初対面の人の前ではマナーに気をつけよう
【名前】名無し
【種族】エンシェントサラマンダードラゴン
【称号】竜王、紅蓮の覇者
レベル:138
HP: 32000/32000 MP:18000/18000
力:5300 防御:4650 素早さ:1620 魔法:2900 運:1230
【スキル】
竜化 LV -
威圧 LV 9
ブレス LV 10
竜族支配 LV10
火属性無効 LV―
風属性耐性 LV7
物理耐性 LV8
魔法耐性 LV6
異常耐性 LV7
貫通攻撃 LV8
身体強化 極 LV 9
Etc……
はい、完全にベリアルに続いてのSSR級のチートキャラ召喚です。ありがとうございます(感謝しているとは言っていない)
いやー、まさか2回連続でSSR級魔物引き当てるなんて思っても見なかったよ。これ、宝くじ買ったら高額当選出来るんじゃないだろうか?
……うん、こんな展開来るとは思わないでしょ、普通。
なんで2連続でイケメン来るの?
しかも貴公子系イケメンの次は俺様系イケメン?
ここはいつから乙女ゲーになった?
高校生になって今更「将来の夢はぁ、皆に愛されるお姫様でぇす♡ミャハッ☆彡」って言わないし思わないから!将来の夢は安定した収入と不労所得での充実した引きこもり生活をすることだから!
ノーイケメンイエス引きこもりなんだよこっちは!
…はぁ、思わず取り乱してしまった。
既に召喚されてしまった事に嘆いても仕方ない。
こうして奇声を上げて心の中で叫んでいても意味はないのだ。
私の奇声と奇行に先程召喚されたばかりのドラゴンくんがポカーンとして驚いてしまっている。一方ベリアルの方はニコニコと微笑んでいるため何を考えているのか分からない。
「えーっと。取り敢えず初めまして。私の名前はヒトミコ・コモリです。此処ではアイネスって呼んでください」
「***??」
あ、また言葉が通じてないなこれ。
普通に言葉通じないとは思っていたけど、種族名にエンシェントってあるから異世界言語も分かるかなーって思って普通に名乗ってみたけど案の定通じてなかった。
今回はベリアルという説明役がいるのでその関係の事情説明は楽だけどね…。
早速説明の方を頼もうとベリアルの方を向くと、ベリアルは待ってましたと言わんばかりの笑みで此方を見ていた。
正面に俺様系イケメン、隣に貴公子系イケメンって非リア充にとっての地獄ではないだろうか?
「ベリアルさん、事情説明頼んでも良いですか?」
「**。」
身振り手振りで頼んでみると、ベリアルはすぐに察してくれたようで一礼とともにドラゴンくんの元に近づき、話し始めた。
ドラゴンくんはベリアルくんが近づいたのを見て一瞬嫌そうな顔をし、ベリアルが話し始めると更に嫌そうな顔をした。
…仲悪いの?
ベリアルは嫌そうな顔をするドラゴンくんにもにこやかな笑顔で話していく。
すると、突然ドラゴンくんがきょとんとした顔で目を丸くし、私を一度見た後ベリアルを指差した。
ベリアルはそれに対し首を横に振って私の方に手のひらで差すと、ドラゴンくんは驚いた表情で私とベリアルを交互に見てなにか叫ぶ。
……うん、これはあれかな?
『初めまして、ドラゴンさん』
『げっ、お前がダンジョンマスターなのかよ』
『いえ、ダンジョンマスターは僕じゃないですよ』
『えっ、じゃあ誰なんだよ?』
『あそこにいる人間がそうですよ』
『あの冴えない陰キャな人間がか!?嘘だろ!?』
ってな感じの会話をしているのかな?
