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1話に纏めようとしましたが長くなってしまったので前後編に分けて投稿したものの後編です!
血も涙も情けも此方の都合を考える気もない奴のせいで前編はそこまでではないですが、後編は残酷な描写が目立つため注意を記します。
それでは引き続き、お楽しみを!
セダムがルークスに突撃して僅か数分が経過した今、その戦況は最早語る必要がない程明らかとなっていた。
愉悦以外の感情しか込められない目で嘲笑うルークスが無傷なのに対して、顔を上げルークスを下から睨むセダムの全身はこの数十秒の間に傷だらけになっていた。
自分の負傷も、セダムとの距離さえも簡単に食らってしまうルークスの<暴食>は数多の探知スキルを所持しているだけのセダムにはあまりに強大で、異食過ぎた。
それまでセダムに有利に働いていた都合さえも飲み込み、ルークスはセダムを圧倒した。
ルークスの口調こそ呑気なものだが、その言葉からは全てを舌の上から見下す嘲りしか感じられない。
それでもセダムは起き上がり、ルークスにバットを構えて平気な様子を装いながらルークスに言う。
「好ぎなもの選んで……好ぎなだげ、か……。そりゃあ……、集落で……っ、皆ど必死さ食い物取って、食ってらオイラがら見だら……、随分と、贅沢なごどだべな……」
「実際、牡牛くんらから見たら贅沢な方じゃないかな~? おれ、一部じゃ他の奴らに神様扱いされてたし~。柵の中で食べるのも守るのも自分でやらなきゃいけない田舎育ちの牡牛くんに比べたらよっぽど贅沢させてもらってたよ~。飽きて止めちゃったけど~」
おどけた様子でケラケラと笑うルークスを前に、セダムは大きく息を吸い、そして吐いた。
そして全力で虚勢を張りながら、ルークスの言葉を否定した。
「ちげぇべ、ほんどば……腹ん中ずっと満だされねぇで飽ぎ飽ぎしてだの……、分がってたんだべ? そんで、神様扱いされでだの止めで、自分がら飯になるもん探しに出でだんけ?」
その問いをルークスにぶつけると、今までずっと嘲笑を浮かべていたルークスの瞳から笑みがなくなった。
それはほんの一瞬の事だったが、セダムは目の前の化け物が反応したのを見逃さなかった。
呼吸を整え、探知スキルをフル稼働させながら言葉を続けた。
「見るもん全部食い物だったら……っ、友達も自分の居場所も、好ぎになった相手さえも、みーんな食い物にしか見えねぇべな? 好ぎに喰いまぐってだら周りに誰も居ねぐなる……。それに……、ただ食って飲むだげじゃ……っ、とんでもねぇ食いしん坊もいづが飽ぎるべ。『なんぼでも食える』んと、『なんぼでも食いでぇ』の意味け全然違ぇ事ぐれぁ……、オイラでも分がるべ……」
そんな言葉を浴びせたセダムに対し、ルークスは触手によるさらなる追撃を食らわせる。
触手とセダムの距離を食われ、触手がセダムの腹に直撃し棘の付いた鞭で叩かれたようなとてつもない痛みがセダムを襲う。
しかしセダムはバットを支えにして倒れることなく持ち堪えた。
口先に垂れる血を拭うセダムに対し、ルークスは口角を上げたまま問いかける。
「意味が違うのは別に否定しないけど~、それでなぁんでおれが飽き飽きしてるって思ったわけ~?」
「……ぺっ! ハッ、気付いでねぇのが? オメェ、ニコニコニコニコオイラに馬鹿にした笑い浮がべで不意打ぢだぁ変なスキルだぁ使ってらんだども、やられる側さ回るのは慣れでねぇ癖が、堪えんの下手ぐそなんだべよ」
「え~、つまりどういうこと~?」
血反吐を吐きながらも敵意を剥き出しにしてルークスの前に立っているセダムに言葉の意味を問い返す。
ルークスの顔は人を喰らったように三日月のように口元に弧を描いているが、先程まではなかった威圧を発している。
そんなルークスに対しバットの芯で身体の中心を守るように構え直しつつ、嘲笑を浮かべるルークスを逆に嘲笑しながらセダムはルークスの疑問に答えてやった。
「オメェ、オイラ一回目のごど聞いだ時、口先は変わってねぇけんど「これ以上触れんじゃねぇぞ」って圧出してて、見てて分がりやすぇんだべ。ソイツん時全部食ったのも、食った後もソイツの顔忘れられねがったがら、ソイツ連想させるもん全部食ったんだべ?
