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サムライブルー待望のエゴイスト誕生

授業中、隣の席の結衣を横目でチラリと盗み見る

彼女はノートを丁寧に取っていた。かなり集中している様子だ


よく考えてみるとこの勝負って結衣にかなり不利なんじゃないの?

だって学校って勉学に励む所だよ。休み時間だって限られてる。イチャイチャするなら放課後の方が有利だと思うんだよね。

こんな不利な条件で受けてでも私と姉を引き離したいということなんだろうけど…


コロッ


結衣が教科書のページをめくった拍子に彼女の消しゴムが床に落ちた

気づいてないみたいだから拾ってやるか


「ちゅ」


「!!!!!」


消しゴムを拾おうと腰を落とした瞬間、結衣に軽く口付けされた

私が拾い損ねた消しゴムを彼女は拾い上げると、またノートを写しだした


え、え、えええッ!

い、今キスされたよね!?白昼堂々授業中の教室で!

後ろの席の娘にバレてない?机の下だったから死角になってんのかな?怖くて振り向いて確認できないよ


キーンコーンカーンコーン


1現目の終了を告げるチャイム

教室の雰囲気は一気に軽くなった




「次の化学の授業、移動教室だよ」


「う、うん」


何事もなかったかのように結衣に話しかけられた

もしかしてさっきのってただの事故だったりする?消しゴム拾うタイミングが一致しちゃった?

そんなことを考えている内に化学室に着いて席に座った


「ゆ、結衣さん?」


「授業中だよ?私語すると怒られるから話しかけないで」


そ、そうは言いましてもね

ガッチリ手握られてるんですけど

化学室は横に椅子が並んでるから他の人には見えづらいけどこれはドキドキするよ

さっきのは偶然じゃなかった、結衣は1分も無駄にしないで攻め続けるつもりなんだ

サムライブルー待望のエゴイスト誕生だよ!




3現目は教室に戻って現国の授業なんだけど、もはや作者の気持ちなんて考えてる余裕はない

結衣のことが気になって集中なんて全然できっこない

予告ドッキリの企画の芸人みたいだよ!なんて日だ!


「ねー?奈妓」


「な、なに?」


さっき授業中に私語はするなと注意してきたくせに小声で私に囁いてくるエゴイスト


「ノート忘れたから半分貸して」


「えぇ?」


教科書忘れたから見せてなら分かるけど、ノートを半分貸すなんて聞いたことがない

他の教科のノートに書けばいいんだろうけど、またなんか仕掛けてくる気でいるんだろうな


『好き』


!?


寄せたノートに書きこまれた文を見て察した

筆談するつもりなんだ、リアルタイム交換日記


『私も好き』


『好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き』


あっという間にノートの半分が『好き』で埋まる

文字で伝えられているだけなのに身体が熱くなってきた


『ちゅーしたいキスしたい口付けしたい接吻したい』


私の領土にまで侵入してキスの様々な言い回しを綴られる

結衣先生の国語の授業は刺激的過ぎる




「……………」


バシンッ!


「ちょっとぉー?なにぼーっとしてんの?」


「あ、ごめ」


4現目の体育、結衣が放ったスパイクに私は全く反応出来ずにいた

ぼっーとしてたのは君のせいなんだけどね


バレーボールは転がって何故か少し開いていた体育倉庫に吸い込まれていく

私は急いでボールの行方を追った


「あったあった」


!!!!!


ボールはすぐに見つかった

拾って戻ろうとしたが、いつの間にか結衣も倉庫に来ていて跳び箱の裏に連れ込まれる


「どうしたのぉッ!??」


「ん、あ、ちゅ、んっ、んっ、じゅっ、ちゅ、、、」


首の後ろに手を回されて激しいキスをされる

付き合って何度もキスしてきたけど、朝からの責めが効いているのか今までで一番情熱的に感じる


「ちゅ、好き、ちゅちゅー、ん、はっ、好き、好き、んはっ、あっ、好き」


キスの合間に紡がれる『好き』という言葉

文字なんかじゃ伝えきれない気持ちが舌を通して濁流のように流れこんでくる

いつしか私も彼女の首に手を回して無我夢中で気持ちに答えていた




「んー?二人ともいないなぁ…ボールはあるのに」

「えー?確かにここに入って行ったよねー」


!!!!!


ま、まずい!

私達が中々現れないからクラスメイトの藍川さんと喜田さんが様子を見に来たみたい


「~~~ッ!」


聴こえてなかったのか、結衣はキスを止めない

トントンと肩を叩いてみたが一向に止まる気配がない


「ねぇ、なんかへんな音しない?」

「奥から聴こえてくるね」


二人が恐る恐る近づいてくる気配を感じる

やばい、やばい、やばいぃぃッ!!!

どうする?むしろ大きい音出してネズミでしたってことにする?

それは無理があるーーーーー!!!




「「あっ」」


跳び箱の裏側を覗いた二人と目が合う

直前にキスは止めることが出来たが、お互い顔を赤らめながら抱き合ってる姿は言い逃れ出来ない


って、普通にバレるんかーーーーーい!!!

こういう時って漫画だとギリギリで普段頼りない先輩が機転を利かせて気を逸らせたりしてくれるよね?

先輩達なにしてんの?あ、授業受けてんのか…


「いやー奈妓の発作が突然でちゃって大変だったよ」


え?


「発作?」

「病気なの?」


ちょっと無理がある気がするけど持病ってことで誤魔化すつもりかな?


「奈妓って定期的に可愛い女の子と抱き合わないと暴れちゃうんだよね」


おい


「そ、そうなんだ」

「私で良かったら手伝おっか?」


「あーだめだめ、発情中は牛みたいに暴れるから慣れてる私じゃないとだめ」


おい


「…そっか、みんなにはナイショにしておくね」


「そうして貰うと助かる」




二人が去った後に再び結衣を抱く、いや、絞めつける


「たぁかぁなぁしぃぃぃッ!!」


「懐かしい呼び方じゃん」


「なぁぁんで私が定期的に可愛い女の子と抱き合わないと暴れちゃう病になってんだよぉ!!」


「ボランティア部って部員が100円で抱かせてくれるらしいよ」


「知ってりゅッ!!」




ボランティア部といういかがわしい部活を紹介された所でチャイムが鳴って体育の授業は終わった

チャイム君も遅いんだよ!バレる間際に鳴れよ!

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