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とある創造神とダンジョン支援システムの受信履歴

小森が異世界転移して51日目―――――――


『告。送信主からクレームを受信しました。』

「えぇ…クレーム?もしかして「まだ元の世界に帰る手立ては見つかってないのか」とかそういうのだったりするかい?」

『回答。クレームの内容は、「ダンジョン戦争でレベル100以上一人とその他高レベル魔物という圧倒的格上を相手にして討伐した結果、上がったレベルがたった4つでした。明らかにバグってます。レベル上げに関するシステムの早急な見直しを要求します」との事です。』

「はっ!?レベル100以上を相手にして上がったレベルがたったの4!?有り得ないだろう!?原因は!?」

『回答。撃退した魔物達の非正規のレベリングにより、レベルシステムに不作動が発生。それにより当魔物達のレベルは討伐した数と強さの魔物分の経験値分上がったものの、当魔物達の魂に刻まれた経験値数、強さに変動がありませんでした。クレームの送信主の言葉を引用するならば、「カカシをただ殴って表面的に強くなった空虚なハリボテ」です。』

「魔物をサンドバッグにしたレベリングのせいか!!!そして分かってたけど結構言葉キツいね送信主の子!!」

『告。また、深層心理内では「楽しようとテストや宿題でカンニングばっかりして学校の成績は良いけど実際の頭は悪いままな無駄にプライドの高い見栄っ張り野郎のような魔物達」とも称していました。』

「深層心理はもっと言葉がキツい!過去に学校で何かあったの?! 確かに分かりやすくはあるけれどね!!とにかく、こんな事が起きないようにこの不具合の修正してくれるかい?」

『回答。既に送信主よりレベルシステムに要請を出されており、不具合の修正に取り掛かっております。』

「やっぱり神より君の扱いが上手いねその子?」


小森が異世界転移して52日目―――――――


『告。送信主の心拍数の急激な上昇と息切れを感知。』

「心拍数の上昇と息切れ?」

『告。非常時の自己防衛に備えて戦闘訓練と魔術訓練を行っているようです。』

「ああ、なるほど!確かにダンジョン戦争や外で誰かに襲われる事を考えると自衛が出来たほうが良いからね。特訓の教官は誰がやっているんだい?」

『回答。戦闘訓練の教官はエンシェントサラマンダードラゴン、魔術訓練の教官はアークデビルロードです。』

「待って?その2体が教官じゃ人間とのステータスの差が酷すぎて…」

『告。本日の戦闘訓練のメニュー。100mランニング50周、木刀の素振り1000回、腹筋運動1000回…』

「やっぱり!!人間の、それも今まで本格的な訓練を受けてない人にそれだけの訓練はキツいから止めてあげて!」

『……をエンシェントサラマンダードラゴンに提案されたのを送信主が即時却下。「人間の身体能力の限界」を説明し、最初に言ったメニューの5分の1に減らしました。』

「良かった……。いやそれでも多いぐらいだけどさ…。魔術訓練の方のメニューは?」

『回答。本日の魔術訓練のメニュー。魔力操作の練習のみです。』

「ああ良かった!意外と人間のレベルに合わせた普通の訓練だね。」

『告。なお、二人の生物が接触箇所から魔力を循環させる相互循環法による魔力操作の練習をアークデビルロードと送信主が行ったところ、魔力許容量の低い送信主が魔力を循環出来ず、軽度の過剰魔力反応を起こしました。その後、過剰魔力反応を出さないギリギリの魔力を循環させ、魔力操作を身につける内容へと切り替わりました。』

「スパルタァ!」


小森が異世界転移して53日目―――――――


『告。先日のダンジョン戦争で引き抜かれたコボルト1体が送信主と接触。一方的な会話を行った後、その場を去りました。』

「送信主に一方的に会話?内容はどんなものだい?」

『回答。一部の会話内容を再生します。「なんでもっと早く助けてくれなかったんだ」「人間が憎くてたまらない」「あの男の息の根を止めておけばよかったのに」「人間が憎い。あの男が憎い。お前が憎い。」』

「怖っ!?え、闇深っ!?闇が深くないかいそのコボルト!?人間への憎悪がとんでもない事になってるじゃないか!!そしてそれを人間である送信主に言ってるのも怖い!というか送信主の子はそんな事言われて大丈夫なの?!」

『回答。当コボルトは地球の言語を用いていませんでした。送信主は異世界言語を持たないため、当オペレーターシステムの通訳、または第三者からの通訳なしでは内容を理解する事は出来ません。』