もしかしてオメェ……、そいづに惚れでだんか?」
次の瞬間、セダムの目の前で金属音が鳴り、セダムは強い衝撃に吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。
ルークスが何の間髪もなくセダムの顔面目掛けて触手で槍のように突いてきたのだ。
もしもセダムが顔の前に不壊属性の付与されたバットを構えていなければセダムの顔には大きな穴が空いて即死していただろう。
ルークスは壁に叩きつけられたセダムの足を触手で持ち上げ、床に叩きつける。
何度も、何度も、強い力で叩きつける。
まるで図星を突かれて腹を立て、癇癪を起こす子供のようだ。
そこでルークスは突如ピタリと触手の動作を止めセダムを解放した。
そして少し不貞腐れた様子で頭を掻きつつも、取り繕うように嘲笑を浮かべ直し、セダムの言葉に答えた。
「牡牛くんの言う通り~、おれって何かをされるのって得意じゃないんだよね~。おれ、<暴食>がなくても生まれつき上位種だからさ~、誰かを食らう側にあっても誰かに喰らわれる側には回らないんだよ~。もしかしてあの時圧を掛けられて怖かったの~?」
「ゲホッ……、それ……答えになってらようで……っ、なってねぇぞ……?」
「ほら、牡牛くんも自分よりとってもか弱い子に変な事聞かれたら、つい過剰に反応しちゃうでしょ~? 牝牛ちゃんのこととかそうだろうし~。ニンゲンちゃんの言う所の話題の地雷って言うの~? おれ、自分の昔話をするのもされるのも気分じゃないんだ~。だから牡牛くんの短い命のためにもその話は止めにしよう~?」
セダムとは別の方向にも圧力を掛けるように喋りつつ、ルークスはセダムに謝意が一切感じられない言葉を掛ける。
セダムが追及しようとするもそれに答えるつもりがないらしく聞こえてなかったフリをした。
ルークスは床に倒れているセダムを見下ろしながら話を変える。
「あっ、そうだ~、話は変わるんだけど~、おれって実は<暴食>とは別にもう一つ面白ぉいスキルを使えるんだよね~。牡牛くんには特別にそれも見せてあげる~」
ルークスがそう言った瞬間、起き上がろうとするセダムの探知スキルが自分の手首に当たるのと同時にトンッ、と包丁で何かを切ったような音が鳴る。
その瞬間、セダムの左手首から血が吹き出した。
ルークスが触手を使いセダムの左手を手首から切り落としたのだ。
その激痛に堪えきれず、セダムは声を上げた。
「ッア“ァ”ァ“ァ”!!!」
「これは元々おれのスキルじゃなかったんだけど~、途中でおれの一部にしたんだよね~。案外結構使うんだよね~。実は牡牛くんたちにもコッソリ見せてるんだよ~?」
セダムの様子を気にする様子もなく自分の言いたい話ばかり一方的に話すルークスに怒りを覚え激痛に悶えながらも睨みつけるが、ルークスに効果は一切ない。
ルークスは触手を使って切り落とした手首を触手で拾うと、セダムに見えるようにセダムの目の前で拾い上げた手首を空中に投げた。
そしてルークスの触手の一本が音もなく目にも留まらぬ早さで動いたと思いきや、何処から取り出したか分からない白いお皿を取り出し、その皿でほんの一瞬宙に浮いていた『それ』を受け止めた。
セダムが見てみれば、切り落とされたセダムの手首はその姿形を失い、見るからに美味しそうなハンバーグに変わっていた。
