さぁ、どうする?
『み、ミルフィオーネ様……!!! ディオーソス様……!! そ、それに……!』
『貴様の今までの行い、全て見させて貰ったぞぇ。その話術もそうじゃが、まさか自身の娘まで駒として扱うとは、中々のキレ者のようじゃのぅ? なあ、ディオーソスよ』
『うむ、無情でありながらも最小の犠牲で事を解決させる実にスマートな手段だ!! エクセレント!! ……とは、とても言えないがな』
『娘ちゃんが一緒にいたのはてっきりダンジョンの跡を継ぐ為のお勉強のためなのかと思ったけど……まさか自分の悪事を全部押し付けちゃう為だったなんて! アンタ、親失格よ!』
スマホの画面の向こうにいるのは、ミルフィーさんとディオーソスさん。
それにミチュさんを筆頭とした詐欺の被害者の会の面々。
彼らは私がこのダンジョンに来てビデオ通話を繋げていた時から、ずっと小型カメラから私達のやり取りをリアルタイムで見ていたのだ。
詐欺行為に関して詳しい法律やルール、定義がないこの世界。
最強の根拠付けは状況証拠でも物的証拠でもなく、犯行現場のリアルタイムでの目撃だ。
これなら幾ら口が上手かろうと、他の者に罪を擦り付けようとしても、一切通用しない。
実際に見て聞いて、誰が今回の事件の首謀者だと思うか、なのだから。
にしても、ミチュさん以外の被害者ダンジョンマスターがなんか静かだな。
私達がこのダンジョンに来る前は私のダンジョンの内装に驚いてたりオークジェネラルに対して怒りを見せてたりと騒いでたのに、なんで急に黙ってるんだろうか。
「ミルフィーさん、そっちにいる被害者の皆さんなんか静かじゃありません? 何かありました?」
『なに、大した事ではない。お主の「被害者側にも騙される隙と油断がありすぎた」という言葉で核心を突かれ、先程お主が見せた顔と声色にビビっているだけじゃ』
「十分大した事ありますね」
そんなに怖かったとは思わなかった。
ミノタウロスの契約詐欺未遂案件からこんな大事にされて若干苛立ってたのもあって余計怖い顔をしていたのかな。
ごめんよ、被害ダンジョンマスター達。
『さてロッソよ、そなたとアイネスのやり取りを見て考えたわっちらの総意を伝えてやろう』
『は、はい!』
『そなたは言ったな。今までの悪事はお主の娘がやった事であると。色々と言いたい事もあるが、まあそういう事にしてやろう』
『え、ええ! 大変申し訳ないのですが、全てはコイツがやった事でして! コイツにはこの後此方で処罰を……』
『だがしかし、お主の娘の悪行に気づけなかったのは父であるお主の責任じゃ。お主だけではない。お主の娘の脅迫に負けたお主の直属も、ダンジョンマスターの娘の危険行為に気づくことがなかった配下のもの達も、全て罪の責任を問うべきであると考えておる』
自身の思惑通りにミルフィーさん達が考えてくれたと思ったのかオークジェネラルは一瞬喜色を浮かべたけれど、その後の言葉でサァッと冷や汗を流した。
オークジェネラルの反応が愉快に見えたのか、ミルフィーさんは不敵に笑い、オークジェネラルに言った。
『お主の娘のみの責任だと思うたか? そもそも、ダンジョンマスターが管理するDPがお主のダンジョンを中心に動いている故、そのダンジョンのDPを管理するお主が気づかない事自体がおかしいのじゃよ』
『ぐっ……!』
『わっちとしては、お主のダンジョンの所に赴かずとも、わっちやディオーソス、それにミチュや他のダンジョンマスター達がダンジョン戦争を仕掛けてお主の全財産を絞り尽くせば良いじゃろうと思ったのじゃが、生憎被害者ダンジョンマスター達はお主の娘による「契約」に縛られているためお主のダンジョンに対し宣戦布告することが敵わぬ上、アイネスに「流石にそれは無理矢理過ぎる」と止められた』