「あ、そっか、その子は異世界言語スキルないんだったね…。でも表情とか雰囲気でそういうのって分かりそうだからなぁ…。送信主の反応は?」

『回答。「そんなに喋っていて喉が乾かないんですかね?」という感想を抱いたのみでした。』

「あっさりしすぎじゃないかな?」


小森が異世界転移して55日目―――――――


『告。送信主が魔力操作をマスターしました。その後、全属性の初級魔法をマスターしました。』

「あ、もうそこまでいったんだね。スキルが覚えやすくなる特典は問題なく作用しているようで安心したよ。」

『告。更に、全属性の初級魔法をマスターしたことでスキル<魔術の叡智>を獲得しました。』

「あー…。ゼノスの管理する世界の住民…特に地球の子はほぼ全員何故か賢者とか大魔術師の素養があるからね。送信主の子は賢いみたいだしそうなるよね。」

『告。しかし、現段階において送信主の魔力保有量では<魔術の叡智>を十分に御するには不十分だと送信主が判断。』

「魔力が少ないのに<魔術の叡智>を獲得した異世界転移者が調子に乗って大魔法を発動させて魔力切れを起こすケースが多いって聞くからね…。送信主はもう対策を考えたのかい?」

『回答。配下のウィッチに魔女の装具の製作を依頼しました。』

「なるほど、魔女の装具は装着者の魔力量に合わせて制限を掛けたり調整をしてくれたりする魔道具だからね。確かにそれなら間違って大魔法を使って魔力切れするようなトラブルは起きないね。賢明な判断だよ。解決したようで良かった良かった。」

『告。なお、<魔術の叡智>獲得条件について送信主よりメッセージが送られてきました。これより内容を音読します。』

「え?」

『件名、「地球の創造神を筆頭とする創造神の皆様へ。今までは神様相手に失礼になると思って我慢していましたが、流石にちょっと限界があるので言わせてください。嫌なら最後まで確認しなくて結構です。」』

「え?え?」

『「創造神達の仕事ガバガバすぎじゃないですか?なんで<魔術の叡智>っていう強力なスキルを簡単に獲得出来ちゃう素養を持った世界の住民の異世界転移をホイホイ許しちゃってるんです?普通に考えて無断の異世界転移って人身売買とか誘拐行為に当たるとおもうんですがなんでそんな問題を放置しちゃっているんですか?もしも異世界転移自体が駄目ならなんで規制を掛けるなりシステムを作るなりして取り締まってないんです?そこは法も何もないスラム街なんですか?」』

「ちょっ」

『「大体異世界転移初期に<オペレーター>さんから聞きましたけど50年に一度世界の文明の発展度を書類で報告ってどんだけペースの遅い報告なんですか?その50年間の間に疫病とか隕石とかで文明が一瞬で滅亡とか有り得るのにそんな報告で大丈夫だとお考えなのが可笑しいと思わないんですか?変にそんな定期報告システムなんてあるから私が今いる異世界の創造神のように殆どまともに世界の様子を知らずに管理も疎かになったことが原因で文明が中々進まなくて異世界から住民を連れて代わりに文明を進めてもらおうなんて考える創造神が出るんですよ。」』

「ひぇっ」

『「報告システムを付けるならもっと仕事が行き届くように定期報告のペースを遅くても5年周期ぐらいにしてくださいよ。あと創造神達が管理をサボってないかの監視を付けたりとかやり方はあるじゃないですか。私は地球に住むなんの変哲もないただの高校生なので神々のやり方は分からないですけど、自分たちの用意したシステムの更新とか色々やれる事があると思うんですよ。バグや違法行為出し放題、運営側の管理ががさつってゲームで言ったらかなりのクソゲーじゃないですか。」』

「待っ」

『「最近地球で創造神がクズ設定の異世界ラノベとか出てるの知らないですか?誰かが異世界転移なんて企む考えが出ないようにするのも創造神の仕事だと思うんですよ。なのに何故現在進行形で異世界転移者が出ちゃってるんですか?異世界間の誘拐が起きてますよ?異世界転移をその人が望んでたのならまだしも、私異世界転移を拒否したのに異世界転移をさせられてるんですが?それもステータスが低くて面倒だからって理由で碌な特典も用意されずにダンジョンに放り出されてるんですが?しかも運営してたダンジョンに重傷者放り込まれて濡れ衣着せられそうになるし、他の異世界転移者には無理矢理ハーレムに入れられそうになるし、おまけに<魔術の叡智>なんて宝の持ち腐れのようなスキルも勝手に手に入るし…。なんです?これは私に魔王になれって言いたいんですか?魔王になって私を異世界につれてきた創造神を叩きのめして管理システムをどうにかしろって神託ですか?私は自分の安全地帯でのんびり暮らしたい生活したいだけなのにふざけんな私にそんな使命を押し付けてくるなよ面倒くさいはやくこの問題をどうにかしろ」』

