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あ、私リアルより二次元派なので…

トイレ休憩を終えた後に再開された女の魅力対決は、ある意味圧倒的だった。

ベリアルが監視している為にもうマリアは魔法を使ってインチキをする事が出来ない。

私はなんとなく予想がついていたけれど、魔物たちにとっては予想を裏切るものだったようだ。


掃除部門では、参加者たちにわざと泥と埃で汚した小道具入れを用意して、時間以内に此方が用意した掃除道具を使って綺麗にしてもらった後に出来るだけ多くの小道具を中に入れるという内容で挑んでもらった。

審査員達が選んだ掃除部門の最優秀者は、スライムのスラっちだった。

スラっちは自分の身体の中に小道具入れて掃除する方法は取らず、短時間で器用に道具を使って小道具入れを掃除して、更には入れる小道具もピカピカに磨いてから小道具入れに整理整頓してみせたのだ。

2位はアラクネ三姉妹の中で大和撫子風のお姉さんキャラである、ラク姐さんだった。アラクネ三姉妹の中でも綺麗好きなラク姐さんは時間内に丁寧に掃除して汚れ一つない小道具入れに仕立て上げ、見事な収納術で多くの小道具をその使用目的に分けて整頓して中に入れてみせた。

問題のマリアはというと、小道具入れの汚れを落とすどころか誤って洗剤を出しすぎた上に十分に水で流さなかったために小道具入れの中を更に汚してしまった。

さらに、時間ギリギリに慌てて物を突っ込んだために中もグチャグチャ状態。

細かく小さいピアスを底に雑に入れて上に大きな化粧品を突っ込んでいたりもするので、中の物を取るのにかなり苦労しそうだ。


次に行われた裁縫部門では簡単なぬいぐるみやマスコットを作ってもらった。

審査員に選ばれた裁縫部門の最優秀者は、アラクネ三姉妹の姉貴キャラ、アーシラ姐さんだった。

アーシラ姐さんはその姉貴っぷりとは裏腹に繊細な小物作りが得意なのだが、今回アーシラ姐さんが作ったゴブ郎のぬいぐるみも、ディフォルメされていながらも細かい所までよく出来ていた。

この後アーシラ姐さんに貰ってもいいか確認したら、プレゼントしてくれた。むしろ、私に渡したら喜ぶだろうと作ってくれたのだという。

これは本当に嬉しかったので、マイホームに飾って大切にしようと思っている。

2位に選ばれたのは、アラクネ三姉妹のおっとりお姉さんキャラ、ネア姐さんだった。

可愛いもの好きのネア姐さんの作った可愛らしい角の生えたウサギのぬいぐるみ(<オペレーター>に聞いてみたらホーンラビットという魔物らしい)は、ラク姐さんとかなり僅差ではあったものの見事に2位を勝ち取った。

それらに対してマリアの作ったぬいぐるみは、見たら軽く正気度が削れそうな猫の魔物?のぬいぐるみだった。

何故疑問符がついているかというと、マリアの作ったぬいぐるみは編み目が粗いせいで綿が出まくっている上に生地の裁断が上手く出来なかったようで生地がガタガタ、しかも使った生地が赤と桃色を使っていた為に、どうみても哀れななにかの肉塊のぬいぐるみにしか見えないのだ。

大体の事はなんでも分かる<オペレーター>も、この作品に関しては『恐らく』と曖昧な言葉を付けていた。

これ、次にまたお化け屋敷を作る時に置く設置物として置けはしないだろうか…。


その次に行われたのは仕事力部門。仕事力といっても皆それぞれ役割が違うので、対決の内容はダンジョンの仕事に関する事柄を問題化させたクイズだ。

クイズに出る問題の内容は全体指揮担当のベリアルに用意してもらった。

私は皆の答えが合っているのか分からないので、一時司会をベリアルに変わってもらい、問題を出してもらった。

出された問題の数は全部で20問。事前にベリアルから問題内容をなんとなく教えてもらったけれど、冒険者たちの戦闘担当や仕掛けを動かす担当、ルール違反したり隠し条件を満たした冒険者たちの相手役に関する事まで問題になっていた。

