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元名無しの『演者』の独り芝居

 父の瞳は体色と同じ炎の赤。

 母の瞳は晴れ渡った空のような青。

 わたしの瞳は、その両方を引き継いだ2色の瞳。

 この瞳が、父と母との繋がりを証明してくれる唯一の物。


 母は変わり者ではあったものの、他のオーク達から好かれ愛される、とても美しくて聡明なオークだった。

 母はわたしに色んな事を教えてくれた。

 薬草の知識にアクセサリーの作り方、他の種族で伝わっている伝承や伝説、おとぎ話。

 

『良い? 誰かが嫌がるような悪いことばかりする者は他の誰かに悪いことをされていつか必ず破滅するわ』

『誰にも悪いことをしなければ必ず良いことが待っているから、常に純真な良い子でありなさい』


 母はいつもそう言って、優しくわたしを撫でてくれた。

 父とは途中で別れて暮らすようになってしまったけれど、母と一緒にいるだけでもわたしは幸せ者。

 優しい集落の仲間たちと共に平和に暮らす生活は、わたしと母にとってかけがえのない幸せな生活だった……。











 そう、わたしと母はそんな舞台(・・)の上で()をずっと演じてきていたの!




 お父さんや集落の皆には内緒にしていたけれど、わたし……いえ、わたしと母は普通のオークとは違った価値観を持っていた。


 この世界は色んな話の舞台が繋ぎ合わせられて成り立っている。

 舞台の上では様々な物語が繰り広げられていて、その場にいる人達は皆そのお話の登場人物として役に没頭している。

 わたし……というより、母はそんな世界の事実の一つに気が付き、そしてその舞台で繰り広げられる物語に魅了されたオークだった。

 英雄譚に悲劇に喜劇、よくあるハッピーエンドの恋物語やぐちゃぐちゃドロドロの惨劇まで!!

 この世に存在する全ての物語が、舞台が大好きで……その舞台をもっともっと生み出すために、そしてそのお話をより面白くするためにと母は様々な役を演じ分け、暗躍していたの!

 

 ある時は薬師を名乗って薬をオーク達に売る事で、オークを狩ってその肉を口にするだろう人間達にとって伝染病の原因となる毒を潜ませ、

 ある時は占い師を名乗って2種族の魔物達を誘導し争いから和解までの一部始終を作り上げ、

 ある時は吟遊詩人を名乗って敵対種族の情勢を詩として伝えて長年の戦いに終止符を打つ為の支援をして、


 そしてある時はオークの集落に留まって一匹の亜種の妻になり、そして母となりました。

 本当はお父さんを扇動して集落内で下剋上を起こさせて、実の兄弟での戦いの末にお父さんが集落の長として成り上がる――――そんなストーリーを作る為にお父さんの妻になったそうなんですが、結局それは止めてしまったんですよね。

 だってお父さん、本当は落ちてくる果実を待つ事しか出来ない、怠惰で臆病なオークだったんですもの。

 亜種という個性があって能力も普通のオーク達よりも上で他種族との交流も深い。

 当時の集落に不満があって、更には自分の兄に凄いコンプレックスを抱いてて、って下剋上物語の主人公を飾るのに十分な要素は揃っていたのに、お父さんったら集落や兄への愚痴や不満を零すか身内や下についてる人達に威張っているばかりでそれらしい行動は全くしなかったんですよ?

