黙って抱いてよ
転がり込むように帰宅する
帰りが晩いのを心配していたのか、玄関を開ける音ですぐに姉が駆けつけてきた。
「奈妓ちゃん、どうしたの?顔が真っ青よ」
「……………」
無言で姉の手を取って二階に上がり、自分の部屋に一緒に入る
彼女は手を握られたことで少し驚いたようだったが、黙って付いてきた。
「奈妓ちゃん…なにか嫌なことあった?お姉ちゃんに出来ることなら何でも…」
「うるさい」
「え?」
「黙って抱いてよ」
握っていた姉の手を自分の胸に当てる
予想外の展開に彼女は眼を大きく見開く
「そうだよ。嫌なことがあったの。だから何も聞かずに抱いて忘れさせて」
「奈妓ちゃん…」
「必死に抑えてるみたいだけど、私に欲情してんのバレバレだから」
「っ…」
空いている左手で自分のスカートを捲る
駄目押しだ
「『あの日』みたいにしてよ!!」
「!!!!!」
私の叫びに姉はきゅっと唇を結び
私の胸を揉んだ
えぇ…
「違くない?」
「えっ?」
急に冷静になった私の声色に姉は揉んでいた手を放す。
「あっ!そうだよね」
ゆっくりと唇を近づけてくる姉
「あぶゅ」
以前、麗奈先輩にやられたようにほっぺを抑えてキスを止める
潰しても尚、顔整ってるのがムカツク
「違う、全然違う」
「どゅうちゅて?」
手を放して姉の顔を解放してから叫ぶ
「ここはビンタでしょ!」
「ええ!?叩きながらされるのが良いの?」
「オーケィ一旦えっちなことから離れようか」
何考えてるんだこの姉
「フツー自暴自棄になった妹をバチーンってビンタして目覚めさせるでしょ」
「そ、そんなことお姉ちゃんが奈妓ちゃんにするわけないよ」
「だから!シスコンの姉がビンタするから意味があんの」
「わ、分かった。お姉ちゃん頑張って叩くね」
「もういいよ!宣言してからやるもんじゃないし」
姉を部屋から追い出す。
バンバンとドアを叩く彼女
「奈妓ちゃん!叩くから!お姉ちゃん力いっぱい叩くから!お願いだから叩かせて!」
怖っ
言ってることがサイコパスだよ
二階の喧騒を聞きつけた両親によってサイコレズシスコンはドアから引き剥がされていった




