炎のスケアリー
スケアリーは奥の洞窟の壁を触る。
すると、何かのスイッチがおされたのか地響きが鳴り響く。
「うおっ、かっけえ! すっげえ! まさにファンタジー!」
「この仕組みはいいよね」
なんだか秘密の部屋に入るみたいな感じだ。
こういうの興奮するよね。たとえば部屋でも本を押したら扉が開くとかそんな仕掛け。ああいうの私は心躍るよ。
私はうきうきしながら洞窟の壁が開くのを待った。
開き終わると階段があった。
スケアリーはたいまつを取り出し火をつける。
「暗いから足下に気を付けろよ。俺もここからは初めてだからな」
「あ、うん」
私たちはゆっくりと下に降りていく。
開けた場所にでると、なにやら石の台があり、その上には丸っこい赤い石が三つほど乗っていた。その石は透けてて、中で火が燃えているような感じなのと、はてなマークがついてる石が二つある。スケアリーは燃えているのをとった。
「その二つはお前らにやるよ」
「あ、いいの?」
「付き合ってくれた礼だ。俺はこれでいい」
と、スケアリーはその石を飲み込んだ。
その瞬間、スケアリーの体が光っていく。スケアリーの顔がすこしひび割れていき、そこからは赤い炎が見えていた。
どうやら進化したようだ。
「ふはっ、ふははは! ついに進化を遂げた! 人は進化の歴史だ! 俺は進化したのだ!」
「うおー、興奮しちゃってぇ」
「ねえ、ミーミル。私とクシナダで使っていいでしょ?」
「あー、いいよ。私はもう進化してるし」
「感謝するぞミーミル、ミカボシ! おかげで俺は進化出来た」
と、口から少し炎を吐き出しながらそういった。
審美眼で彼を鑑定すると、種族は炎人という種族らしい。
「スケアリー。ここで手合わせする? 何ができるか把握するために」
「ああ。頼もう」
「よし、じゃ、さっきのところまでいこっか」
私とスケアリーは対峙する。
上を見上げるとそらが暗くなっており星が見えている。私は月の重力が発動できる条件を満たしている。
「なるべく殺さないようにね。じゃ、はじめ!」
ミカボシがそう号令をかけた。
スケアリーは口から火を噴き出す。私は月の重力で軽くなって躱す。
「と、飛んでる?」
私はそのままスケアリーめがけてつっこみ、スケアリーの腕を掴んだ。
すると、私はダメージを受けていた。
「あっつい!」
「どうやら体温が上がっているらしい。これじゃ馬に乗れねえな」
「迂闊につかめないね」
「だが、こういうこともできる」
と、スケアリーが私の腕を掴んだ。その瞬間、スケアリーの体から火が上がり、私の体が燃える。ひ、火だるまかよ!
そっか、全身から炎が出るのか! これはこれで厄介だ。それに、熱い! ダメージが本当に尋常じゃない。
「くっ、離れろ!」
私は突き飛ばす。
すると、スケアリーは口から火を噴き、レイピアに火をまとわせた。
「ファイアーレイピア…」
「ま、これで勝負は決しただろう。お前を殺すわけにはいかないからな」
「ふ、ふぅ。強いね…。手も足も出なかったよ」
私もちょっと天狗になってた気がするよ。どんな相手にも勝てると思ってたよ。ここまで完封されるとは思わなかった。
「ミーミルが負けるなんて珍しい」
「本気で戦ってないからだろう」
「ま、本気を出しちゃうと一撃で死んじゃうような威力だし」
私はポーションを飲んだ。
「帰ろう。帰りも魔物出るだろうし気を付けていこうね」