最初にオークジェネラル達のことを聞いた時、ミルフィーさんとディオーソスさん、それにミチュさんは既にオークジェネラル達を破滅させる準備に取り掛かっていた。
ミチュさんとディオーソスさんに関してはある意味当然だろう。
ミチュさんはオークジェネラル達の詐欺の被害者。
ディオーソスさんに関しては他のダンジョンマスターならいざしらず、自分の友人であるミチュさんが詐欺の被害にあったのだ。
笑顔の仮面の裏ではかなりご立腹だっただろう。
私が直接ダンジョンに赴くと言った際、すでに3人がダンジョン戦争の準備やら何やらを行っていると聞いて思わず身震いした。
いずれか一人がダンジョン戦争を挑むというだけでもオークジェネラルには負けが濃色なのに、それが立て続けに3回も挑まれたなら、オーバーキルだ。
ダンジョン内は荒らされ、今まで他のダンジョンマスター達から奪ってきた物も含め所有する財宝は全て掻っ攫われ、DPも有能な魔物も徴収される。
それはまさしく、“破滅”の一言だろう。
『今回アイネスが姿を変えてお主のダンジョンに話し合いに行ったのは、アイネスからの慈悲じゃ。お主達に情状酌量の余地があるか、己の罪を償うつもりがあるかを見定める為にアイネスの所有する魔法道具を使ってお主達のやり取りを見せてもらったという訳じゃ。そのアイネスの慈悲に気づかず罪から逃れようとして、こうも酷い茶番を見させられるとは、実に残念極まりない。アイネスが怒り、一度匙を投げようとしたのも無理はなかろうよ』
私がそれに待ったを掛けたのは、別に彼らに同情したからじゃない。
今回の問題にはタケル青年が流した知識が絡んでいるであろうにも関わらず、彼と同じ世界の住民である私が無関係者面するのはあまり良くないと考えたから。
ひとまず私がそのダンジョンにカモとして訪問することで全ての悪行が本当の事なのかとオークジェネラルが考えを改めるかどうかをミルフィーさんや他の皆に見てもらい、その間に私は彼らに対する対応を決める。
そしてもしオークジェネラル達が私の手に負えない程の悪人だった場合はそのままこのダンジョンを去って後のことをミルフィーさん達に任せ、ミルフィーさん達は元々決めていたようにダンジョン戦争を仕掛けてオークジェネラルを破滅させる。
そういう事になっていた。
だからもしあの時でトン吉が声を上げなければ、このダンジョンはミルフィーさん達の手によって破滅させられていただろう。
あの時点で、このオークジェネラルの未来は殆ど確定していたのだ。
「だから言ったでしょう? トン吉さんに待ったを掛けてもらって良かったですねって」
『ぐ、ぐぅぅ……!!!』
私が淡々とそう告げれば、オークジェネラルは歯をギリギリと鳴らして悔しげな表情を浮かべた。
そんなオークジェネラルの姿をスマホを通して見ながら、ミルフィーさんが私に尋ねてきた。
『してアイネスよ、どうするのじゃ? お主がこの者達の対応の匙を投げるというのであれば、わっちらは前々より決めていた事を行うだけ。お主が何かしらの解決方法があるならそれも良し。どちらにするかはお主が決めると良い』
「どちらにするか決めて良いって言ってもですね……。私からしたらこのダンジョンに関しては殆ど興味ないんですよ。だからそちらの方で話し合いをするなりダンジョン戦争を行うなりすれば良い、と思っています。バイフーさん達はどう思いますか?」
私がバイフー達の方に向いて、オークジェネラル達の処置に対して尋ねてみた。
彼らは少し考えた後、各々の意見を述べ始めた。
『此奴ら全員我らの奴隷にして、此奴らのダンジョンごとそなたのダンジョンに吸収してしまえば良いのではないか? そうすれば財産の返還も滞りなく進む上、我らも新たな稼ぎ場を手にする事が出来る。我らも被害者も喜ぶ形で終わるぞ』