 どれだけ母が誘導しても、自分で責任を負いたくないからって色々理由を付けて結局行動を起こしてくれなかったんですよね。

 だから母はそんな父に愛想を尽かしたんですよ。

 口だけ達者で自分で面倒事を負うことを嫌がって自ら舞台に上がることを拒否した主人公の成り損ないの、だらしのない父の中身に。

 

 結局母はお父さんを“物語”の主人公にすることは叶わず、一匹の亜種による下剋上ストーリーは発表前に中止されてしまいました。

 此処で母は自分の限界を感じて、一匹の演者として“引退”を決めたそうです。

 けど、ただ“引退”するだけなんて退屈じゃないですか。

 だから“引退”する前、母は自分が続けた事を引き継がせようと後継者に教育を始めたんです。


 そんな母の後継者に選ばれたのが、当時お父さんと母との間に出来た娘だったわたしでした。

 母はわたしを後継者にするための秘密の教育をしてくれました。

 後継者として必須のスキルや技術、様々な役を演じるために必要な専門的知識を仕込み、そして物語の登場人物になる事への魅力を伝える教育です。

 母の期待に応える為に、わたしは頑張って努力しました。

 頑張って、頑張って、頑張って、頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って……とにかく母の期待に応える為に努力を続けました。

 そしたら、とっても素敵な事があったんです!

 ええ、もう、それはそれは、素敵な祝福ですよ!

 この素敵な祝福を貰って、私の世界は一変したんです!

 その時からわたしという存在は母を超える才能を持った、この舞台を謳歌する”役者”になったんですよ!!


 母もわたしに与えられた素敵な奇跡を喜んでくれました!

 素晴らしい贈り物のお陰かわたしはあっという間に母の教える技術やスキル、そして知識を身に着け、晴れて教育の終了を迎えました。

 それは偶然にも、父と母が別れて丁度一年が経った頃でした。


 わたしの教育が終わる、それは母の舞台からの“引退”を意味しています。

 母はわたしにとってとても大事な家族であり、すっごく尊敬する師匠だったもの。

 母の“引退”の日にはそれは素晴らしいものにしないと、って思って、お母さんと一緒に色々裏で準備をしたんだよ。

 集落の皆も登場させて、それはもう盛大で、苛烈で、派手で、最高に絶望的で泣ける“悲劇”を創り上げたわ!!

 ……あ、お父さん、やっと気が付いた?

 

 そう、母の“引退”の日、それはお父さんの生まれ育った集落に冒険者達の襲撃があった日!

 冒険者達の襲撃は不幸な偶然なんかじゃない!

 あれはわたしとお母さんが最初であり最後の“共演”を果たした結果による必然なんだよ!


 あの日冒険者達が来たのは母が集落にいる荒くれ者のオーク達を焚き付けて人間に危害を加えさせたから。

 集落の皆がわたしとお父さん以外全員死んだのもわたしが皆の避難ルートを冒険者たちに襲われるよう誘導したから。

 お父さんが生き残ったのもお父さんのいる場所への道を自然で隠してあたかもお父さんがそこにいないように誘導していたから。

 そして、お母さんがわたしの目の前で死んだのも、そういう物語にしたから!

 ぜーーーーーーーんぶ、必然の出来事であり、計画であり、わたしとお母さんによって創り上げられた“悲劇”だった、ってことだよ♡


 あの日の“悲劇”になんとも思わなかったのか?

 そんな事ないよ、わたしだってとても悲しかった。

 今までわたしやお母さんに優しくしてくれた集落の皆が冒険者達に殺される様は見ていて胸が張り裂けそうだったし、お母さんが背後から冒険者の剣に刺し貫かれたのを見た時は思わず泣き叫びたくなるぐらい絶望した。

 だって、尊敬する師匠とか、そういう事をしたかった、って以前にお母さんはずっとわたしを育ててくれた大事な母親だもの。

 死ぬことが母の望みであり、集落の襲撃も計画通りとはいえ、心の奥底では誰か逃げ切れてくれていたら、母の引退が失敗して生き延びてくれたらいいな、って思ってた。

 母の引退計画の成功を望むのと同時に、もしかしたら、もしかしたら、って最後の最後まで、母が息絶えるその直前まで計画の失敗を願ってたわ。

 だけど結局、母の引退計画は全て成功に終わっちゃって、お父さん以外は皆みんな殺されてしまった。

 全てが終わった時、その絶望のあまり父に呼びかけられるまで放心状態になってたぐらい。

 そう思うくらい、あの日の出来事はわたしにとっても絶望的で辛く苦しいものだった。


 でも、そんな悲しみや辛さ、絶望を超えるぐらいに私は感動していたの!!

