私はアンパンマンか!?
「そんなの納得できません!」
なんとかならなかったよ
翌日、詩織さんを屋上に呼び出し、時久の時と同じように『お姉さま』のことを説明したが、彼女は納得してくれなかった。
「で、でも本当のことだし…」
「顔も知らない相手のことを好きになるなんておかしいです。」
なんか詩織さん、段々こっちに近ずいて来てない?屋上から落とされるとか勘弁だよ
「詩織さんは、私のこと顔だけで好きになったワケじゃないよね」
「顔だけですけど?」
「えっ」
顔だけなんかい!私だって自分が性格良いとは思ってないけど面と向かって言われるのは凹む
「むしろ奈妓さんから顔取ったらなにが残るんですか?」
「私はアンパンマンか!?」
コイツに悩んでるのがバカらしくなってきた。
もう喧嘩別れで良いんじゃないかな。付き合ってないけど
「奈妓さん…」
「な、なに?」
雰囲気が変わった?鉈とか持ってないよな?事前にボデイチェックしとくべきだった
「お腹の子はどうするんですか?」
「身に覚えがありませんが!?」
この場に麗奈先輩が居たら盛大に吹き出して、三日三晩消えない虹を作り出していただろう
それにしてもこの高校は偏差値高い癖に性に対する知識がおかし過ぎる
受験科目に保健体育を入れるべきなんじゃないか
「奈妓さん…」
「な、なに?認知はしないよ?」
また雰囲気が変わった?斧とか持ってないよな?事前に金属探知機を通しておくべきだった
「もしかしてあの部長に脅されていたりしてます?」
「はい?」
「なにか弱みを握られてるんですよね。それで仕方なく嘘をついたと」
「嘘みたいだけどホントの話なんだって」
話がおかしくなってきた。私もその気はあるけど、詩織さんも物事を自分の都合良いように改変するタイプだ
「良いんですよ…全てわかってますから。私が奈妓さんを鳥籠から解き放ってあげます」
「全然わかってないって!」
私の否定は届かず、詩織さんは妖艶な笑みを浮かべながら去って行った。
また麗奈先輩の預言通りになってしまったな。あの人は卒業後に占い師にでもなれば良いと思う