そんな中、一番正解数が多かったのは全問正解し見事同率一位となったシシリーとラク姐さんだった。

なんでも二人は勝負するジャンルの中に仕事力があると分かって、どんな内容でも対応できるように此方が用意したマニュアルを読むだけでなく、他のルート管轄の魔物たちから彼らの仕事に関して色々聞いていたのだという。

2位は普段から掃除や冒険者達の移動で色んなルートを移動し、他の魔物たちの仕事ぶりを見ていたスラっちだった。

モニターを見ながら仕掛けを動かしたりする司令室は交代制で掃除をするため彼らの仕事内容をあまり知らなかった為に2問失点していたけれど、それでも十分に記憶力が高いと思う。

そして、そんな1位2位に対し、マリアが正解した問題の数はたったの3問…。

しかも聞いてみればその回答の大半は「他の魔物に任せる!」だとか「男の魔物に全部やってもらうように頼む」というなんとも見過ごせない回答ばかり…。

この様子だと、女性勢の言う通り他の魔物達に仕事を全部押し付けていたのだろう。

流石のベリアルもこの結果は見過ごせなかったようで、マリアは数十分もの間お説教されていた。


ここまで来ると男性魔物達もマリアの本性が分かってしまったようで、失笑していた。

そりゃあそうだろう。いくら容姿が魅力的で力が強いとしたって、料理も掃除も裁縫も出来ない、真面目に仕事をしない完全女王様体質の女の子の何処を魅力的だと思えばいいのか。

魔物たちの世界では弱肉強食がモットーなのだろうが、私のダンジョンではゴブ郎がベリアルとイグニから勝ってしまうなんて事があるくらいだ。それだったら、美味しいご飯を用意してくれて掃除も裁縫も出来る家庭的な女性魔物の方が良いと思うだろう。


