ぱんつは武器に入りません
ようやく学校に戻ってきた。
かなり息があがっている。テニス辞めて女ばっか抱いてるから体力はミジンコ以下だ
部室の前は人だかりが出来ていた
腕章から生徒会の役員達だと分かる。やっぱりガサ入れが入ったんだ。
恐らく部室の中に姉が居る。
「あっ!奈妓ちゃん」
陽咲先輩に声を掛けられた。どうやら生徒会の人達と談笑していたようだ
懐柔したの?コミュ力お化けなの?それとも黒幕だったりするの?
「陽咲先輩!?これは一体?」
「中に入ればわかるよ。麗奈が待ってる」
訝しんで部室に入る
中には麗奈先輩と小鳥遊の姿があった。
姉の姿はない、どういうことだ?
「ナギっち…」
「主役の登場ね」
「私が居ない間に何があったんですか?」
「大したことないわ。それより貴女の指名が入っているわ」
どう考えても、大したことないで済まされない状況だと思うのだが…
こんな時にお嬢様の相手してる場合じゃなくない?
「良いから行きなさい」
躊躇する私にソファに行くように促す麗奈先輩
反論は許されない空気だ
渋々カーテンに向かい、開くとそこには姉が居た。
「奈妓ちゃん!」
ソファに腰掛けていた姉は、私の姿を見据えるとパっと笑顔になり、両手を広げた。
「お姉ちゃん!」
私は姉に近寄り、ポケットの物的証拠を取り出して
「このやろ!」
思いっきりひっぱたいた
私の恨みはこんなもんじゃ晴れない、さらに攻撃を続ける
ビシッ!
「な・ん・で!『お嬢様』がお前なんだよ!」
バシッ!
「私のぱんつ盗んだでしょ!」
ガシッ!
「変態!変態!変態!」
「違うの!盗んだりしてないわ!」
「はぁ?」
「交換しただけなの」
「もっと悪いわ!!」
最悪な仮説は現実になってしまった。
今すぐノーパンになりたい
「これ小鳥遊に貰ったものなんだからね!」
「ええっ!?小鳥遊さんの家に行ったお土産にぱんつ貰ったの!?」
「どこの世界の変態文化なんだよ!」
バンッ!
今までで一番強く引っぱたく
風圧でカーテンが捲れて、小鳥遊と眼が合う
氷のような瞳をしていた。
「小鳥遊さんのぱんつだったなんて…」
未だ勘違いしている姉が自分の髪を掻き毟る
自宅では見たことない動作だ、もしかして…
「ぱんつ被った?」
「私のぱんつあげるから許して!」
「私になんの得になるんだよ!あと今、肯定したよね?え、マジで!?」
「貴女たち少し落ち着きなさい」
麗奈先輩が仲裁に入ってきた
私と姉になんの期待をしているんだよ!?コイツにもムカついてきたな
姉のぱんつで引っぱたいてやろうか
「奈妓ちゃん、ちょっと落ち着こうね」
「なんで私が悪いみたいになってんだよ!下着泥棒が落ち着かせようとしてくんなよ!」
麗奈先輩が戻ったあと、落ち着かせる為か姉は紅茶を注いで私の前に出してきた。
癪だが、叫びまくったので喉が渇いた。乱暴に口に運ぶ
「奈妓ちゃん、なにか香り感じない?」
ブー
麗奈先輩のお株を奪う吹き出しをしてしまった
香りって…
「嗅いだの!?感じたの!?」
「そうじゃなくて嗅いで欲しいの」
「なんでお前のぱんつを嗅がないといけないんだよ!それでおあいこのつもりか!?」
「奈妓さん、パンティから離れなさい」
再び顔を覗かせてきた麗奈先輩をシャーっと威嚇して引っ込ませる
私がぱんつで頭いっぱいみたいな言い方すんな!
「奈妓ちゃん聞いて、私は『お姉さま』なの!」
プツーンと頭の血管が切れる音がした。
「馬鹿にするのも大概にしろよ!そんな虚言を信じると思ってるのか!?姉妹の縁を切ってやってもいいんだぞ!遠山奈癒ゥッ!!」
キレ方全く同じね。とカーテンの向こうから声が聴こえてきたがなんのことだかわからない
それより姉が許せない、いきなり『お姉さま』を騙りやがって
「本当なの!〇〇駅で奈妓ちゃんを抱きしめたのはお姉ちゃんなの!ほら、あの時と一緒の香りでしょ?」
「……………」
香り…今気が付いた、姉からあの人と同じ香りがする。バカみたいに振りかけたのか香りがキツ過ぎて分からなかった。
そうか、そういうことだったんだ…
あはは、人間って怒りを通り越すと逆に冷静になるんだね。麗奈先輩は私を売ったんだ。
姉にあの人の情報と香水を渡す変わりにボランティア部の廃部を見逃して貰うように交渉したんだ
そして最後の仕上げとして私を呼び戻した。物的証拠なんて必要なかったんだ
姉は試合会場がどこだったか知っている。最寄り駅を調べるのは簡単だろう
あの人の情報と香水で私がメロメロになるって思った?二人とも私を馬鹿にし過ぎだ
そっちがその気ならこっちにも考えがある。
「お姉ちゃんが『お姉さま』だったの?」
「そう!そうなのよ!私…奈妓ちゃんを抱きしめたこと今までずっと言えなくて…」
「ううん、いいんだよお姉ちゃん。その気持ちわかるよ」
「奈妓ちゃん、お姉ちゃんを許してくれるの?」
「うん、勿論だよ。だってお姉ちゃんは私の『お姉さま』なんだから」
「奈妓ちゃん…」
厳かに身体を寄せてくる姉。私と重なる直前に手で制す。
驚いて眼を大きく見開いた姉。あはは、私も小鳥遊に拒否された時、こんな顔をしてたんだろうな
「奈妓ちゃん?」
「その前に一つお願いがあるんだ」
「お願い?」
「私に生徒会長の座を譲ってよ」
権力を使ってボランティア部を潰してやる。これは麗奈先輩への復讐
小鳥遊には悪いけど、他の女に抱かれるくらいならこっちの方が良い
勿論、姉にも報いを受けさせる。ボランティア部を潰したら用済みだ
適当に遊んだ後に惨たらしく捨ててやる
ふふっ、私って実は詩織さんと気が合うのかも…




