姉と幼馴染
それからというものの姉と抱き合うのが日課になった
結衣と日中会って、夜に姉と抱擁をする
100円は貰ってるけど、それは建前にもなってないことは分かってる
「宿題はもう終わった?」
「うん…」
夕飯後、姉妹は抱き合いながら会話を交わす
ぶっきらぼうな返答をしたが、心の中は心地よい
「奈妓ちゃんは頭良いから簡単だったでしょ?」
「お姉ちゃんに言われたら嫌味にしか聞こえない」
「フフッ、そんなつもりじゃないよ」
タイマーはセットしていない
全肯定してくれる姉との時間を縛りたくない
「もう少し髪伸ばしてみない?奈妓ちゃん髪綺麗だから似合うと思うな」
「そしたらお姉ちゃんと似てきちゃうじゃん」
「じゃあお姉ちゃんが短くしちゃおっかな」
「それは駄目」
「え?どうして?」
「…うるさい」
「フフッ、どうしてかな?」
優しくよしよししてくれる姉
このままじゃまずい、これを続けたらその先に進んでしまう
今顔を上げたら『禁忌』を犯してしまう
そうなる前にこの関係を終わらせないといけない
「夏休み、もうすぐ終わっちゃうね」
「うん」
「楽しかった?」
「まぁまぁかな」
深淵の底の私が耳元で「このまま続ければ良い、誰が損をする?バレたってどうせ別れないさ、本当は今の状況に興奮してンだろ?だったらどっちも喰らい尽くしてやれば良い」と、讒言をした。
闇の中の私は真っ黒な眼をしていて、口を引き裂きそうなほど三日月型に開いて笑っていた
ピコン♪
「!?」
いきなりスマホが鳴って必要以上にびっくりしてしまった
タイマーかけてないから鳴らないと思って油断してた
姉の背中に回していた腕を解いてスマホを確認しようとする
その時、首に下げてあった結衣に貰ったネックレスが揺れた
「……………」
スマホを見ると結衣から「今なにしてるの?」と、ラインが来ていた
心臓が口から出そうになった…完全に浮気してる女の反応だ
「漫画読んでた」と、嘘を吐く自分に嫌気がする