ベリアルがマリアの説教をしている間に差し入れのお茶とお菓子を持ってモニタールームの様子を見に行ったら、案の定中継を見ていたスケルトン達が項垂れていた。

どうやらマリアはかなり多くの魔物たちを魅了していたようだ。

マリアにこき使われ、色々搾り取られる前に夢から目覚められたのは、彼らにとって不幸中の幸いだろう。

今回の勝負の記録は後で冒険者たちを相手にしている魔物たちにも見せるつもりだけど、意気消沈しすぎて明日運営がままならないなんて事が起きないことを祈るばかりだ。


私が食堂に戻ればベリアルのお説教は終わったようで、涙目のマリアが顔を青くして参加者の待機場所にいた。この数十分の間にどんだけ説教したんだ。

さて、最後はルックス部門。マリアが最も得意とするジャンルだ。

これは単純な勝負内容で、参加者の女性魔物達の中で最も容姿が良い魔物を審査員に決めてもらうのだ。

化粧品も服も、私が<ネットショッピング>で色々購入した。

アラクネ三姉妹でも着られるワンピースタイプや、スライムでも付けられるアクセサリーも色々用意した。

公平にするためにマリアには<魅惑>と<魅了>スキルの使用を禁止したけれど、ルックスに関してはスキルなしでも大丈夫だと思ったのか、素直に了承してくれた。


参加者達が準備のために自分達の個室に入っていった中、イグニに声を掛けられた。


「アイネス、アイネス。」

「ん?どうしたんです、イグニさん」

「アイネス、コレ、ヤル、ナイ?」

「あー…ルックス部門に参加しないのか、ですか?」

「ウン」

「*****…。アイネス***************…」

「**、**********!アイネス***********…。」

「**、アイネス*************。」


ベリアルもイグニもフォレスも最強キャラといえどやはり男性だからか、ルックス部門が始まる前からまるで男子高校生達のノリのようにはしゃいでいる。

私も人間ではあるけれど性別は女性なので、イグニは私も参加する事を期待していたのだろう。

しかし、よく考えてみて欲しい。

下半身が蜘蛛だったり精霊だったりするけれど、女性魔物たちは皆モデル並に容姿が良い。

マリアは特別ルックスが良いけれど、他の女性魔物達だって顔もスタイルも抜群なのだ。

そんな参加者たちが集まる中、顔面偏差値モブ、スタイルも普通である私がこのルックス部門に参加したらどうなるか。

絶対に浮く。それこそ黒歴史として刻まれるくらいには恥ずかしい思いをする。

なので絶対にこの勝負に途中参加するつもりはない。絶対に。


「特に参加する気はないですね。私は見てる方が良いです」

「ジャア、アイネス。アイネス、スキ、ドレ?」

「…え?」

「アイネス、スキ、ドレ?」

「…私の好みの子のタイプは何なのか、ですか?」

「ウン!!」

「*、**、イグニレウス!」


突然の質問に対し、私は目を丸くした。

まさか、コミュ障で友達いない歴=十年弱の私がそんなリア充のような質問をされるとは思わなかった。

突然のリア充イベントに、ほぼリア充アレルギーになりかけている私は思わず鳥肌が立った。

しかし、聞かれた以上答えなければ行けないだろう。

私は深い溜息をついた後、意を決してベリアル達に言った。


「……ゃん」

「?ナニ?」

「八十山美秋ちゃん、です。」

「ヤ、ヤソヤマ…?」

「ミアキ…?」

「私の推し女子ゲームキャラのランキングベスト1です」


手に持ってたタブレットを操り、淡い水色のミディアムヘアでトロンとした目が特徴の美少女の写真を見せた。

しかし、ベリアル達は首をさらに傾げてみせた。

それはそうだろう。「八十山美秋」というのは、私が大好きなゲームキャラクターのヒロインなのだから。

実際には存在しない、所謂二次元のキャラクターなのだ。


八十山美秋。

数年前に元の世界で発売されたミステリーアクションゲーム『ボンバーディスカッション』のシリーズ2に登場するヒロインキャラの名前だ。

おっとりとしていて天然の入った性格だけど、たまに冴えた推理も披露する、私の推している女性ゲームキャラだった。

ゲーム好きでいつも徹夜でゲームしているせいで眠たがりなのだが、スタイルがとても良いオタク女子。

その最後は味方を救うために自ら命を差し出して犠牲になってしまうのだが、ひたむきに主人公のサポートをする姿はファンの中でも人気がある。

なにより良いと思うのは意外にもポテンシャルが高く、頭が良くて運動もそこそこ出来て、料理もそこそこ出来る。

実際に存在していたら、是非ともオンライン上でゲーム友達になりたいタイプの女の子だった。


「可愛い、優しい、そして有能な、とっても良い女の子です。」

「*、**…。」

「他にも推しキャラはいますけど、彼女ほど素敵な女の子はいないかと。」


マジマジとタブレットに映し出された美秋ちゃんの写真を見る審査員の男性陣。

一応男性の推しキャラもいるけれど、それは男性陣には秘密である。オタク事情が分からない男子たちに自分の推しを全て晒すつもりはない。

リアルの男子?そんな物は私の中では論外である。

ドラマに出演している役者とか歌手をしている人で良いなと思う人はいるにはいるが、その人と実際にとやかくする気は微塵も起きない。

私が欲しているのは程よい距離感。つかず離れずで眺めていられるのが好きなのだ。


なにやらフラグが折れた気もしたが、気にすることはない。

どうやら参加者たちの準備ができたようで、全員備え付けの白マントで姿を隠してやって来た。


まず姿を出すのは、数少ない料理班で、料理のアレンジが得意なルーシーだ。

白マントを脱いだルーシーはいつもの長めの家政婦服ではなく膝上丈の白いワンピースを身に纏っていて、その透き通るような白い足を見せている。

頭に被った麦わら帽子から見えるルーシーの笑顔は、とても清楚で素敵だった。


次はルーシーと同じ料理班で、飾り切りが得意なシシリーだ。

清楚系を目指したルーシーとは別に、シシリーは快活系を目指したようだ。

デニムのホットパンツに丈の短いTシャツからチラリと見えるウエストはスリムで、普段の服では見えなかったシシリーのスリムラインがよく見える。

更にはアピールのためにくるりと回った時にホットパンツから見えるその美脚と美尻に、イグニは思わず前のめりになってガン見していた。

なるほど、イグニは尻派か。


シルキーズの次に白マントを脱いで姿を見せたのは、アラクネ三姉妹の大和撫子ラク姐さんだった。

ラク姐さんは普段の大和撫子ぶりとはガラッとイメージの違った露出度の高いチャイナ服を着ていた。

チャイナ服の魅力を活かし、ハート型にくり抜かれた服の隙間から見える谷間だけでなく、蜘蛛の足の部分も見せつける。

……いや私、あんな服用意したっけ?


