表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

76/231

とある創造神とダンジョン支援システムの定期報告

小森が異世界転移して33日目―――――――


『告。送信主のダンジョンにケネーシア王国の使者が来訪。送信主のダンジョンのダンジョンアイテムの鑑定調査と、ケネーシア王国第一王女、第二王子の体調の異常についての相談が目的のようです。』

「鑑定調査…ああ、<鑑定>が使えないからか。確かに市場価値を知るという意味でも必要だろうね。使者というのは前にダンジョンでその子に助けられたという騎士かい?」

『回答。それに加えケネーシア王国王太子と第一王女、第二王子、専属魔術師が共に来訪しています。』

「さらっと凄い大物が出てきたね。王族がダンジョンの主と話に行くって色々問題じゃないかな?それで、体調の異常というのは?」

『回答。アレルギーと喘息による体調の異常です。送信主が存在する世界の文明が未発達なため、その世界の住民はそれらの症状を呪いの一種だと勘違いしていたようです。』

「あー、文明未発達の世界に良くある話だね。それで、なんとか解決したのかい?」

『肯定。送信主が症状を抑えるための薬を処方し、一週間様子を見て副作用がなければ定期的に薬を処方する事で解決しました。』

「なんで文明未発達の世界でアレルギーや喘息を抑える薬を持ってるの?!」


小森が異世界転移して34日目―――――――


『告。送信主のダンジョンで火災が発生しました。』

「ええっ、火災!?一体何があったんだい!?まさかまた、国のゴタゴタで暗殺犯が奇襲してきたんじゃ……。」

『回答。調理中のリリスと第一王女がブランデーを熱したフライパンに注いだ事が原因です。』

「心配して損したよッ!!!!というかなんでリリスと人の王女が料理しているの!?」

『回答。女性としての魅力を上げる事を目的にシルキーと送信主の監修の元、料理の練習をしていたそうです。』

「そういえば、そのリリスは女性の魅力対決で負けてたんだっけ…。でもなんで熱したフライパンにブランデーなんて…」

『回答。「お肉を焼く時にお酒掛けると炎が出て凄い格好いいの!」とリリスが言い出し、シルキーが目を離している隙にフランベを試みた事が理由です』

「料理初心者がフランベなんて止めようね??誰か怪我とかしていない?」

『回答。被害は負傷者一名。火災の発生に焦ったリリスが投げた火の付いたフライパンが水を汲むために調理場にいたオーク一体に直撃し、オークの身体が半分焼かれた事によるものです。リリスと第一王女はシルキー達から一時間説教を受けました。』

「オークーーーーーーーーー!!!」


小森が異世界転移して35日目―――――――


『告。王太子と騎士Cが送信主と宝箱の中身に関しての会議を行いました。』

「あれ、なんで王太子達とダンジョンマスターがダンジョンアイテムの話し合いを?」

『回答。送信主は外の世界の市場の混乱を恐れ<カスタム>や<ガチャ>で手に入った武器やアイテム、消耗品と1割の調度品をダンジョンアイテムとして宝箱に入れていました。今回各国の市場状況を把握していて、なおかつ<鑑定>出来る人間が来訪したためダンジョンアイテムに出来る範囲を広めようとしたようです。』

「真面目だね…。宝箱の中身って普通のダンジョンマスターは適当に入れちゃってる事が多いのに。」

『告。結果、現在送信主が倉庫に貯蔵しているアイテムの8割が国の市場を混乱に陥れかねないアイテムと判断されダンジョンアイテムに不適格。1割がダンジョンアイテムに適用可能。他1割が次の来訪まで保留と判断されました。』

「どれだけ価値の高い財宝を倉庫に入れてたんだい????」


小森が異世界転移して36日目―――――――


『告。送信主とシルキー達の監修のもと、リリスと第一王女が焦げたケーキを作成。その後第一王女が転倒し、ケーキの失敗作がオークに直撃しました。負傷者一名です。リリスと第一王女はアラクネAから二時間説教を受けました。』