「いぇ、イェラン神―!ちょっと世界の管理に関することで相談が!!!大至急に!!!」


小森が異世界転移して56日目―――――――


『告。』

「ひっ!?メッセージかい!?ま、まさかまた昨日みたいなのが…」

『否定。本日はメッセージを受信していません。』

「そ、そうなのかい?」

『肯定。ただの報告です。』

「そ、それを聞いて安心したよ…。それで、今日はどんな報告かな?」

『告。コボルト1体が送信主と接触。一方的に会話を行った後、その場を去りました。』

「あっデジャヴが。」

『告。その会話の一部を再生します。「あの男の喉笛を掻ききってやりたかった。」「何故ホワイトはあのダンジョンに残ったんだ。」「憎むことしか出来ない自分が憎い」』

「だから闇が深いよ!!送信主の子もそのコボルトも言ってる事がどっちも怖いよ!!誰かメンタルケアしてあげて!?」

『告。なおその間ゴブリンと送信主とコボルトでババ抜きを行っていました。』

「表面だけ和やか!!」


小森が異世界転移して57日目―――――――


『告。ダンジョンマスター用の魔女の装具が完成しました。』

「ああ、もう完成したんだね。それは良かった。それがあれば魔力切れを気にする事なく魔法が使えるからね。」

『………。』

「………。」

『………。』

「……あれ?この後何か変な事があるんじゃないのかい?」

『回答。魔女の装具が完成した事以外報告すべき内容はありません。』

「嘘でしょ!?何かこう、試しに大魔法を使ってみたりとかして近くの魔物に当たったとかそういうのは?!」

『回答。魔女の装具のチェックを行いはしましたが、そのような事はありませんでした。』

「普段の報告はツッコミがありすぎてそれが普通かと思いかけてた……。僕、送信主のダンジョンに染まりかけてるなぁ…。」


小森が異世界転移して58日目―――――――


『告。送信主のダンジョンに先日のパーティーの開催主であるダンジョンマスターとパーティーで交流したダンジョンマスター2名が来訪しました。』

「え、ダンジョンマスターが二人?何のために?」

『回答。ダンジョン戦争に勝利したことへの賞品を渡すため、ダンジョン戦争で引き抜かれた魔物たちの様子を伺うため、また送信主のダンジョンで地球の料理「稲荷寿司」を食すためが目的とされています。』

「明らかに最後が本当の目的だよね!?他はどう考えても表面的な理由でしかないよね!?」


小森が異世界転移して59日目―――――――


『告。コボルト1体が送信主と接触。』

「ああ、最近報告に出る色々不穏なコボルトくんだね。また闇の深い独り言を言うのかな…。」

『一方的な会話を行った後、送信主の頬を軽く抓り、その後頬を揉みました。』

「待ってどういう事!?頬を抓って揉む?!なんで?!」

『告。その直後エンシェントサラマンダードラゴンが現場に遭遇。送信主が危害を加えられていると勘違いしたエンシェントサラマンダードラゴンがコボルトを抑え込み首の骨を折ろうと試みました。』

「エンシェントサラマンダードラゴンくん物騒だなぁ!!確かにそれを見たらそうなる気持ちは分かるけど勘違いだよ?!多分!」

『告。その後、送信主がエンシェントサラマンダードラゴンの誤解を解き、コボルトを解放しました。コボルトは無傷、そのまま送信主の元を離れました。』

「結局頬を抓ったり揉んだりした理由はなんだったんだい…??」


小森が異世界転移して69日目―――――――


『告。送信主のダンジョン内で魔物たちによる運動会が開催されました。』

「ああ、最近報告で聞いていたイベントか。楽しみにしていたよ。それでどうだったかな?送信主は楽しんでいたかい?」

『回答。結論から言いますと途中で逃亡を図りました。』

「なんで?!なんで逃亡?!」

『回答。一部魔物達のパフォーマンスに感動した送信主が無意識に伴奏していた曲を歌唱。それが手持ちのマイクで拡散されたことで魔物たちに聞かれたことが発覚した事が理由です。』

「あぁ、それとっても恥ずかしいやつ…。まあ、思わず歌ってしまったってことはそれだけ良かったってことだよね。」

『告。一時逃亡を図ろうとしたものの、アークデビルロード達に説得され、渋々逃亡を停止。その後は最後まで運動会の観戦をしていました。』

「うんうん。楽しそうで何よりだよ。…因みに、その子が歌ってた時の記録って再生出来るかい?」

『回答。その質問に対する回答としてあるメッセージが設定されています。』

「えっ」

『「それ以上追求したら許さない。」』

「ひぇっ!」

『以上です。それでも再生を望みますか?』

「だ、大丈夫だ!必要ない!」

『了。畏まりました。』

「……問題の創造神、送信主の子に会ったらどうなるのかなぁ…。」




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― 新着の感想 ―
[一言] そりゃあ、メンタルをバラバラに引き裂かれた上で配下達に物理的にバラバラに引き裂かれるのでは?
[一言] この神様とのやりとり一番好きだわ。
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