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冴えなくて悪かったな

 私が推測していた通り、オークジェネラル達は私の事を知っていたらしい。

 私の名前を聞いた瞬間、目を見開いて私を凝視している。

 しかしオークジェネラルは私の姿を舐め回すように見た後、すぐに大きな笑い声を上げた。


『は、ハーッハッハッハ!! バイフーくんもお人が悪いですなぁ!』

『なに?』

『いえね、新人である君には分からないかと思われますが、『アイネス』というのは少し名の知れたダンジョンマスターの名前と同じ名前なんですよ。いやぁ、てっきりその方が来たのかと思いました』


 オークジェネラルがそう言えば、堕天使の男性や女性魔物達はお互いの顔を見合わせ、オークジェネラルと同じように笑い始めた。

 どうやら彼らは私を同姓同名の別人だと認識したらしい。

 確かに契約書を私に渡しただけじゃそんな反応になるだろうな。

 今はパーティーの時とは違う変装をしているし。

 バイフーはそんな彼らに嘲笑の眼差しを向けながら、オークジェネラルに尋ねた。


『そなたが知っている『アイネス』と、此処にいるアイネスが同一の存在だとは思わぬのか?』

『確かに性別は同じですがねぇ、見た目や種族が違うんですよ。自分はその方がいたパーティーには参加していなかったので実際に見たことはないのですが、知り合いからその特徴や種族は聞いております』

『確か、そのダンジョンマスターは夜空を彷彿とさせる黒髪の持ち主で、見た目は少女の姿であるものの神道の極地に至った者のような雰囲気を持つ、種族は獣人だとか!』

『自分に対しどれだけ無礼を働かれても怒りを露わにしない広い器を持っていて、配下が侮辱されたら配下に代わって怒り、更にはその存在が塵と化すまで滅する強大な力を持つと聞いていますわ!』


 ああそれ、確かに私じゃないな。

 私は黒髪だけどそんな綺麗な黒髪じゃないし、神道の極地なんて至った覚えはない。

 そこまで器が広くないし、タケル青年を塵にするまで滅した覚えも力もない。

 一体彼らはどんな化け物の情報を得たんだろうか。


『そこのアイネスさんは背格好こそ噂のダンジョンマスターと似ていますけど、髪の色と種族が全然違いますもんね~♡』

『そっちのエルフはなんというか、存在感が薄いっていうか、冴えないって言うか~……』

『比較対象にするのもちょっと、ねぇ? 今もこの中ではかなり浮いていますし、顔も然程良くはないですし』


 彼らの知る『アイネス』の情報と私を比較して私を貶めつつ、クスクスと嘲笑う女性魔物達。

 本当にベリアルやイグニ達を連れてこなくて良かった。

 彼らがいたら即刻談話室の中が血の海になっていたと思う。

 というか最後に発言したエルフ少女、顔も良くないって一言は余計だ。

 バイフー達と比べて地味顔なのは認めるけど、ブスって言われるのはなんだか癪に触る。


 バイフーは女性魔物達の言葉に少し眉を顰めたけれど、より一層上品に笑ってみせた。


『ほう、そなた達の目にはこの者がそう見えるのか。どうやら、相当使えぬ両目を持っているようだな』

『はぁ?!』

『そっちこそ、そんな子があのダンジョンマスターだなんて馬鹿げてるんじゃないの!?』


 バイフーに鼻で笑われ馬鹿にされた女性魔物達はその言葉が相当気に食わなかったのか、怒りの表情でバイフーに激しく反論する。

 流石はバイフー。相手を上から見下して蔑む事がとってもお上手だ。


『良い!? その噂のダンジョンマスターはね……』

 