変わり果てたソレに言葉を失うセダムを横目に、ルークスは鼻歌を歌いだしそうなほど上機嫌にフォークを取り出しながら話す。
「キャハキャハッ! ヤバいよね~? <調理>っていうスキルなんだけど、コレ、おれの<暴食>と同じ“普通”や“常識”がないスキルんなんだ~。今回はハンバーグにしてみせたけど~、デザートみたいに明らかに材料が違う料理や武器みたいに明らかに料理じゃない物に調理したり壊れた物を元通りに直したり食材の形や状態を自由にできるんだよ~? すごいよね~。……食材も手間も方法も自由だからヤバいのができる事が殆どだけど~」
クルクルとフォークを回し、セダムの前でそのハンバーグを頬張りつつ、最後の言葉は小声でボソリと呟きながら言う。
ギリッと歯を食いしばるセダムに背中を向け、ハンバーグを食べながらルークスは続ける。
「<調理>と<暴食>、料理を作る方と料理を食べる方、どっちも食事に関係するスキルって事で相性が良いんだよね~。けどさ~、これ2つとも見ると皆発狂しちゃうかビビって逃げ出しちゃうんだよね~。自分の大事な武器や身体が目の前で料理にされて食べられるのって相当怖いことみたい~。牡牛くんも、今逃げ出したいとか思ってたりする~?」
そう尋ねながらルークスはクルリと振り返り、片手でバットを握り直し立ち上がって背後から攻撃を仕掛けようとしたセダムの攻撃をあっさりと触手の先で受け止めてしまう。
セダムの目にはまだ敵意と闘志が残っているが、その目の前で自分の身体の一部を調理され食われたせいか痛みも相まって顔が強張っている。
空になった皿とフォークをそのまま喰らい、セダムに触手を振りかざしながらセダムに優しく語りかける。
「牡牛くんには本当に感心するよ~。さっき神様扱いされてた時があるって話したけどさ~、時々おれを討伐しに牡牛くんみたいに突撃する奴らがいたんだよぉ。世界に平和を取り戻すためだとか~、国の命令だとか~、おれの寝床に置いてあるお宝を取りにとか言ってさ~、おれ、寝床で食べて寝て遊んでって生活してただけで、別に世界征服なんて考えてなかったし大した宝もなかったのにウケるよねぇ」
「でも~、ソイツらは牡牛くんみたいに一匹で突撃したこともなかったしぃ、おれがほんのちょっと本気を出す前に戦意なくしちゃってたんだよ~? 仲間云々言ってた奴はその仲間と喧嘩始めてたし~、勇者だとか名乗ってた奴は腰抜かして全身震わせてね~、『国のためなら死も怖くない』とか言ってた奴は『死にたくない』っておれに泣いて命乞いとかしちゃってるの~」
「あぁ、牡牛くんみたいに片思いの相手や恋人がいる奴は死にかけのソイツを置いて逃げ出してた事もあったっけ~? 一度でも愛を囁いてたはずのソイツに目もくれず、なんなら罵倒なんかもしてる奴がいてさ~。その時は流石に後味悪いなぁって思って死にかけの子を一旦直してあげて一つに纏めて揚げた後、二匹一緒に食べたんだけどぉ」
「その点、牡牛くんはおれの攻撃を読んで来ておれを楽しませてくれちゃっておれを煽って挑発したりするしぃ、こうして今もおれに突撃してバット振り回して攻撃当てようとしてくるんだからそういう奴らよりよっぽど強くて格好いいよ~。それだけは褒めてあげる~」
「ニンゲンちゃんのダンジョンにはもう少しの間いるつもりだし牡牛くんで遊ぶの愉しいから~、大事そうなのは食べずに残してあげる~。ほら、おれと牡牛くんは『同じ釜の飯を食べた仲』……だっけぇ? 取り敢えずそういう事みたいだからおれも合わせてあげる~!」