その後出てきたアラクネ三姉妹の姉貴、アーシラ姐さん。

アーシラ姐さんはかなり攻めた露出度の黒いエナメルドレスを着ていた。

かなり露出度が高いけれど、姉貴っぽいアーシラ姐さんにはよく似合っていて、ドレスのスリットから見える蜘蛛の足が、どことなくセクシーだ。


本当にこのルックス部門に途中参加しなくて良かった。

もしも出てたら、悪い意味で目立っていたはずだ。

残す参加者はネア姐さんとスラっちとマリアだけ。先に動いたのは、ルックス部門優勝候補のマリアだった。

白マントを脱いだマリアの姿に、私達は思わず圧倒された。


マリアがその身に着ていたのは、ほぼ裸と言っていいくらい幅の短い紐ビキニ。

しかし私達が注目したのは、マリアそのものだった。

普段は私と同じか少し低いぐらいの身長で絶世の美女というよりかは絶世の美少女のロリっ子体型だったマリアだったのだが、今私達の目の前にいるマリアの姿は完全に成人した姿だった。

文字通りボンッキュッボンッの抜群なスタイルに、愛らしさと美しさとセクシーさの全てを兼ね揃えた完璧な顔、シミひとつない美しい肌に、自分の魅力を最大限にアピールする高いポージング能力。

恐らくは、この大人バージョンがマリアの本当の姿なのだろう。

最初から人間の姿をしていたイグニと同じく、召喚時は本当の姿とは別な姿をしていたのだ。

確かにこれはスキルも魔法も使っているわけではないから此方の警告に違反していない。

夜の女王の称号を持つリリスが魅せる、本気のアピールなのだ。


たかが対決ごときに…とは思うかもしれないけれどそれだけマリアも切羽詰まっているのだろう。

なにせ、勝てると思っていた格下の魔物達に完膚なきまでに倒されているのだ。

強大な力を持つ魔物のプライドは勿論、最高の女である自分の誇りも踏み潰された彼女は、どうしても自分の自慢でもあるこの勝負には勝ちたいのだ。

争いからほぼ無縁で過ごしていた私にはない、凄まじい意志の強さを感じられる。


己の力を開放し完璧な美女と化したマリアは審査員達にも好評だったようで、前の参加者たちの評価を塗り替える程の絶賛だった。

これには他の女性勢も素直に凄いと思ったのか、突然の変身に文句を言う者はいなかった。

まさに、マリアの完全勝利が決まったと思える瞬間だった。


「あとアピールしてないのはネア姐さんとスラっちですけど……行けます?」

「ハ、ハイ…」

「そっか。頑張ってください。」


緊張で震えるネア姐さんに応援の言葉を送り、ネア姐さんとスラっちを審査員席の前まで案内する。

そして、2体は同時に白マントを脱ぎ捨てた。

その瞬間、一同は一瞬で静寂に包まれた。


ネア姐さんが着ていたのは、至って普通なタートルネックのセーターとロングスカート。

ネア姐さんの両腕に抱えられたスラっちもその頭にはお花の髪飾りが飾られている。

かなり緊張しているのか、その頬がほのかに赤く染まっていた。

今までの参加者たちとは違って肌の露出が一切ない、素朴で大人しいファッション。

けれど、審査員の男性陣はその素朴な美に目を離せずにいた。

敢えて露出を無くした事でネア姐さんの大きいおっぱ…もといバストが浮き出るように目立つようになり、両腕のスラっちが愛らしいぬいぐるみを抱いているかのような愛らしさを出している。