 しかし、このまま誤解を解かずにいたら話が進まない。

 バイフーじゃ相手に言いくるめられる可能性があるだろうし。

 そろそろ誤解を解いた方が良いだろう。


  そして私は、一度契約書をアマービレに預けると、自分のカツラとメガネに手を伸ばした。


『髪が黒くて!』


 金髪のカツラを勢いよく外すと、一緒にヘアネットが外れて、元の黒い長髪が現れる。


『瞳が髪の色と同じく漆黒で!』


 メガネを外してカラコンを外せば、日本人特有の黒い瞳へと戻る。


『種族はエルフじゃなくて、』


 付け耳を取り外せばエルフ風の耳はあっさりと外れ、


『ケット・アドマー寄りの獣人』


 代わりにこっそり<アイテムボックス>から取り出した猫耳カチューシャと尻尾を装着する。


『そ、そして、配下にフェアリーロードとアークデビルロードが……』


 <隠蔽>を解除し、こっそりと装着していたフォレスお手製のネックレスとベリアルお手製のヴェールをうまい具合にまとめて作った花の胸飾りを認識出来るようにした。


『み、見た目は少女だけど、何処か大人じみた異質な雰囲気を持つ……ダンジョン、マスター……』


 怒号を浴びせていたエルフの声がどんどんとか細くなり、震えるように消えた。

 私はオークジェネラル達の視線を浴びながらソファの後ろから回り込み、バイフーの横に座った。

 そして、オークジェネラルに向かってそっと名前を告げた。


「どうも、**(名前)、アイネス。*********(ダンジョンマスター)」

『ダンジョンマスター、アイネス……! まさか、本物の……!』

「すみませんね。存在感がなくて、冴えなくて、おまけに顔があまり良くないダンジョンマスターで」

『アイネスちゃんが、『存在感がなくて冴えない、顔の良くないダンジョンマスターで申し訳ありませんね』って言っているよ』


 私の言葉をライアンが通訳して伝えれば、先程私を嘲笑った女性魔物達が一気にサァッと顔を青ざめていた。

 一体何を恐れているんだか。

 私がただ馬鹿にされただけで塵にするとでも思っているのだろうか?

 別に私はそこまで怒りっぽくない。


「取り敢えず、<オペレーター>を持っているのでしたら、私の言葉が通じるように頼んでくれません? 私一人だと一方通行にしか意思疎通が出来ないので」

『スキル<オペレーター>を所有しているのなら、アイネスちゃんの言葉が皆にも通じるようにしてくれ、だってさ。アイネスちゃんの言葉は通訳なしだと理解する事が出来ないからね』

『……』

 

 ライアンを通して<オペレーター>の通訳を頼んでみれば、オークジェネラルは何も言わずに自分の眉間を2つ指で抑えた。

 そして小声で何か呟くと、真剣そうな声で言った。


『……今、聞こえるようにした。試しに喋ってみると良い』

「バイフーさん、私の言葉が分かるようになってますか?」

『ああ、此方でも理解出来るようになっている』

「それでは契約の話に戻りましょうか、ロッソさん。私達が来た理由、なんとなく分かりませんか?」

『……さぁ、何のことだかさっぱりですね?』


 さり気なく自白を勧めてみたけれど、オークジェネラルはそれに乗っからず、肩をすくめて惚けてみせた。

 やっぱり分かっていたけれど、そう簡単に罪を認めるほど善人ではなかったらしい。


「私達、貴方と交渉しに来たんですよ」

『ほう、交渉ですか。それは一体どんなもので?』

「今、貴方には何人ものダンジョンマスター達を騙し、彼らの所有しているDPや宝物を奪い取っているという詐欺をされているという疑いの目が向けられています。これは推定でも憶測でもなく、単なる事実です。今から3日以内に、貴方から詐欺の被害を受けたと訴えるダンジョンマスター達に彼らが求めた分のDPと、その宝を譲渡してください。そうしないと、貴方は破滅することとなります」

