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『姉』という生き物

私と時久はそれぞれ教室の端と端に連れていかれた


「違います部長!私は覗きなどするつもりでは…」


向こうから時久が小鳥遊姉の恋人に抗議する声が聞こえてくる

小鳥遊姉の恋人ってテニス部の部長だったんかよ…相当気まずいだろうな


「……………」


私の説教担当は当然、小鳥遊姉だ

彼女は私を教室の端に追いやった時から一言も発していない。ずっと冷めた眼でこちらを見ている

時久よ…そっちも気まずいだろうが、幼馴染の姉に蔑まれている私もかなり気まずいぞ


「の、覗くつもりはなかったんですよ」


沈黙に耐えられなくなった私は、言葉を発する


「うん、それは分かってる。貴女たち先に居たんでしょ」


「は、はい」


意外なことに小鳥遊姉は私達が覗きをしたと思っていないようだった

…ではなぜ、凍えるような冷めた眼で見てくるんだろう?


「奈妓ちゃんさ…なにか他に言うことある?」


「え?」


他に言うこと?考えてみるが分からない

聞き方からして小鳥遊姉が怒っているのはわかるんだけど…

『姉』という生き物は『妹』を無条件で甘やかしてくれるものだと思い込んでいた私は面食らう


「お二人を邪魔したからですかねぇ?」


「べつに…この前だって邪魔されても怒らなかったじゃない」


『この前』とは私が小鳥遊の家に泊まった時の話だろう

壁ドンされた覚えがあるのだが…


「もしかして誤魔化してる?」


「誤魔化してなんていませんよ。ホントに分からないんです」


ハッキリ言ってくれんかな…こいつら小鳥遊姉妹は怒らせるとめんどくさ過ぎる


「…結衣(タカナシ)に言うよ」


「!?」


彼女がなんで怒っているか分かった。私が時久と小鳥遊で二股してると思われてるんだ

『妹』のことでこんなに怒るとは…やはりコイツも『姉』


「小鳥遊とは付き合ってるワケじゃないです」


「付き合ってないのに押し倒したの?」


小鳥遊姉の瞳のハイライトが消えた

小鳥遊一族のこの瞳は写輪眼以上に危険なことを私は知っている


「押し倒したのは不可抗力です!」


「結衣は貴女に押し倒されたって言ってたけど?」


たぁかぁなぁしぃぃぃっ!!

私が居ない所で私をからかうなよ!からかい下手の小鳥遊さんだよ!


「…結衣を悲しませたら許さないから」


そう吐き捨てて小鳥遊姉と恋人は行ってしまった

後には私と時久が残される


「私は奈妓のことを信じてるぞ」


話聞いてたんかい、時久を触ったのも不可抗力だからな

優しい眼差しをやめろ、彼女面すんな

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