更に頬を赤く染めて髪を耳に掛けて上目遣いで審査員達を伺うその姿は、キツすぎないセクシーさを醸し出している。

マリアが夜の女王なら、今のネア姐さんは近所に住む優しいお姉さん。

シンプルが故に滲み出る自然な美と母性溢れるその仕草に男たちは言葉を失い、ネア姐さんの胸部をガン見していた。


結局は胸か。このスケベ男子共め。


しかし、気持ちは分からないでもない。

今までの参加者たちはシルキーズもアラクネ三姉妹の他二人も、マリアでさえもかなり露出度が高い服でアピールをしてきた。

別にそれらが悪いとは言わないけれど、そう大人数で来られればグラビア一冊で騒いでいた男性諸君も流石に女性陣の半裸に見慣れてしまう。

美人は三日で飽きるという言葉があるが、まさにそれだった。

そんな中現れたネア姐さんは、そんな男達の心をリセットする清涼剤そのものだった。

おかずとともに用意されている白米や、食パンのように毎日見ても飽きが来ない美しさ。

男の心をグッと鷲掴みにしながらも普通に外を散歩にも行けるその姿は、女である私にもかなりの好印象だった。


審査員達はフッと笑いながらお互いを見つめ合って頷き合うと、何も言わずに審査結果を発表した。

ルックス部門最優秀者は、満場一致でネア姐さんに。

2位はネア姐さんの魅力を更に引き上げる手伝いをした、スラっちだった。

自分が最優秀者に選ばれるとは思わなかったネア姐さんは感動の余りに涙を流し、アーシラ姐さんとラク姐さんに抱きついた。

自然とネア姐さんの周囲で拍手が起き、皆ネア姐さんの勝利を讃えていた。


そんな感動ムードの中、自慢のルックス部門で大敗したマリアはというと、食堂の隅で真っ白に燃え尽きていた。

そりゃあリリスとしての本気を見せたにも関わらず最後の最後で負けてしまえば、そうなるだろう。

なまじネア姐さんが文句なしに綺麗だったので、異議も出す事が出来なかったのだ。


「……どんまい、マリアさん」

「****…******……」


マリアの他の魔物たちとの関係性に関するトラブルが切っ掛けで始まった女の魅力対決。

最後は予想を裏切るような形で終わってしまったが、これにて終幕した。

今回最優秀者に選ばれた皆にはご褒美として、デザートにアイスを付ける事となったのだった。


***** *****


女の魅力対決が終わってからというもの、マリアはすっかり態度を改めた。

アラクネ三姉妹やシルキーズ達にマウントを取ることはなくなり、他の魔物達に仕事を押し付けることはなくなった。

それどころか、自分から料理の練習や掃除の練習を行うようになったのだ。

どうやらマリアは、第二回が行われた際に全てのジャンルで最優秀者として選ばれるようになるために努力を始めたようなのだ。

第二回が行われるかは未定だけど、結果的にマリアは他の女性魔物たちとも和解して親しく会話するようになったので、良かったのだろう。


更に追加で情報を置くとするならば、マリアはオタク文化にハマった。

勝負の中でもルックス部門で負けた事が特に悔しかったのか魅力的な女性になるための参考資料を求められたので、彼女の助けになりそうなファッション誌や漫画、更にはドラマやアニメを見るためのタブレットも進呈したのだ。

私は常時彼女の勉強の手伝いに時間を割く事は難しかったのでそれらを渡してそれっきりになっていたけれど、マリアはイグニに日本語の勉強まで教わりながら漫画もドラマもアニメも見まくったのだ。

その結果、どっぷりとオタク文化にのめり込んでしまったという訳だ。

同じオタクとしてオタク文化の魅力を知ってもらえたのは少し嬉しかった。

更には漫画のセリフをちゃんと読むために独学で日本語の読み書きの勉強を進めていたようで、読み書きに関してはイグニよりも上手くなっていた。

これに関してイグニはかなりショックだったようだったけれど、今ではマリアと口論をしながらも一緒に日本語を学び合う仲である。


そういえば女の魅力対決で一つ、分からない事があった。

それは、最終的に誰が総合一位を取ったのかだ。

その時私はマリアを慰める為にマリアの傍にいたのだが、その間に審査員達の中で総合一位が決まったようだ。

だけど、誰もその総合一位を教えてくれない。

いつもは私の頼みは何でも聞いてくれるベリアルも、この事に関しては何故か意味深な微笑みを浮かべて何も教えてくれないのだ。気になって仕方がない。

第二回が開催決定されるまでに、誰が総合一位に選ばれたかを聞きたい所である。




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