『それよりボクは彼らにも被害者と同じ気持ちを味わって貰った方が良いと思うな。ただ財産を返還するというんじゃ彼らにあまり痛みはない。財産を返還させた上、騙し取った財宝やDPと同じだけのDPを働いて支払わせる方が彼らも自分たちの悪事がどれだけのものか分かるんじゃないかな?』
『オラはなんでも良いべさぁ。アイネス“ちゃんのダンジョンは他んミノタウロス達も気に入ってるし、他んだんじょんますたぁに任せられんなら、それで良いと思うべさ』
『僕は話し合いで決めて、駄目ならダンジョン戦争で良いと思うかなぁ。アルアルは?』
『特に主張すべき事はなし』
皆、今までのやり取りを見てオークジェネラル達に対して色々と思う所があったんだろう。
彼らが言った提案は全て私側や被害者にしか得にならない事ばかりだ。
そんな中、トン吉だけは私の質問に答えず黙っている。
私はトン吉さんに問いかけた。
「トン吉さんはどうしたいですか?」
『……おでは、一つのダンジョンをどうこうするとかは、上手く決められません、ブヒッ』
「そうですか」
『……でも、』
「でも?」
トン吉は一度言葉を止め、オークの娘の方を見る。
オークの娘と目が合った後、トン吉は意を決した様子で私に言った。
『せめて、この子が今より良い環境で過ごせるような結果になる処置が良いとは思います。』
『!』
『一度庇ってしまった以上、突き放すような真似は出来ないですし、おでにはこのダンジョンの状態が彼女にとって過ごしやすいとは思えません……ブヒッ』
トン吉の答えを聞いたオークの娘は、何か心を動かされたように服の裾を握って、顔を上げてトン吉の方を向いた。
きっと今までそんな言葉を掛けられる事がなかったんだろう。
殆ど死んでいた表情に、僅かに光が宿ったのを感じた。
「なるほど。かなりアバウトですけどトン吉さんらしい答えですね」
『抽象的ですみません……』
「いえ、良いんじゃないですか? 人も魔物も、考え方や意見は各々違いますし。少なくとも一度助けてそのまま放置っていうよりは全然良いと思いますよ」
『ヒューヒュー! トンチーめっちゃかっけぇよ!』
『いっそのことそのまま付き合っちゃいなよ!』
『デートならワタシのダンジョンの一室を貸すぞ、オークボーイ!』
『『!?』』
オークの恋愛を応援したがってる三人の茶化しは取り敢えず置いておこう。
トン吉とオークの娘が付き合うとしても、今ある問題を解決させないとどうにもならない。
私は、顔を俯けて何か考え込んでいる様子のオークジェネラルに問いかけた。
「ロッソさん、選んでください。心を改めて今この場で被害者達から奪い取ったDPや宝を返還するのと、トップランクのダンジョンマスター達を立て続けに相手にしてダンジョンごと崩壊するの。吸収合併でも慰謝料を支払うのでも、なんでも構いませんよ。どういった終わり方を迎えたいか、貴方が決めてください」
『……』
「さぁ、どうします?」
オークジェネラルは何も言わない。
オークジェネラルの周りでバイフー達は笑みを浮かべ、オークジェネラルの配下達は不安げな表情で彼を見つめている。
私には、彼が何と答えるのかなんとなく察しがついていた。
彼の目を見ていれば分かる。
彼は反論の言葉が思いつかず立ち尽くしている訳でも、全てを諦めた訳でもない。
彼は考えているのだ。
一体どうすれば自分の罪への罰から逃れられるのか、どれを取れば一番利益があるのか、只管頭を働かせているのだ。
一分にも満たない熟考の後、オークジェネラルは口を開いた。
『そうだな。では自分は、ダンジョン戦争をすることにしよう』
「はぁ、自らミルフィーさん達と戦いたいなんてそれはまたハードなご決断ですね。もしかしてマゾですか?」
『いいや違う。自分がダンジョン戦争を挑む相手は、お前だ! ダンジョンマスターアイネス!!』
『『『はぁ!?』』』
『んだべさ!?』