あー、分かる分かる。確かに私よりベリアルの方が強そうだもんね~。初対面で並んでいる所見たら絶対ベリアルの方がダンジョンマスターっぽい……って
「誰が冴えない陰キャじゃーい!」
「!?」
「!?」
「確かにそうですけどね、初対面で指差されて目の前でそんな会話されるのはちょっと納得いきませんから!てか普通に失礼だわ!」
言葉が通じてないのは至って承知だけど、思わず言わずには居られなかった。二人共驚いているようだけど知るか。
事実であろうが相手がイケメンだろうが、初対面から失礼過ぎるだろ!イケメンが何やっても許されると思うなよ!
一先ずこの俺様系のドラゴンくんの名前を付けてしまおう。
そして夕食時までマイホームに引きこもる!丁度マイホームでネットが使えるかも調べたかったし都合が良い。
私はドラゴンくんに近づくと、ドラゴンくんの胸に指を当て、口を開いた
「君の名前はイグニレウス。愛称はイグニで」
イグニレウス。直訳すると火の竜だ。
本当はもっと格好いい名前を考えても良かったけど、初対面相手に失礼なことをするドラゴンにはこの名前がお似合いだ。
名前を付けた事で無事に<契約>が結ばれた事だし、さっさとマイホームに引きこもってしまおう。
<契約>が結ばれたことで誰がダンジョンマスターなのかようやく理解して目を丸くしているドラゴン…もとい、イグニを一睨みした後、ベリアルの方を向いて言った。
「じゃあベリアル。」
「**。***アイネス」
「イグニの新人研修。よろしくね」
「**。」
「******!?」
ベリアルが一礼したのを確認すると、私はスキル<ホーム帰還>を使って扉を召喚した。そしてぼーっとしていたゴブ郎くんに声を掛け、さっさとマイホームに引っ込んだ。
マイホームに入った私は、苛立ちを抑えられないままベッドにダイブした。
こうなったら夕食はカレーにしてやろう。しかも野菜たっぷりのカレーだ。肉好きだろうドラゴンには嫌かろう。更にイグニのカレーだけ辛口にしてやる。初めての辛口カレーでひぃひぃ言ってしまえば良いんだ。
夕食のメニューも決まったことだし、時間がある内にマイホームの方も住みやすいように色々置いてしまおう。
こういうのは忙しくなると後回しにしてしまって、後々後悔することになるからね。
まずはクッションから選んでいこう。
<ネットショッピング>でクッションを検索して…。
***** *****
「楽園はここにあった」
「ぎゃう~♪」
私とゴブ郎くんは、今このうえない程の充足感を感じていた。
エアコンの効いた適温の部屋に、自分好みのデザインの家具。
クッションも触り心地の良い物を厳選した。
高校生の私では決して手を伸ばせなかったであろう大型液晶テレビ。
ゲーム機は各種揃えられ、ソフトも収納ケースに綺麗に整頓されている。
棚の中には好きな漫画やラノベが最新刊を含め全巻揃っている。
キッチン用品も使い勝手の良い物を揃え、食器もシンプルかつ高級すぎない物。
そして、私が前の世界で持っていた最新ノートパソコン!