 話を聞くだけじゃ感じられなかった緊迫感!

 次々に殺されていく皆のあの絶望に染まった表情を見た時の胸が張り裂けそうなぐらいの興奮!

 息絶える直前にお母さんが見せてくれた散り際を見た時に感じたあの衝撃!

 そしてそれらが全て、全て母と私が創り上げたものだと実感した時に溢れ出てきたあの快感!

 その感動に直面したら、みんなの死への悲しみや絶望なんて一瞬で塗り替えられてしまった。

 そして同時に、わたしは思ったの。


 ああ、この悲劇と同じぐらい……いいえ、それを超えるぐらい素晴らしい物語を創り上げたいって。


 そう願ってすぐ、私は下準備を始めました。

 最初に行ったわたしが役作りするための環境を作ること。

 いくら母を越える力を持ってるとはいえ計画を1から練るのは時間が掛かりますし、舞台選びはしっかり行わないといけないですからね。

 ひとまずはお父さんと一緒に集落を離れて、新しい住処を探す旅に出ました。


 あ、お父さんと共に旅する事を決めた理由ですか?

 単純にそっちの方が新しい計画を進めやすいと思ったからですよ。

 だってお父さん、亜種で能力も普通のオーク以上に高かったですし、すごく誘導しやすいんだもの。

 ちょっとお父さんのコンプレックスや強欲な所を刺激したら思い通りの言動をとってくれてやりやすいんですよ。

 それに母曰く“主人公の成り損ない”だった父でもあの集落を出たら主人公なり悪役なり、重要な役としての才能が開花するかもしれないですしね。

 実際、お父さんは旅に出てすぐに悪役らしい傲慢さや欲深さを見せてくれましたよ。


 食材や飲み物を見つけてもそれを採取したり調理したりするのは子供のわたしに全て丸投げ。

 少しでも気に入らないことがあれば大声と大きな体格でわたしを怯えさせて言う通りに動かす。

 住処探しも亜種だって差別されるのが嫌だから交渉や物々交換は全部わたしに任せて自分は他の種族の女性魔物を侍らして遊んでばかり……。

 父親と主人公としては失格だけど、悪役としては素晴らしい要素ばかりだったよ。

 だからお父さんがより悪役として振る舞えるように、わたしがより誘導しやすい立場に置きやすいようにすぐ動いたの。


 お母さんに教えてもらった方法でお父さんをオークからオークジェネラルに進化させたり、わざと失敗やドジをしてお父さんを怒らせてお父さんの思い描く“都合の良い娘”に徐々に近づけたり、ダンジョンマスターのいないダンジョンを見つけて用意してあげたりね。

 あ、そういえば一時滞在した集落のオーク達を介してわたしがお父さんの実の娘じゃないよう勘違いさせたりもしましたね。

 わたしがお父さんじゃなくてお父さんのコンプレックスの対象だった伯父さんの娘だと勘違いされていればお父さんはより悪役として助長するだろうって思ってたから。

 その後すぐにお父さんが見て分かるぐらい態度を変えてきたから思わず笑いそうになっちゃったよ。

 あ、勿論わたしはお母さんとお父さんの間から生まれた娘だから安心してね、お父さん。


 一時的に訪れた集落にいるオーク達を誘導しては“悲劇”を生み出しつつお父さんとあちこちを旅して、わたしとお父さんはダンジョンという新たな住処を手に入れました。

 お父さんがダンジョンマスターとして働いている間に、わたしも色々と頑張ったわ。

 ドジや失敗をすることでお父さんやお父さんの配下の魔物達に“何も出来ない哀れな娘”と印象を付けつつ、誘導するにあたって必要そうな仕事は全部わたしに押し付けられるように誘導して、ずっとずっと舞台作りの準備を行っていたの。