オークジェネラルからのダンジョン戦争宣言に驚愕の声を上げるバイフー達。
まあ、そうなるだろうとは思っていた。
ミルフィーさん達を相手になんてしたら必ず破滅する。
かといって、せっかく稼いだDPや宝を返すのも嫌だろう。
奴隷契約や慰謝料なんて彼にとって論外だ。
なら、この場において自分たちが助かるチャンスがあるのは、私にダンジョン戦争を挑んで勝つこと。
ダンジョン戦争に勝って、自分の代わりに彼らが望むだけのDPと宝を渡せと要求すれば自分たちの懐は傷まない。
更には私達のダンジョンを奴隷として扱えば、詐欺が出来なくなった後も一定のDPを稼ぐ事が出来る。
こんな詐欺を考えたダンジョンマスターの考えとしては、ある意味当然とも言える。
私はオークジェネラルからそっぽを向いて、手を払う。
「私、ダンジョン戦争なんて全く興味がないんです。死にそうになるのも重傷を負うのも嫌ですし、何より私達に旨味が見えません」
『そこら辺はそちらの意向を汲んでやろうじゃないか。勝利条件はダンジョンマスターの気絶、もしくはダンジョンコアに触れること。ただし魔物がダンジョンマスターに対し後遺症や生死に関わる程の怪我を負わせたらその魔物は消滅する。どうかね?』
「それじゃ足りません。罠も此方のレベルに合わせてください。人間が死ぬような罠や後遺症になるほどの重傷を負う罠は全部NGです」
『ならそのルールも追加してやる。ダンジョン戦争を行うのは今日から一週間後。そちらが勝てばDPでも財宝でも、このダンジョンにある物はなんでも支払ってやろう。』
「それ、ダンジョン戦争前にダンジョンの外に全部移動させるつもりでしょう? 却下です。今この場にある財産とDPでのお支払いでお願いします」
『ちょ、ちょいちょいちょーい!』
私とオークジェネラルが話し合いをしていると、アマービレが滑り込むように会話に入ってきた。
アマービレはオロオロとした様子で話しかけてきた。
『アイぴっぴ、ダンジョン戦争に乗り気な感じなの!? めっちゃ高度な話し合いしてんじゃん!』
「まさか、ダンジョン戦争なんてする気ないですよ。今の所」
『今の所?!』
『いつかはするつもりなの!?』
「此方にとって良い条件になったらそうするでしょうね」
『意外じゃな。あの小僧に挑まれた時は何度も断っていたじゃろう?』
「今の状態でミルフィーさん達に後のことを任せると、ロッソさん達に逆恨みされてそうなんですよね。若干距離が近いのもあって、何されるか不安です」
ミルフィーさん達に全てを任せた際に気がかりなのはそこだ。
ミルフィーさん達の事だから、ダンジョン戦争で手を抜くことはないだろうし、被害者達がオークジェネラル達をこのまま生かす可能性はないに等しい。
だけど万が一のことを考えてしまうと、一抹の不安を感じてしまう。
ダンジョン戦争前やその間に私達のダンジョンの悪評を広めるとか、何かしら手荒な手段に出る可能性が高い。
「それに私、今もとってもムカついているんですよね」
『まだおこだったん!?』
「だって、あんなの見せられてむかつかない方いますか? 蹴り飛ばしたくなりません?」
『あ! これ激おこのやつだ! いつもと違って笑ってないのが逆に怖たん!』
『アイネスはロッソのような男が嫌いなのかえ?』
「あれはそれ以前の問題でしょう。言動に矛盾がありすぎます。あんな酷いダブスタ、早々ないですよ」
『だぶすた? なんだべそれ』
「相手によって言うことやることを変える事で……まあ、その説明は後にしておきましょうか。」
オークジェネラルの自分の娘に対する対応は見ていて本当に気分が悪かったし、気持ち悪かった。
周りや外にはいい顔をして自分の家族に対してあんな態度でいるなんて、ただ性格が悪い人よりもたちが悪い。
オークジェネラル達をただ殲滅するだけじゃ、事足らない。
