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【ボランティア部エピローグ】戻って来た日常

あれから一週間が経った

二人のカノジョとの関係は今のところ上手くいっている。

宣言通り、私はどっちも最大限に愛したし、彼女達も答えてくれた


…けど一つ問題があった

お金がねぇ!!!根本的な問題を解決してなかった!

二人と付き合ったら出費もそりゃ増えるよね!そこ考えてなかったよ!

愛でお金は増えないことを義務教育で教えるべきだね




「あら?入部希望かしら?」


「まさか、麗奈先輩の顔を見に来ただけですよ」


「彼女の前でよくそんなこと言えるわね」


口では嫌味を吐いた麗奈先輩だったけど、その表情は柔らかい。

彼女とは遊園地の件からかなり仲良くなったと思う。親友と言ってもいい

ボランティア部の部室に入ってきた私の顔を見てちょっと口元が緩んだのがその証拠だ


「奈妓は麗奈先輩の顔を見に来たんじゃなくて、ボランティア部を無料のデートスポットにしてるだけって知ってるから気にしませんよー」


「バラしゅな!」


「そんなことだろうと思ったわ」


私の浅はかな節約術が結衣によって明るみに出たところで陽咲先輩がいつものように紅茶を持ってきてくれた。


「ありがとうございます」


席に着いて一口飲む

うむ、透き通るような口あたり、そして奥深くに感じるカルキ臭さ


水だこれ

ぬるい水道水だよ


「ねー小鳥遊ちゃん、ちょっと困ってることがあってね」


「困ってること?」


「うん、クラスの娘のことなんだけど…」


こっちまで香りが漂ってくる高級紅茶を出された結衣が陽咲先輩の相談に乗る

それやめろって!相談なんかどうでもいいの知ってんだからな!かこつけて結衣に近付こうとしてるだけじゃん。結衣は人が良いからあんなことされたのに聞いてしまうんだ


「~ってしてみれば良いかもしれませんね」


「それ良いねぇ。小鳥遊ちゃんに聞いて良かったー」


「お役に立てれて良かったです」


「もっと話聞いてもらいたいなぁ、良かったらこのあと前に行ったカフェ行かない?」


「え?それはちょっと…」


「ちょっとだけでいいからさ?ね?奈妓ちゃんはこのあと小鳥遊ちゃんを置いてお姉さんとヨロシクするんでしょ?だったら少し時間空かないカナー?」


言葉にトゲがあるんよ

以前の陽咲先輩だったら「ヨロシクする」とか間違っても言わなかったじゃん

常温の水出された時点で薄々感づいてたけど私、完全に嫌われてるよ


あと「~カナー」は結衣の語尾だからね(最近言ってないけど)

容姿もツインテールにしてちょっと寄せていってるとこがこえーよ


「……………」


陽咲先輩に頭突きしてやろうかと思ったが、麗奈先輩の視線に気付いて止める

なに?なんでそんなに神妙な顔してんの?

まさか今、陽咲先輩に告白するつもりじゃないだろうな?

