には褒めるの上手いじゃん。それに免じてギリギリで来たのは許してあげる。」
「褒めるっていうか、本当にそうだったんだけど」
「ばかばかばか///」
照れ隠しで私のことをポカポカ叩いてくる結衣
可愛すぎでしょ!ご近所の皆さん!私の彼女は世界一可愛いですよーーー!!
「…奈妓も綺麗だよ。その服も好き」
一しきり叩いてから小さい声で呟いた結衣
やばい、今日死ぬかもしれん。萌え殺される
「嬉しいな。この服お姉ちゃんに貰ったんだよ」
「は?」
あ、地雷踏んだ
別の意味で死ぬかもしれん
「付き合って二日目でキスマーク付けてきて、三日目で他の女の手握って、初デートで他の女が選んだ服着てくるとはどーゆー了見だぁ!!」
「…姉を『他の女』にカウントしないで欲しい」
「余裕でカウントされるよ!むしろ奈妓のお姉さんが入らないで誰が入るの!?」
「な、なにそのウチの姉に対する変な信頼感」
「とにかく!お姉さんには気をつけてよ。またぱんつ盗まれちゃダメだからね」
「金庫に入れてるから大丈夫、ダイヤルは私達の付き合った記念日にしてる」
「ぱんつのロックに記念日使わないでよ…」
結衣に呆れられてしまった。良いアイディアだと思ったんだけどな
どうやら私は『記念日』の扱い方をまだよく分かっていないらしい
「まぁいいよ…今日は初デート記念日なんだからちゃんとリードしてよね」
そう言って私に手を差し出してくる結衣、私はその手を優しく握った。
クラスでは付き合っていることを秘密にしているから、こうして手を繋いで歩くのは幼い時以来だ
…リードってもしかしてえっちなことも含まれているのだろうか?昨日見た夢は正夢になったりする?動画かなんかで予習しておいた方が良かったのか?
そんな邪な考えは、楽しそうに遊ぶ結衣の笑顔を見ていたら吹っ飛んでしまった。私も童心に帰って一緒に楽しむ。そんな楽しい時間はあっという間に過ぎ、本日最後のデート場所に到着した。
「ここって…」
サプライズにしていた一番最後のデート場所は私達が幼い時によく一緒に遊んだ場所
「…公園、私達の想いでの場所だからここにした」
「奈妓…凄いロマンチックじゃん」
どうやら気に入ってくれたらしい、結衣は身を寄せてきてくれた。
「夕暮れに「どうしても行きたい所がある」って言うから心霊スポットとかに連れてかれるかと思ってた。」
「ははっ、そんなワケないじゃん」
あ、あっぶねー!
---私達の想いでの場所だからここにした---とか言ってカッコ付けたけど結衣ってホラー映画とか好きだから心霊スポットも候補に入ってた。公園にしといて良かったー!過去の私ナイス過ぎる!!
「写真持ってきたんだ」
「写真?」
サプライズはこれで終わりではない
結衣に見せた写真には幼き日の私と結衣が写っていた。
「うわー!懐かしー!若いーーー!!」
「ねぇ、同じ場所、同じポーズで写真撮らない?」
「ええ!?すっごくインスタ映えしそうじゃん!奈妓今日どうしたの?変なモノ食べた?」
「食べてないよ!私に対しての信頼感ゼロかよ!」
「ごめん…ありがと」
「うん///」
手を繋いだまま、写真の中の私達と同じ滑り台の前に行く
当時なんでここで写真を撮ったか流石に覚えてないけど、この滑り台ってこんなに小さかったっけ?
違う、私達が大きくなったんだ。
「奈妓、ピースの角度が違う」
「こ、細かいな」
スマホのインカメラに映る私達は当時より大きくなってるけど、身長差は同じだった
変わっているのは友達じゃなくて恋人になったこと
「よーし、いいよ!」
カシャ
結局撮った写真はインスタにあがらなかった
結衣が私の頬にキスしたからだ
「ゆ、結衣///」
「奈妓、毎年ここで撮ろうね」
「うん、ずっと一緒だよ」
明日最終回です。