「それに、此処で私達がダンジョン戦争に乗る事で得られるメリットはありますよ」
『メリットじゃと?』
『なんだね、それは?』
「被害者ダンジョンマスターに貸しを作れます」
それを告げた瞬間、バイフー達はきょとんとした表情になり、スマホの向こうが静かになる。
被害者ダンジョンマスター達が聞いている場で言うことじゃない事は分かっているけど、今思いつくメリットの中で言えるのがこれだったのだ。
暫くの静寂の後、スマホの向こうから吹き出す音が2つ聞こえた。
そしてミルフィーさんとディオーソスさんの笑い声が聞こえてくる。
『アッハッハッハッハッハ!! そ、そうじゃのう、確かにアイネスの言う通りじゃな。恩を売れる時に売るのが良いことじゃ……ブフッ!!』
『ハーッハッハッハッハッハ!! ハーッハッハッハッハ、ゲフッ、ゴホッゴホッ!!』
『ディオーソス、アンタ笑いすぎよ! 笑いすぎて噎せてるじゃないの!』
「いや、身も蓋もない事を言っているのは分かっていますけどそんな笑う事ないですよね?」
『いや、此処まで直球に言うというのは、早々おらんじゃろう……くふふっ!』
口元抑えケラケラと笑うミルフィーさんと、笑いすぎて噎せているディオーソスさん。
彼らの後ろではぷりぷりと怒っているミチュさんと、苦笑を浮かべている被害者の会のダンジョンマスターがいる。
私のダンジョンの談話室がカオスと化している……。
ミルフィーさんは一頻り笑った後、一度深呼吸をしてから私に言った。
『そうか、お主が彼奴を相手にするというのなら話は早い。ダンジョン戦争に必要なDPは此方で用意してやろう』
「え、また援助してくれるんですか?」
『丁度、此方でダンジョン戦争に備えてDPを用意していたからのう。アイネスが全てを解決してくれるのであればそのDPも安く済む。それにお主がどう戦うかを見ているのも面白い。一時の退屈しのぎに観戦させてもらおう』
「た、退屈しのぎ……」
『代わりに、絶対に勝つのじゃぞ』
ミルフィーさんにとって、私のダンジョン戦争はサッカーのワールドカップと同じ認識になったようだ。
なんだか少々不服ではあるけれど、ミルフィーさんが援助してくれるのであればダンジョン戦争を行うに当たってのデメリットが消えた。
私は大きなため息をついた後、オークジェネラルの方を向いた。
「お互い、話の展開が急過ぎて色々と混乱している所もあるでしょう。明日同じ時間にお邪魔しますので、その時にダンジョン戦争に関して色々細かいルールなどを決めましょうか」
『良いだろう。場所は此処で構わんな?』
「ええ、構いません。ただし本格的にダンジョン戦争を始めるまではお互い手荒な真似を行ったり宝を別の場所に移動させたりなんて、他者から見て無粋な真似と思われる事は禁止にしましょう。もしもこれに違反した場合は……」
『今度こそ“破滅”を迎える事になるぞ、と言いたいのか。まあ、良いだろう。そのくらい違反するつもりはない』
「では、そういう事で。今日の話し合いは此処でお開きにしましょうか。皆さん、帰りましょうか」
『う、うむ』
オークジェネラルからの言質は取った。
口達者で頭の良いオークジェネラルのことだ。
これで下手な真似に出る事はないだろう。
バイフー達を促し、私達は談話室を後にするためにダンジョンに戻る為の手紙を手に持った。
オークジェネラルのダンジョンから去る直前、オークジェネラルが鬼のような形相で私を睨み付けていた事に気が付いた。
自分の居心地の良い天国を荒らされた怒りと殺気に満ちたオークジェネラルは、私に言った。
『調子に乗るなよ、獣人の小娘』
『そっちこそ色々と考えてくださいね、クズ親豚』
そんな別れの言葉を残した後、私達は手紙を使って自分のダンジョンへと戻った。
これから、とっても忙しくなりそうだ。