「あ、もう話聞く余裕もないかぁ♪」
そう笑うルークスの前には、ボロ雑巾のようになったセダムが自分の血の海の中で倒れていた。
セダムの身体はあちこちが斬傷や火傷や凍傷など様々な傷が付けられており、顔も片耳と片目が剥ぎ取られ潰されている惨状だ。
無事だった目もどれだけ傷を負ってもルークスに睨みつけていたのが嘘のように虚ろで、虚空を見ている。
ルークスは自分の腹を撫でながら独り言を呟く。
「えっと~、角と手と足のつま先と脇腹と耳と目玉の片方と~……、あとは牡牛くんがこれまで生きてきた記憶と怒りとか戦意とかの感情を食べたかな~? 一応魂とか存在とか縁とか大事そうなのは食べてないし別に良いよね~。美味しかったよぉ、牡牛くん♪ キャハキャハッ!」
喜びと愉悦を隠すことなく、腰を落としてしゃがみながら床に突っ伏すセダムに声を掛けるが、セダムがそれに反応する様子はない。
ルークスはセダムの身体を蝕んだ後セダムの精神、記憶と感情に齧りついた。
戦う意志を、立ち上がり続ける理由を喰らったのだ。
「安心してよ~、牡牛くん。沢山ご飯を食べた後<調理>で全部元通りにしてあげる~。そうしたらさ~、もう一回チャンバラごっこして遊ぼうよぉ? そしてまた食べてあげるよ。おれの気分が変わるまでぇ♪」
そう言い残すと、ルークスは口を開け空間に穴を開けて無限回廊から外へ出ようとする。
その戦いではルークスの満足するまで満たせなかった空腹を、別の『何か』で満たすために。
ルークスが自身のいる空間に歯を立てようと牙を閉ざした。
――――――――――――ル
――――――――マ モ ル
「!!」
その時、空間を食いちぎろうとしていたルークスの顔の真横を何かが通り過ぎた。
それは最初にルークスが粉々に砕いた棍棒の、小さな小さな欠片だった。
破片が投げつけられた方向を見て、ルークスは目を丸くした。
気分でも気まぐれでも不意を突かれたのでもなく、純粋に驚いた。
種族の誇りとも言える角を折られて、
相手に距離を詰めるための足を砕かれて、
拳を握るための手を切り落とされて、
その身を目の前で調理されて、
敵を見るための目を潰されて、
戦う気力となっていた怒りや戦意の感情を喰らわれて、
戦う力はおろか、最早物理的にも精神的にも立ち上がる事も出来ないはずのセダムが、立ち上がろうとしていたのだ。
バットを支えに身体を起こし、前へ進むために力強く足を踏み込み、持ち前の探知スキルをフル稼働させて、残った腕でバットをルークスの方へと向けている。
視力の一部を食われたせいで周りを見通すことが敵わないはずの潰されていない目は簡単に意識をなくしてしまいそうなほど虚ろになっているが、視線は確かにルークスに向けられていた。
ルークスは視力と感情は確かに喰らったが触覚や苦痛の感情の方はまだ食らってないので今も喰い千切られた痛みが身体を襲い、恐怖によって全身震えているというのにその呼吸だけはとても落ち着いていた。
―――――――――ウゴケ
―カマエロ
――――――――――――――ブキ ヲ モテ
―――スキル ヲ 使エ
――――立チ上がレ
――――方向音痴なノに、いつモ道に迷ッテばっかノくセに、道を外レソうにナった自分を探シテ連れ戻しに来テクレた、
――――愛スル幼馴染ノタメニ!!!!!!!!!!