「オークーーーーーーーーー!!!」


小森が異世界転移して37日目―――――――


『告。第二王子と送信主とゴブリンとアラクネCが粘土遊びを行いました。』

「ああ良いね。最近色々ツッコミどころしかない報告が多かったからこういう和やかな報告は聞いてて本当にホッとするよ。完成した作品の記録はあるかな?」

『回答。完成した作品は此方になります』

「ああこれが…って、2つやたらに上手いのがないかい?え、ドラゴンとパグ?専門家が手を加えたんじゃないかな!?」

『告。パグの作品は送信主が、ドラゴンは第二王子が作成しました。』

「まさかの才能が開花しちゃってる!?」


小森が異世界転移して38日目―――――――


『告。リリスと第一王女が料理の練習を行いました。』

「大丈夫??またオークくんが怪我してない?嫌だよ、オークくんが焼豚になっちゃってるのは。」

『回答。今回は火を使った料理ではなく、ゼリーの製作を試みていました。負傷者はいません。』

「聞いて本当に安心したよ。3回も戦闘で関係のない所で怪我したら可哀想だからね。」

『告。ただし、リリスが転倒した拍子に完成したゼリーをアークデビルロードとフェアリーロードにぶち撒けました。』

「なんて事してるの!?!なんて魔物にやっちゃってるの!?」

『告。その後、第一王女とリリスはアークデビルロードとフェアリーロードから二時間説教を受けました』

「説教だけで許してもらえた事に衝撃だよ……。特にアークデビルロードくんに…」


小森が異世界転移して40日目―――――――


『告。一週間薬の副作用が出なかった為薬が安全だったと判断され、ケネーシア王国の使者達が王宮へと帰還しました。』

「そうか…それは良かったね…。もうリリスと第一王女の料理練習の被害がなくなるんだ……」

『告。帰還する際にリリスと第一王女が「王宮に戻っても料理の練習を続ける」と約束していました。』

「止めて?本当に止めてあげて?これ以上被害が増えるのは本当に勘弁してあげて?」

『告。その現場を目撃した第一王子が第一王女を説得し、王宮内での料理の練習の阻止に成功しました。』

「ナイス第一王子。」


小森が異世界転移して41日目―――――――


『告。送信主の元に手紙が送られました。内容はダンジョンマスター同士の交流パーティーの招待状のようです。』

「あ、そうなんだ。ダンジョンマスター同士の交流会っていうのは良く聞くし、他のダンジョンマスターから知識を教えてもらうのは良いんじゃないかな?その子自身は言葉が分からなくても、その子の配下の魔物を連れていけば最低限の会話は大丈夫だろうし。」

『告。送信主はパーティーの参加に消極的だったものの、パーティーへの参加を渋々、やむを得ず、仕方なく決断しました。』

「どんだけパーティーの参加を渋ってたの?」

『告。その後、配下全員がパーティーへの同行を望んだため、魔物全員のジャンケンが行われました』

「ダンジョンマスターと魔物たちのパーティーへ行く事への格差を感じる。」


小森が異世界転移して42日目―――――――


『告。パーティー内で送信主がダンジョン戦争を申し込まれました。』

「ダンジョン戦争!?え、パーティーで何があったの!?もっと詳しく説明してくれないかなぁ!?」

『回答。送信主が楽器を演奏するグレーターワーウルフ達と会話をしている際にグレーターワーウルフ達の主人である異世界転移者、Tと遭遇。Tは送信主の前に異世界転移させられた者と推測します。』

「送信主の子以外にも異世界転移させてたのか…!」

『告。Tは送信主に<誘惑(テンプテーション)>を使用し、自身のダンジョンへの引き込みを試みましたがフェアリーロードが召喚した守護精霊の防御魔法により阻止。その後送信主に正論を言われ腹を立てたTが送信主にエールを掛けました』

「待って待って待って!?今度は情報が多すぎて付いていけないから!なんて事をしているんだい、そのTって子は!?無礼ってどころの話じゃないだろう!?初対面なんだよね?!」

『肯定。初対面です。更にTの配下の魔物、ヴァンパイア・ロードが闇属性の上位魔法で送信主を攻撃。フェアリーロードが事前に<精霊結界>を使っていた為無傷でした。』

「あ、有り得ない…。まさか、命まで取ろうとしてるなんて…。でも、確か異世界転移の対象はそんな精神に異常を持つ人間は選ばれないはずじゃ…」

『告。なお、Tには罪への罪悪感を減らすための精神干渉の痕跡がありました。精神干渉をしたのは恐らく精神状態を安定させるためであり、実行したのはTの配下であるリリスだと…』

「まさか精神干渉していたりしてないよなあのクソ創造神!?!神の精神干渉は対象の精神を歪ませるから禁じられてるっていうのに!イェラン神に問題の創造神の罪がまた出た可能性があるって連絡しなくては!!!」

『……………………。』


小森が異世界転移して43日目―――――――


「ふぅ…、イェラン神との話し合いに一日掛かってしまった…。もしも実行した創造神が特定出来たら一発殴らないと気が済まないな…。すまないね、オペレーターシステム。昨日の報告の途中だったね。それで、その後何があったか教えてくれないかな?」

『回答。答えられません。』

「え?なんて?」

『回答。送信主の要望により黒歴史の閲覧可能レベルを最高ランクに引き上げられているため、昨日の報告の続きは出来ません。』

「いつの間にそんな事を!?送信主の子、神以上に君を上手く扱ってないかなぁ!?」

『回答。それでは今日の報告を行います』

「せめて何があってダンジョン戦争を行う事になったのか教えて!?!」


小森が異世界転移して50日目―――――――


『告。送信主とTのダンジョン戦争が行われました。』

「結局パーティーで色々やられた後、何があってダンジョン戦争を始める事になったのか聞けなかったよ…。結果はどうだったんだい?」

『回答。送信主の勝利で終わりました。』

「ああ、そうなのか!良かった、ダンジョン戦争は負けたら相手の要求を絶対に飲まなきゃいけないからね。精神を改悪された者が勝ってたらろくな要求をしないだろうし、勝てたなら本当に良かったよ。報告を聞いている限り送信主の子はかなり温厚なようだし、相手が酷い目に遭うようなとんでもない要求はしないだろうからこれが一番良い終わり方じゃないかな?」

『…………回答。そうですね。』

「待って、なんだい今の間は?まさか…」

『回答。とんでもない要求はしていません。』

「相手が酷い目に遭う要求をしたってことかい??」

『……………告。以上で本日の報告を終わります。』

「あっ、会話を強制終了した!待って、送信主は一体どんな事を要求したんだい!?ねぇ?!ちょっと!?!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] とある創造神とオペレーターの報告とツッコミが凄い笑えます(むせてしまうほど笑) 『オーーークーー!!』(笑) [一言] このまま投稿頑張って欲しいです! とても面白くて毎日の楽しみで1日…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