選択肢前のセーブなんて人生に存在しない
「何を言っているの!?」
三度、麗奈先輩が乱入してきた
ホントうざったいな
「なに驚いてんですか?作戦ですよ。さ・く・せ・ん。私が生徒会長になればボランティア部は潰れないじゃないですか」
「…今の貴女はそんな眼をしていないわ」
ヒュー♪さっすが麗奈部長だ
お見通しってヤツですか、でももう遅い
私は視線で姉に指図する。
「下がりなさい、外には生徒会が控えていることを忘れるな」
「貴女、一生後悔するわよ」
捨て台詞を吐いて下がって行った麗奈先輩
一生後悔するのはお前もだよ
「ねぇお姉ちゃん、良いでしょ?」
「な、奈妓ちゃん…いきなり生徒会長は大変だと思うの。まずは副会長から…」
は?なにコイツ
土壇場で妹より権力を取るの?
…まぁ私の気持ちなんて考えず性欲を優先させた姉なんてこんなものか
だったらその性欲を付いてやる
「奈妓ちゃん!?なにを!?」
姉が驚くのも無理はない、立ち上がった私はスカートの中に手を入れ、ぱんつを脱いだ
固まっている姉にそれをゆっくりと被せる
「これ、お姉ちゃんにあげるね。生徒会長にしてくれたら私の全てをあげる」
「あ、あ、あ、あ、あ」
なに喘いでんだよ。覆面レスラーみたいにぱんつ被ってるから更にキモい
「今夜、お姉ちゃんの部屋に遊びに行っていいかなぁ?いっぱい楽しいことしたいなぁ」
「うん、うん!お姉ちゃんも奈妓ちゃんにフガて捧げるわ!生徒会長なんてフガない!奈妓ちゃんが傍にいてくれたらそれでフガ!!」
トドメの一言に姉は堕ちた
フガフガ言ってて所々なんて言ってるかわからんかったけど、姉が堕ちたことは確かだ
「フガちゃん!」
姉が再び身体を寄せてくる
フガちゃんって誰だよ。雰囲気のクソもないのだが、今度は拒否出来ない
適当にキスして終わらせよう。ぱんつ被った変態相手に禁忌を犯すって馬鹿みたいな結末だね
「…お姉さま?」
姉とキスしようと抱き合った瞬間、『あの夏』の『お姉さま』の感触を感じた
そんなハズはない、姉は麗奈先輩に乗せられて『お姉さま』を騙っているだけだ
でも、でもこの感触は確かに『お姉さま』だ。ずっと忘れなかったあの感触
「え?さっきからそう言ってるフガ?」
姉の瞳を注視する。ぱんつの脚を通す穴から見える瞳は綺麗な宝石のようだ
嘘を付いているとは到底思えない。私の『お姉さま』はずっと近くにいた。
私のぱんつを盗んですり替えて被って嗅いで食べる変態だった。
「いつまで食ってんだよ!」
「フガい!」
姉に被らせていたぱんつを引っ張って取る。
この状態でキスできねーだろ、自分のぱんつとキスすることになるわ!
…って、なんだそのつっこみ、今の私、姉と心からキスする気になってるじゃん
「お姉ちゃん…本当にお姉さまなんだね」
「信じていなかったの?」
「うん、騙されてると思ってた。」
「ええ!?」
驚いている姉をもう一度抱きしめる
うん、間違いなく『お姉さま』
どうして駅では『お姉さま』が『お姉ちゃん』だと気づかなかったのか
…きっと『あの日』姉に無理矢理抱きしめられてから私は無意識の内にお姉ちゃんの感触を記憶から消してしまっていたんだ
「…やっと会えた。ううん、やっと思いだした。前はこうやっていっぱい抱きしめてくれていたよね」
「黙っててごめんね」
「私こそ気付いてあげられなくてごめん」
髪に柔らかな感触を感じる
姉があの時みたいに撫でてくれてるんだ
心地よい感触に身を委ねる。私の物語はまさかのハッピーエンドだった。
「…キスして良いかな?」
「…うん」
眼を閉じて姉のキスを待つ
初めてじゃない二度目のキスだ。今度は無理矢理なんかじゃない
バンッ!
「小鳥遊ちゃん!?」
大きな音で姉妹のキスは中断された
廊下に居る陽咲先輩が小鳥遊を呼んだということは、彼女が部室から飛び出していったことを意味する
「小鳥遊?」
姉から小鳥遊に思考が移る
彼女は『お姉さま』じゃなかった。私の想い人じゃなかった
だったらこの気持ちはなんなんだろう?胸につっかえるこの想いは?
姉にもっと強く抱きしめられる
言葉はなにも発さないが小さく震えていることに気付いた。
私は…
★選択肢★
【小鳥遊を追う】
【姉とキスをする】
小鳥遊か姉、どちらかのエンドになります。