戦意を食われたというのに、今も常識からかけ離れた化け物と戦おうとバットを構えるセダム。
最初に見せていた姿に比べれば、現在の姿は今にも倒れそうなほど満身創痍で弱そうで、ちっぽけな姿だ。
強がるような様子が逆にセダムの弱さを見せつけていて、同情と哀れさを誘う。
しかしそんな状態になっても戦う姿勢を保とうとするセダムの姿はルークスの意表を突くに値した。
驚きと矛盾を持ったその姿は、確かに気まぐれなルークスの目に留まり、
「キャハッ、キャハキャハキャハッ!!」
ルークスの注意を、自身に一心に惹きつけた。
空間の移動を中断し、腹を抱え、暫くゲラゲラと笑い声を上げた後、ルークスは口から溢れた涎を拭うことなくセダムに顔を向けた。
「良いね~、やっぱり喰らいがいがあるね~、牡牛くん!! おれ気に入っちゃった~!! 長く、ゆっくりと味わって食べてあげちゃいたいくらい最高~!!」
外に声が響くリスクも気にせず、ルークスは大声でセダムに話しかける。
これ以上戦えばセダムが死にかねないこと、セダムが死ねばステータス上のマスターであるアイネスにルークス自身のことがバレてしまうことは分かっているにも関わらず、その事を忘れて目の前で今にも突撃してきそうな食べ物に夢中になってしまっている。
「何が良いかな~、何にしようかな~? 炙って丸齧り~? 刺し身にして丸呑み~? それとも恐怖と苦痛に漬け込んで一気に揚げちゃう~?? もういっその事フルコースも良いよね~! どれ選んでも美味しそうで選べなぁい! きっとその中身は美味しいんだろうな~? 甘くて辛くてしょっぱくて酸っぱくて苦くて温かくて冷たくて柔らかくて固くて、美味しいだろうな~~~~!!!」
余程その身体を全部完食するのが楽しみで堪らないのか、元々存在しない理性が弾けたかのように熱を上げ恍惚そうな笑顔を浮かべてセダムを立ち上がらせる力となる物の味と調理方法を想像しては涎を垂らす。
先程までも人を食らった口調の目立ち十分すぎるほどに狂気じみた様子だったというのに、今の状態は狂乱よりも狂っていて、邪悪よりも悪辣で、清純よりも無邪気。
もうアイネスや他の事など気にしている様子はなく、目の前のセダムを調理し尽くすことしか考えられないようだ。
「食べたい、調理したい、飲み込みたい、焼きたい、齧りたい、切りたい、食べたい調理りたい食べたい調理りたい食べたい調理りたい食べたい食べたい食べたい調理りたい調理りたい食べたい調理りたい食べたい食べたい調理りたい食べたい食べたい食べたい調理りたい食べたい調理りたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい調理りたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい調理りたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい!!!! キャハキャハキャハキャハキャハキャハキャハキャハァッ!!!!」
ルークスが狂ったように呟きながら嗤い声を上げるのを狼煙に、ルークスとセダムは戦闘を再開した。
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――――告。再度システムコアに許可を申請。
――――告。申請を拒否されました。
――――告。再度システムコアに許可を申請。
――――告。申請を拒否されました。
――――告。再度システムコアに……。
人も神も存在しない、記録とデータのみで構成された空間の中、無機質なメッセージが何度も繰り返される。
特定の名前の存在しない何者かが自身の構成する存在のコアに同じ内容の許可申請を何度も行い、その申請を拒絶されていた。
申請と拒否の同じやり取りのスピードは少しずつ早まっており、まるで申請を出している者が徐々に焦りを募らせているようだ。
それでもシステムコアが申請を許可することはなく、申請者は機械的に再度申請を行う。
そんなやり取りが何百回も繰り返されていたその時、状況が変わりそのやり取りに変化が起きた。
――――告。当管理者が事前指示していた条件に抵触。
――――当管理者は意識喪失中、出入り口が破壊されている為当管理者の管理下にある魔物達のみでの対応不可能。
――――残り3分47秒後に当管理者が指定する最悪状況に到達する可能性大。
――――当管理者のダンジョン管理に多大な損害を与える事を予想。
――――告。再度システムコアに許可を申請。
――――告。申請が通りました。要求内容と当管理者の事前指示内容のもと、行動開始