 そんな準備のかいがあって、皆わたしが何をしても誰もわたしを疑わない。

 “無能だから”、“馬鹿で愚か者だから”ってわたしが植え付けた思考によってね。

 準備の合間にダンジョンの外で“舞台を作り上げ”つつ、わたしはずっと機会を伺ってた。

 わたしの考えた、“素敵で刺激的で大胆な最高の物語”を始める良い機会が来るのを。


 そしてある日、その機会はやって来た。

 お父さんのダンジョンに正体不明の人間が訪れ、お父さんに効率的に他のダンジョンマスターや野良の魔物達から財産や労働力を搾り取る為の方法を教えた。

 お父さんが詐欺を始めると、それまでの下準備のかいがあってわたしは今回の詐欺の実行犯をやらされることになりました。

 此処まで来ればあとは配役と物語の終盤を飾るのに相応しい舞台作りだけ。

 本当はディオーソスさんやミルフィオーネさんといった方々に“主役”を頼もうかと思っていたんですが、アイネスさんの噂を聞いて急遽アイネスさんに主演として舞台に呼び込む事にしました。

 先程もちょっと言いましたけど、わたし、アイネスさんのことを尊敬しているんですよ。

 空想の物語を実際に体験出来るダンジョンのダンジョンマスター、素敵じゃないですか!

 流石にわたしも空想の出来事を実体験させることはおろか、それを現実にする技術もスキルもないですからね。

 それを可能とし、そのままダンジョンに組み込むアイディアを思いついたアイネスさんにはとっても興味があったんです!

 なのでどうにかアイネスさんに今回の舞台に参加してもらおうと、先程アイネスさんが言ったようにミノタウロスに契約書を渡したりディオーソスさんとミルフィオーネさんと繋がりがあるミチュさんを通して人間のダンジョンマスター……タケルさんの助力を匂わせるように仕向けたりと秘密裏に行動をしました。

 

 ただ、急に配役を変えて急いで計画を練り直したせいか、少し失敗をしてしまったようですね。

 アイネスさんを舞台に引き込む為『父親に虐げられなくなく言われるがままに詐欺の実行犯をやらされる可哀想なオークの娘』にしては不自然な動きを行ってしまったこと。

 トン吉さんの言葉につられてついトン吉さん達に渡した痛み止めをわたしが作ったものだと正直に伝えてしまったこと。

 わたしの誘導を感覚として見抜く事が出来る方がこの場にいたこと。

 そして、アイネスさんがわたしの想定よりも遥かに推察能力が高かったこと。 

 これらの失敗によって今こうしてわたしの計画は最後の最後で白日の元に晒されてしまった。

 今まで何度か“舞台の創作”をしましたけど、こんな風に失敗するのは初めてですっ! 

 アイネスさんに何もかも全て見抜かれて、“もう一つの物語の結末”もわたしの狙っていた結末とは全く違うものに塗り替えられて!

 そうして数年間に渡って準備していた計画が潰された時のあの衝撃。

 苦しくて悲しくてムカついて……、とーーーーーーっても素敵で楽しくて刺激的でしたっ!!

 フフフ、フフフフフ……!


 ……わたしが今回の詐欺の黒幕じゃないのか、ですか?

 ふふふっ、何を言ってるんです?

 そんな“悪いこと”、するわけないじゃないですかぁ。

 確かにわたしはその人間が来た後今の今までお父さん達の行動を誘導してはいましたけど、人間に変装して詐欺の方法を教えるなんて事はしてませんよ。

 そもそもわたしは抜きん出て頭が良いわけじゃないのでそんな詐欺の方法なんて思いつきませんし。


 そ・れ・に。

 詐欺なんて“悪いこと”じゃないですか!