『ほほう、破滅とはまた恐ろしい事ですなぁ』


 子供だと思って侮っているのか、もしくは余裕のある風を装って私の隙を狙っているのか、オークジェネラルは笑いながら対応する。

 これで自白するか、と思ったけれど、そう上手く行くことはなかった。


『ですが残念なことに自分にはそんな心当たりがないのですよ。なので、それに答える事は出来ません』

『我らにこのような詐欺紛いの契約を持ちかけ、美容品と称してスライムの粘液を渡そうとしたにも関わらずか?』

『あれは貴方方を試しただけですよ。新人ダンジョンマスターとなると、稀に自惚れて将来足をすくわれてしまう方も少ないですからね。「少し警戒しないとこんな風に足をすくわれるぞ」という軽い警告みたいなものです』

「なるほど。つまり貴方は、これがジョークだった、と――――」

『いやはや、まさか他のダンジョンマスター達の間でそんな噂が立てられていたとは知りませんでした。この冗談はあまりに笑えなかったようで、申し訳ありません』


 どうやらオークジェネラル側は、今回の詐欺未遂はただの冗談だった、と誤魔化して過去の詐欺の疑いとは無縁だと主張するつもりのようだ。

 確かに私達の手にあるのは今回の詐欺未遂の証拠だけ。

 過去の詐欺とオークジェネラル達を結びつける証拠はない。

 そうオークジェネラルは考えているのだろう。

 やはり、一筋縄で行くダンジョンマスターではないようだ。

 そうなると、やっぱり此処は本来の計画通りに進めるしかない。


「笑えない冗談、ですか。確かに笑えませんね」

『これでもジョークはかなり得意なんですがなぁ。ダンジョンの者や他のダンジョンマスター達には「ジョークが上手いオークジェネラルだ」と褒められるんで――』

『冗談のために他のダンジョンマスターや野生の魔物達に堕天使の契約書や商品を持ち込ませた魔物と、過去に被害が遭った方が渡した契約書と全く同じ契約書を出すだなんて、冗談にしては余りに手が込み過ぎでは?』


 私がそう告げれば、オークジェネラルは途端に黙り込んだ。

 彼は頭の中でかなり混乱していることだろう。

 その隙に、私は次の一手へと入らせてもらう。オークジェネラルの隣に侍るラミアに手のひらを向け、声を掛けた。


「そこのラミアさん」

『え、あ、はい!』

「私に同行した魔物の数が何人か、分かりますか?」

『え、ご、5体でしょう?』

「本当に? ちゃんとよく数えましたか?」

『え、ええ。だって、この場にいるのは雷虎にウィッチ、グレーターワーウルフ、そしてオートマトン……』

「と、ミノタウロスを含め、合わせて6人ですね」


 私は手のひらを上げ、<隠蔽>を解除する。

 その次の瞬間、私の背後には私の肩を掴んだミノタウロス、オリーブが姿を現した。

 彼女の手にはアマービレが持つ契約書と同じ黒い契約書が握られている。

 オリーブの姿を見た瞬間、堕天使がさっと顔を青ざめるのが見えた。

 

 二段構えの<隠蔽>。

 ネックレスと胸飾りとは別にオリーブに<隠蔽>を掛けて私の背後に立ってもらっていたのだ。

 もしもオークジェネラルのダンジョン内で彼女が見た覚えのある魔物、つまりはミノタウロス達の村に契約書を持ってきた魔物を見つけたら、合図を送って伝えるように指示を出して。


『あ、アイネスくん、このミノタウロスは一体?』

「彼女は私のダンジョンに迎え入れる前はこのダンジョンの外の森、その森の奥深い秘境の村で生活していたミノタウロスさんなんですよ。しかも、噂の詐欺の被害者と似たような詐欺に遭いそうになった被害者です」