「もう一度告白して下さい」って言ったけど今じゃないからな。あの地獄観覧車の二の舞だぞ


バサッ


「あっ」


麗奈先輩に頭突きしてなんとか告白を思い留めようとしたが、ボランティア部の『新入部員』がカーテンを開けて現れたことによって不発に終わった


「…なぜここに居る?」


「いやーちょっと遊びに来てて」


「お前が来る所ではないだろう、立ち去れ」


「す、すみません」


顔を真っ赤にした『お嬢様』を従えながら出てきた『新入部員』の正体は時久だ

今の彼女は陽咲先輩よりもずっとストレートな悪意を私に向けてくる

かつて私の自撮りでオ〇ニーした面影は全くない


二人目のカノジョが出来たことを報告してからずっとこうだ

時久のことだから結衣の時と同じように笑って応援してくれると思ってた私がいけなかった


…マジ切れされたんだよね。

時久は私のことを不誠実だと断言してキレた勢いでボランティア部に入部してしまった

どう考えても私への当てつけだ

テニス部との掛け持ちだからいっつも居るワケじゃないんだけど、私のせいで淫行部に入部させてしまったことになるから彼女の親に申し訳が立たない


「時久さん、『お嬢様』の前でその態度は感心しないわね」


「…失礼しました」


麗奈先輩に窘められた時久は『お嬢様』を部室の外まで送る

ボランティア部の味方は麗奈先輩だけだよ…


「負け犬?もう振られてボランティア部に女漁りに来たのですか?」


「チギャウ!」


『お嬢様』と入れ替わりに入って来た詩織さんが早速、私に暴言を吐く

わぁい、敵がどんどん増えてくるよ♪


「お前こそなぜここに来た?ここはアベックのたまり場じゃないぞ」


一緒に来た眞帆先輩とソファに座った詩織さんに時久が噛みついた

この二人の掛け合い久しぶりだな

今はどっちも私のこと好きじゃないけどね♪


「嫉妬はやめてくれませんか?」


「し、嫉妬だと?」


「負け犬に振られたからボランティア部に入ったのでしょう?カップルを見ると妬いてしまう気持ちは分かりますが、あまり表に出すと見苦しく見えますよ」


「ふざけるな!私は恋人が居る者がこの部に来るのはふさわしくないと言っているだけだ。大体、奈妓に振られたのはお前の方だろう」


「ふふっ、私が振られた?私が遊園地で負け犬と小鳥遊さんにキスされた話を知らないのですか?」


詩織さーーん!そのことは無かったことにしよってぇぇ

彼女の眞帆先輩の前でする話じゃないし、もっと聞かれたらマズい人がいるんだよ


「んー?詩織ちゃんは小鳥遊ちゃんとキスしたの?」


「し、詩織お姉さま!?」


いつの間にか陽咲先輩が詩織さんの肩に手を置いていた

ほら言わんこっちゃない…


「詳しく聞かせて貰いたいなぁ」


「いえ、その…あの、、、」


さっきまでの威勢はどこへやら

詩織さんは借りてきたにゃんこのように縮こまってしまっている


「教えてくれないなら『お仕置き』するしかないカナー」


「「ひっ!」」


『お仕置き』という単語に詩織さんと時久が強く反応した

え?まさか時久も陽咲先輩に一回シメられた?

新入部員は先輩に入部早々わからせられる伝統が出来てんの?ボランティア部怖しゅぎる


「なに!?詩織になにかする気!?」


「ま、眞帆先輩はあっちで遊びましょうねー」


彼女を助けようとする眞帆先輩を引き剥がす

ここから先は子供に見せちゃダメだ


「---【自社規制】---」


「---【自社規制】---」「---【自社規制】---」「---【自社規制】---」


閉じられたカーテンの先から聴こえてくる詩織さんの声が届かないように眞帆先輩の耳を塞ぐ

詩織さん、結衣とワンナイトしちゃったことは絶対吐くなよ。もっとヤバいことになると思うぞ


「フフッなんかこういうわちゃわちゃした感じ久しぶり」


結衣が場にそぐわない呑気な声を出した

自主規制ボイスはお姉さんとテニス部部長ので慣れてんのか?


「なぜそんな落ち着いた顔をしていられる?」


「ん?」


「恋人が浮気しているのになんで落ち着いていられると聞いている」


時久ぁ…カノジョにまで絡むのやめてよ

陽咲先輩にチクるよ


「最初はこんな冷静じゃなかったよ。独りの時に奈妓はお姉さんと一緒に居るのかなって考えちゃうこともあった。でも奈妓に「寂しい」って伝えたらすぐに来てくれたんだ」


「それは恋人なら当たり前では?」


「そうかもね。でも雨の中、傘も差さないで走って来て玄関でぜーぜー言ってる姿を見たら私への気持ちは二等分じゃないって分かったんだ」


優しい表情で結衣は時久のカップに紅茶を注ぐ


「奈妓は不器用でバカだから私とお姉さん、どっちかを選ぶことが出来なかったんだけど、私は奈妓のそんな真っすぐな所が好き」


「……………」


「奈妓が悪いヤツじゃないってことは時久さんも知ってるよね?もう一度、友達になってあげれないカナ?恋人はダメだけどね」


「フンッ」


そっぽを向いてしまった時久だが、紅茶に写った彼女の顔はいくらか和らいで見えた

時間は掛かるかもしれないけど、時久といつかは仲直り出来…「---【自社規制】---ァッ!!」


詩織さん…良いところだったのに〇クなよ

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