★【最終話】【結衣・奈癒エピローグ②】姉と幼馴染がイチャつくのは解釈違いだと思います。
おかしい…
二人から情熱的なキスを受けると思ったが、一向にその感覚は訪れない
「「ぐぬぬぬぬぅっ」」
「ええ…」
眼を開けてみると二人の顔が目の前にあったので驚いた
どちらも譲る気は無いらしく、お互いのほっぺたで押し合っている
コイツらほっぺが滑ってキスしちゃわない?
私のトラウマがまた増えちゃうぞ
「「ふぬぅぅぅぅ゛」」
「……………」
しばらく待ってみたが、勝敗が付く気配がない。片方のほっぺだけ細くならないか心配になる
…姉と幼馴染に迫られちゃって奈妓ちゃん困っちゃうって態度取ってたけどホントはちょっと期待してたんだからね
「ずぁ゛ぁ゛っ゛っ!」
「あぁっ!?」
と、思ってたら展開が動いた。
奈癒がこれからキスするとは到底思えない野太い声を出しながら少し顔を前に出す
「このっ!」
「っ!?掴むのはルール違反よ!」
「そんなルールないし!」
リードを許した結衣であったが、素早く奈癒に抱きついて彼女の動きを止めた
「離しなさい!」
「ぜぇぇぇったい離さない!!」
結衣が奈癒のこと大好きみたいになってるんよ!
別れ話切り出された彼女じゃん
痴話喧嘩をアリーナ席の最全席で観させられる私の気持ち考えてよ
「ふんっ!」
「しまった!」
奈癒の気が逸れた隙を付いて今度は結衣が前に出た
無敵監獄から脱走する囚人みたいな勢いで結衣の顔が迫る
「フッ残念だったわね」
「離せぇぇっ!」
結衣とキスする直前で奈癒が結衣の腰に手を回して止めた
あのままの勢いで来られたらまた血の味がするキスをしちゃうとこだったから正直助かったけど、この状況は許しがたい
攻守交替してんじゃないよ!えっちな体勢に見えんだよ!
盛んなカップルか!?生徒会長がギャルを攻めるってキュンとするシチュだけど両方私のカノジョの場合は話が違います!!「ごめーんやっぱり私達で付き合いまーす」って言われたら出家するからな
「いい加減にしろぉ!」
起き上がって二人の間に割って入る
「眼ぇ瞑って今か今かと待ってたんだぞ!?なにも起きないと思ったら二人でイチャつきよってぇぇぇ」
「イチャついてなんかいないわ」
「私はそんな気なかったけどお姉さんはちょっとありそうだったカナー?」
「んなっ!?そんなワケないじゃない!」
「んー?私の腰を触る手つきが微妙にエロかったよーな?」
「寝言は死んで言え!」
「姉妹揃って私のこと好き過ぎぃー」
「退学にされたいの!?」
「退学になったらずっとこの家に居座っちゃいまーす」
「だからイチャつきなさんなって!!!」
ここ私のベットの上だからな!泣くぞ?そろそろ号泣すっぞ?
「イチャついてなんてないし」
「イチャついてるようにしか見えないの!キスするんなら詩織さんの時みたいに代わりばんこにしてよ」
「そうしたいけどお姉さんが邪魔してくるんだって」
「ちょっと待って、詩織さんの時みたいに代わりばんこにしてよってどういうこと?」
「遊園地行った時に私と奈妓が詩織さんに交互にキスしたんですよ」
「バラしゅな!」
いつぞやの麗奈先輩みたいなツッコミがでた
何回でも言うけど『あの朝』のことは無かったことにしようって
「そ、そんな…私の奈妓がそんなに乱れていたなんて…やっぱり女だけで旅行なんて行かせるべきじゃなかったわ」
「み、乱れてたって…結衣と違って私はキスしちゃっただけだよ」
「なーんか引っ掛かる言い方」
「ちょっと待って、結衣と違ってってどういう意味?」
「結衣は詩織さんとワンナイトしたんだよ」
「バラすなぁ゛!!」
「…貴女、奈妓がいながら他の女と」
「ほぉら!お姉さんが引っ掛かっちゃったじゃん!違いますから!ワザとじゃないからぁ」
「ワザとしかないじゃない!奈妓、付き合うのは一途な私だけにした方がいいわよ」
「二人と付き合ってる奈妓に言う台詞じゃないですよ…」
「奈妓を悪く言うなッ!」
「言ってない!!」
取っ組み合いを始める二人
もう私の眼には情熱的に抱き合ってるようにしか見えないんよ。仲間に入れてよ
「「きゃっ」」
我慢が出来なくなった私は二人まとめて押し倒した
薄々感づいてたけど私ってやっぱ攻め属性だ
「んっ、、、ちゅ、、んん゛~~」
間髪入れず結衣にキスをする
私はキスが上手くないらしいけどそんなのは今更気にしない
思うままに自分の気持ちをぶつける
「や、やめ、、、んっ!?」
止めに入って来た奈癒にもキスをする
姉とキスをしているという事実が私を狂わせる
「長すぎだって」
ついつい長くなってしまったキスに業を煮やした結衣が奈癒を押しのけた
「ちゅ…ちゅっ、、っ!?」
「はむっ、、ちゅ…ぁ!?」
「、、、ちゅ…」
押しのけられた奈癒だが、すぐに体勢を立て直して結衣を私から剥がす。キスを中断された結衣は反撃に出てポジションを奪い返す。負けじと奈癒も強引に私の唇にキスを落とした。
なんだか親鳥から餌を貰うヒナ達みたいだ
眼を瞑ってキスする姿は本当に愛らしい
私の可愛いヒナちゃん達って言ったら怒るかな
「ちゅちゅ、、」
「んっ…ちゅ~」
「え?」
「…じゅる…ちゅッ」
「~~~ッッ」
「おい」
「あんっ…あむっ」
「ふむぅ…ちゅ、、んん゛」
「お前らがキスしてんだよ!!」
「「!?!?」」
キスしている内に押し出されてしまった私が叫ぶ
驚いて眼を開いた二人の顔が青ざめる
あったかい気持ちになったと思ったらこれだよ!
「うっ…うぷっ」
「は、吐きそう」
「ちょ待ってッ!」
カノジョ達の膨らんだ頬に私も青ざめた
リスの膨らんだ頬とはワケが違うのは嫌でも分かる
吐くなよ!私のベットの上だぞ!
「「おえぇぇぇぇ゛!!」」
洗面所に連れて行こうか洗面器を持ってこようか考えてしまったのが仇になった
お気に入りのフリルが付いたシーツの上に虹色のキラキラがスローモーションでぶちまけられる
「嫌ぁぁぁぁ゛ッ!!!」
私の悲鳴が部屋に響く
うぇぇ…もらいゲ〇しそう
私達にロマンチックな夜はまだ早かったみたい