『被害者、だと……!』

「オリーブさんは詐欺まがいの契約を持ちかけられた際、その相手の顔を見ているんですよ。そうでしょう、オリーブさん?」

『んだべ。オラ、ちゃーんと覚えてるだべさぁ。そこの眼鏡のオーク“の女の子を筆頭とした魔物達がオラたちの村に来たんだべさぁ』

『っ!!』


 オリーブが指差したのは、オークジェネラルの後ろで顔を俯けていたオークの娘だった。

 オリーブに指を指されたオークの娘は、ビクッと身体を跳ねさせた。

 どうやら彼女はオークジェネラルと違って、嘘は付けないオークらしい。

 私はオリーブが持ってたミノタウロス村関係の契約書と、アマービレに持ってもらっていた私達に対する契約書を受け取った。


『見た所、この2つの契約書の紙は全く同じ物のようです。その気になれば誰がこの契約書の項目を書いたのかを調べる筆跡鑑定、もしくは<鑑定>スキル持ちの方に鑑定してもらって誰がこの契約書を作ったのかが分かりますけど、どうされますか? 自分は無実であると胸を張って言えるのでしたら、問題はないですけど』

『……』


 過去の詐欺に使われた契約書と、オークジェネラルが渡した契約書。

 一つの契約書だけではオークジェネラルの関与を認めさせるには弱いけれど、両方揃ったらそれは強力な証拠になる。

 ただ<鑑定>するだけだとそんなものは捏造だと言い逃れが出来てしまう。

 しかし、<鑑定>持ちじゃなくても同じ物だと分かる契約書が揃ったとなれば、<鑑定>結果にも信憑性が湧いてくる。

 私達に対し契約を持ちかけた時点で、このオークジェネラル達の悪事の関与は確定になってしまったのだ。

 これを弁解することは、不可能と言って良いだろう。


『さぁ、どう言い逃れるつもりなのだ? オークジェネラルよ』

『美容品をいれる容器に代わりに詰められていたスライムの粘液に過去の被害者が書かされた物と同じ契約書、そしてそれまでのやり取りの記録……。此処まで証拠が揃えば、もう無関係だとは言えないだろう?』

『早く、ミチュのネェさんや他のダンジョンマスターの物を返しなよ!』


 バイフー達がオークジェネラルに今まで奪ったDPと宝の返還をするように追い詰める。

 オロオロと不安そうな表情を浮かべてオークジェネラルを伺う女性魔物達に対し、オークジェネラルは顔を俯けて黙り込んでいる。

 此処で罪を認めてくれないようなら、ただ黙ってダンジョンに戻り、全ての証拠をミルフィーさん達に渡せば良い。

 私達がオークジェネラルの次の行動を伺っていると、オークジェネラルは静かにソファから立ち上がった。

 そして私達に背を向け、オークの娘の方に身体を向けた。

 

「あの、ロッソさ――――」


 オークジェネラルの背中から何か嫌な物を感じ取り、私は咄嗟にオークジェネラルに呼びかけようとした。

 しかし、その呼びかけが言い終わるその直前、








 オークジェネラルが、オークの娘の肩をどついた。

 自分の娘を、自身の持つ力で強く叩いたのだ。

 強い力で肩を押されたオークの娘は突然の事に反応できず、そのままの勢いで床に倒れ込んだ。

 床に倒れ込んだオークの娘に対し、オークジェネラルが放ったのは心配の言葉でも、謝罪の言葉でもなく、怒鳴り声だった。


『何をしてくれたんだァお前は!!! また(・・)、他のダンジョンマスターさん達の物を騙して金品を取り上げるような事をしおって!!!』

『お、おとうさ――――』

『しかもケムエを脅して堕天使の契約書まで作成させ、それを私欲の為に使ってたとは!!! 他の皆を敬い、大事にしろと何度も言っているのに、何故同じ間違いを起こすんだ!!!』

『ご、ごめんなさ―――』

『謝れば良いって問題じゃないんだよ!!!!』


 自分がどういう状況なのか分からない、といった表情を浮かべながらも咄嗟に謝罪の言葉を述べようとしたオークの娘の言葉を遮り、オークジェネラルはソファを叩いて怒鳴り声を上げた。