マイホームに入って数時間もの間、私は<ネットショッピング>を駆使して、マイホームのインテリアを私が望む感じに大変身させたのだけれど…想像以上に住心地の良いマイホームになった。
ヤバいなこのスキル。引きこもりには超絶便利すぎる。
ダンジョンリフォームの時に<ネットショッピング>を色々見てみたけど、この<ネットショッピング>、本当に何でも揃っているのだ。
食品や生活用品は勿論、プロジェクターや家具など、ありとあらゆる物が注文できる。普通だったら規制が掛かってしまうであろう、いかにも武器っぽい物も注文出来る事には流石に驚いた。逆にそんな何でも買える<ネットショッピング>でも買えない夢の国のロボットは凄いな。技術は金では買えないということか。
しかも、注文した物は此処の世界でも使えるようになっているので、元の世界と変わりなく使うことが出来る。
異世界転移したら絶対に使えないだろう地球のインターネットにもアクセス出来るし、テレビだって地球の番組を見ることが出来る。
漫画の最新刊もリアルタイムで手に入れる事が出来る。
出来るだけ外に出たくない引きこもり志望の人には素晴らしすぎるスキルだ
更にインテリアを変えている途中で、<オペレーター>の方から連絡があった。
『報告。スキル<ホーム帰還>のスキルレベルが上がりました。』
「マ!?」
どうやら、この2週間で付属スキルの<ネットショッピング>を使いまくっていたお陰でスキルレベルが上がったらしい。
早速ステータスを確認させてもらうと、確かに<ホーム帰還>のスキルレベルが2に上がり、新しい付属スキルが1つ増えていた。
<リフォーム> LV1 ユニークスキル【ホーム帰還】の付属スキル。マイホームを改築する事が出来る。
どうやらスキル<カスタム>のマイホーム版のようだった。
早速調べてみると、新しく部屋を作ったりお風呂場やキッチンをグレードアップしたりすることが出来るようだった。
ただ<カスタム>と違って今のスキルレベルでは改築出来ない場所や限度があったし、改築にはポイントが必要らしい。
ポイントはどうやら<ネットショッピング>の注文する毎に注文した物に合わせたポイントが手に入るらしい。
ダンジョンの改築に使うのがダンジョンポイントなら、マイホームの改築に使うポイントがリフォームポイント…略してRPと言った感じだろうか?ホームポイントだとHPになってしまうので敢えて変えてみた。
DPにRP…これらの数字は全部メモに残した方が良いだろう。こういうのは記録に残していないとあるだけ使ってしまうのが人の性だからね。
取り敢えず今あるRPは全てリビングと風呂場のグレードアップに使った。
ゴブ郎クンと一緒に寝泊まりしてる時から思ってたけど一人とゴブリンに6畳は流石に狭かった。あといい加減トイレとお風呂は別々に分けたかった。
リフォーム自体は決定ボタンを押したら大きな音と共に一瞬で終わっていた。
いつの間にか6畳程度しかなかったリビングは8畳になって少し広くなり、お風呂はトイレと別々に分けられていたのだ。
正直マイホームのリフォームって何処に頼めば良いんだろうと思っていたので、結構ありがたいスキルだ。
ありがとう<ホーム帰還>の創造者さん。そこまで気が回るのに何故<ネットショッピング>を買い物数無制限のバグスキルにしてしまったのか。
それにしても、<ネットショッピング>でRPが貯められるのは良い事だ。
なにせこのダンジョンの宝箱の中身は全て<ネットショッピング>で購入した物ばかり。
ダンジョンに人を呼んで宝箱の物を取らせて、その分<ネットショッピング>で物を補充すればRPも溜まるという訳だ。
そしてその貯めたRPでマイホームを更に良い物へとリフォームが出来る。
なんだそれ、私にとってかなり好都合な循環じゃないだろうか?
ちょっとご都合的過ぎて逆に何かあるんじゃないかって警戒してしまう。
ダンジョンリフォームに引き続きマイホームのリフォームを終え、一息つく私とゴブ郎くん。
この異世界に来てこの上ないくらいリラックスしている。
「いやー、広くなった部屋は良いよね~」
「ぎゃう~」
「でもなぁ、なーんか忘れてるような…」
「ぎぎゃ?」
何を忘れているのかを思い出そうと柴犬型もちもちクッションを抱きしめながら考えていると、ふと電撃が走るように何を忘れていたのか思い出した。
「カレー作り始めるの忘れてた!!!」
カレーやシチューはルーを使っても時間と手間が掛かる。しかも食べるのは大人数な上、大人も子供もみんな大好きカレーだから多分誰か一人はお代わりする。
大人の男性と高校生の女子とじゃ食べる量も違うだろうし、10人分以上は作らなきゃならない。
そうなると早めに下ごしらえを始めなければならないのだ。
私は慌てて立ち上がり、カレーライスを作るために急いでキッチンへと向かった。
それを見たゴブ郎くんは、私の後を追いかけるように立ち上がって付いてきたのだった。




