【遠山奈妓視点】幼馴染は負けヒロイン?
屋上で暫く待っていると、姉と結衣が現れた
「……………」
「……………」
「……………ん?」
うなだれている姉の隣に立っていた結衣の異変に気付く
なんかおでこ赤くね?
「結衣、もしかして陽咲先輩におでこにキスされた?赤くなってるよ」
「違うし、頭突きしただけだから」
「頭突き!?なんで!?」
「…後で話す」
「サイの霊が憑依したの?」
「後で話すって!」
「わ、分かったよ」
どういう経緯で頭突きしたのか激しく気になったが、今は私が話さなきゃいけない時だった
結衣にも『あの日』の真実を教えないといけない
「全部思いだしたんだ」
「思いだした?」
「前にお姉ちゃんに無理矢理されたって言ったよね」
「奈妓ちゃん!」
私の真意に気付いた姉の横槍が入ったが、視線で制止する
もう悪役を演じないでいいんだよ
「あれ…実は、逆だったんだ」
「逆って…」
「そう、お姉ちゃんが私を犯したんじゃなくて私がお姉ちゃんを犯したんだ」
「私がいきなりキスしたからッ!奈妓ちゃんは悪くないの!」
「お姉ちゃん…庇ってくれてありがとう、そして…忘れてしまっていてごめんなさい。」
「奈妓ちゃん…」
「お姉ちゃんは私の罪を被って、私はそれに甘えて記憶を造り替えてた」
『あの日』の真実を聞いた結衣の表情が見る見るうちに険しくなる
私に失望したのかと思ったが違った
「それがホントだとしても奈妓のぱんつ盗んだのは事実じゃん!この人ヘンタイだよ!」
「…お姉ちゃんはワザとぱんつを盗んだんだ」
「「え?」」
「私の記憶が戻らないように『変態シスコン』の演技をずっとしてたんだよ。それでぱんつを盗んだ」
あの『物的証拠の日記』もその為のモノだったんだと思う
考えてみれば頭が良い姉が妹の誕生日という簡単なパスワードを使うハズがない
あれは姉の偽りの罪を私に植え付ける為に私に故意に見つけさせたんだ
「え?ん?あ、、、うん?……そ、そうよ!お姉ちゃんはワザと奈妓パンを盗んだの」
「絶対違ーーーう!すっごいしどろもどろじゃんか!奈妓パンとか言ってるし!キモッ!!」
「お姉ちゃんを悪く言わないでよ。お姉ちゃんは優しい人。麗奈先輩に結衣と陽咲先輩のデート写真を見せて麗奈先輩に遠回しなエールを贈ったんだよ」
「それは違うわ。ただの嫌がらせよ」
「直球で否定してますけど!?」
「ふふふっ」
「なんか「お姉ちゃんったら照れちゃって」って顔してますけど違うからね!お前の姉、正真正銘のガチクズだからね!」
「お姉ちゃんを悪く言わないでって!」
「いやいやいや、お前どうした!?この数時間でなにがあったん!?てか、もしかして私、負ける?下着ドロボウに幼馴染が負けんの!?」
「結衣…ごめん。私…」
「嘘…だよね、、、そんな」
結衣には辛い選択になっちゃったけど、こうするしかないんだ
本当にごめん
「お姉ちゃんとも付き合うよ」
「「え?」」
私の宣言を聞いた結衣が走り寄ってくる
「オラァァァッ゛!!!」
ドゴ!
「あ゛痛ぁ゛゛!!」
「本日二度目の頭突きさせんな!お前マジでいい加減にしろよ!」
涙目で結衣の更に赤くなった額を見る
走り寄ってきた時、ハグとかじゃないのは分かってたけど、まさか頭突きされるとは…
「奈妓ちゃん!私は構わないわ!奈妓ちゃんとお付き合いできるなら奈妓ちゃんに虫がたかってても耐えられる」
「虫扱いすんな!お姉さんは負けそうだったから良かったかもしれないけど、カノジョの私は納得出来ないんですけど」
「負けそうだったのは貴女の方よ。命拾いしたわね」
「はぁぁぁ゛!?姉妹そろってムカツク!」
憤慨する結衣をよそに姉は私のおでこを擦りまくる
その治療法間違ってない?更に赤くなるよ
「奈妓ちゃん、小鳥遊結衣は納得できないみたいだから、二人で付き合おっか?」
「なんでそうなるし!変態パワハラシスコン!」
「結衣、とんでもないことを言っているのは分かってる。でも信じて欲しい。結衣とのデートの日を減らしたりなんてしない、これまで以上に愛し続ける」
「ぐぅぅ~~~!」
暫く地団太を踏んでいた結衣であったが、真っすぐ見つめていると分かってくれたのか大人しくなった
「…お前、マジで責任取れよ。今度やらかしたら頭突きで済ませないからな」
結衣と姉、二人のカノジョを両手で抱きしめる
二人ともぜったいぜぇぇっーーたい幸せにするんだ
ガシ!「痛っ」ガシ!「この!」ガシガシガシ!!
なんか足元で彼女達が踏んづけ合ってるけど気にしない!