 オークジェネラルの怒声と大きな音に怯んでしまったオークの娘は、身体を小刻みに震わせながら、何も言わずにその場に立ち上がった。

 そんな彼女に対し、オークジェネラルは怒声を浴びせる。


『お前はいつもいつもこんな事ばかりして!! なんで俺の言うことを聞いてくれないんだ!!! 他のダンジョンマスター達を騙して金品を取るなんて事をしたら、困るのはこのダンジョンなんだぞ!』

『……っ』

『お前が生まれつき他のオークと違うというのは分かっている! だから皆にも配慮するよう言っているし、俺も出来るだけお前を怒らないようにしているだろう! それなのになんでこう同じ間違いを繰り返すんだ……!』

『で、でも……』

『でもじゃない!! いつも言っているだろう! 何かをやる時は俺か他の奴に確認しろ。お前の考えている事は殆どが間違ってるんだから、行動する前によく考えろって!!』

『……』

『黙ってないでなんか言え!!』


 誰も言葉を挟めないぐらいの勢いでオークの娘に怒声を上げて説教をするオークジェネラル。

 私やバイフー達は突然の父のオークジェネラルが娘を説教し、責め立てる姿が想定外過ぎて、その場で呆然としてしまった。

 暫くして、長い長い説教が終わると、オークジェネラルは自分の娘の頭を掴むと、私達に向けて頭を下げさせた。


『本当に面目ない! どうやら、過去の詐欺は全て、自分の娘が全てやらかした事のようだ!!』

『えーっと……つまりは、どゆこと?』

『コイツは自分と違って亜種じゃないんだが、生まれつき他のオークと違う所があってね……。他のオークが出来る事も出来ず、良くこんなとんでもない事を引き起こすんですよ!』

『じゃあつまり、噂になっていた詐欺をやっていた犯人は……』

『多分コイツでしょう。コイツは子供の頃からこうなんです。自分が頼んでいた雑務の手伝いを放棄して雑草を毟って遊んでいたり、この子達や他の者に無神経な発言をしたり、周りの状況を把握できなかったり……。挙げ句、こんな大事まで引き起こすんです。きっと、自分の育て方が間違っていたんでしょうね。他のダンジョンマスター達には大変迷惑を掛けた。コイツの父親として、謝罪しよう。コイツが本当に迷惑を掛けてしまった! ほら、お前も早く謝れ!』

『……申し訳、ございませんでした』


 オークジェネラルに促され、オークの娘は私達に対して深々と謝罪した。

 突然の急展開に追いつけないのか、アマービレ達はお互いの顔を見合わせ、なんとも言えない表情になっていた。

 オークジェネラルは顔を上げると、申し訳無さそうな表情のまま私達に言った。


『コイツが他のダンジョンマスターから騙し取った宝や、説明会の報せを受けられずに参加できずDPだけ損をしたダンジョンマスター達には、追々返品させていただこうと思います。ひとまず、今回はお引取り願えないでしょうか? もう少し、コイツに言い聞かせなければなりませんので』

『は、はぁ……』

『美容品もちゃんとした物を渡そう。本当に迷惑を掛けた』


 オークジェネラルの言葉に対し、アマービレ達はどうすれば良いのか分からない様子のようだ。

 バイフーは私の方を見て、尋ねてきた。


『どうするのだ? アイネス。どうやらもう解決したようだが……』

「……」

『アイネス?』


 バイフーは私を何度か呼んできたけれど、私はその呼びかけに応じず、ただ口を閉ざして黙っていた。

 オークジェネラルは女性魔物の一人に美容品を取りに行くように指示を出し、私達に対して平身低頭で頭を下げてくる。

 私はオークジェネラルの方ではなく、オークジェネラルの後ろで立っているオークの娘の方に目を向けていた。

 オークの娘の表情は、分厚いレンズの眼鏡に隠され、此方からでは見えなかった。

 私は一つため息をついて、ソファから立ち上がって談話室から去ろうとした――――

 






『あの!!!!!』



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