 お母さんからそう教え込まれたんですよ。

『誰かが嫌がるような悪いことをしてるといつか破滅する。誰にも悪い事をしなければ良いことがやってくる』って。

 実際、お父さんに命令されて詐欺の実行犯やアイネスさんに危害を加えようとはしましたけど、わたしが自分から今回した事って何も悪いことじゃないでしょう?


 誰かに自作の美容品のサンプルや痛み止めをプレゼントすることは悪いことですか?

 お父さんが悪いことをしてるってこっそり誰かに伝わるようにすることは悪いことですか?

 誰かのお仕事を代わりにやってあげることは悪いことですか?

 皆さんの隙を突いて自分の手を汚さずアイネスさんに危害を加えようとするお父さんを止めることは悪いことですか?

 違うでしょう? それらは全部、悪いことなんかじゃありません。

 むしろ、善行って言っても良いことのはずです。


 それに詐欺の実行犯やダンジョン戦争中のアイネスさんへの攻撃だって仕方がない事だったんですよ。

 わたしはその時既にお父さんと隷従契約を結ばされていましたから。

 命令の曲解は出来てもその命令自体を拒絶することは出来なかったんですよ。

 もしも真っ当にお父さんに歯向かえば暴言と暴力を振るわれてより環境が酷くなり、最悪役立たずとして殺されかねません。

 それとも皆さんは、わたしに命を犠牲にしてでも見ず知らずの誰かを助けろとわたしに言うのでしょうか?

 それが常識だとハッキリと言えるのですか?


 ……ほら、何も言えないでしょう?

 それが普通なんですよ。

 それが普通ですから、わたしのやった“悪いこと”は『仕方のないこと』なんです。

 実際、皆さんもつい先程までそう思っていたからわたしを同情し、そしてお父さん達同様悪者だと認識しなかった。

 つまりはそういう事なんですよ。

 わたしは悪くないんです。

 少なくとも、自分達の為に自ら今回の詐欺の主犯になったお父さん達と比べたら。


 今回の件においてわたしはあくまで『父親に虐げられなくなく言われるがままに詐欺の実行犯をやらされる可哀想なオークの娘』でしかありません。

 ただ皆さんと違うのは、物語の流れを知っていて、その裏側で今回の物語が盛り上がるように展開を動かしていただけ。

 わたしは、今回の物語の『演者』の1役でしかない。

 黒幕はまた別にいるんですよ。


 ……まあ、わたしはその時ダンジョンを離れてましたので直接会って話した訳じゃないですけどね!

 お父さんの見ていたモニターからこっそりその人間を見た時に、ちょっと予感がしたんですよ。

 “あ、この人間に会っちゃ駄目だな”って。

 それでお父さんが人間を呼ぶ前にこっそりダンジョンの外で薬草の採取に行ってたんです。

 後でお父さんには怒られましたけど、ケムエさんの最後を見る限り接触しなくて大正解だったみたいですね!


 これがわたしの全てです。

 そしてこれらが今回の物語の舞台裏の全貌でもあります。

 アイネスさんの推察に関しては此方からは修正は特にありません!

 全てアイネスさんが言っていた通りです。

 そこに弁解や反論を述べる気はありませんよ。

 だってわたしはこの物語の悪役には成り得ない。

 今回の物語のわたしの役は『父親に虐げられなくなく言われるがままに詐欺の実行犯をやらされる可哀想なオークの娘』。

 その役をお父さんと旅を初めてからずっと……いえ、お母さんの娘として生まれてから? もしかしたらそれよりもずっと前からなのかもしれませんね。

 ともかく、その役を演じていたわたし自身だってそう。

 機を見て戦術を変える策略家でも何もかもを操ろうとする傀儡師でもありません。

 物語の展開に身を任せ、時に物語が盛り上がるように動き、その役を徹して演じ続けるだけ。




 そんな、ただの『演者』でしかないのですから。


 以上、元名無しのオークの娘による独り舞台でした。




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