炎鳥フェニクス
私たち三人は洞窟の中を進んでいく。
スケアリーも結構な手練れなようでモンスター一体くらいならなんとかなっているようだ。
「やはり。お前らは強いな」
「そう? 照れるな」
「強い人間は嫌いじゃない」
そういいながら進んでいくと開けた場所についた。
洞窟内だが、上には穴が開いており空が見渡せる。足場があり、その周辺にはマグマが流れていた。暑いようでスケアリーの体から汗が噴き出ている。
「ここが奥みたいだけど進化の石見当たらなかったね…」
「そうでもねえぞ。だがしかし、厄介なもんがいる。それに俺は負けて死にかけたがな」
「死にかけ…?」
その時だった。
上から燃え盛る鳥が下りてくる。翼が炎で出来ており、体は毛でおおわれている。鋭い目つきで私たちを睨みつけてくる鳥。
「フェニクス…」
「そう。不死鳥フェニックスのなり損ない、炎鳥フェニクスだ」
「ややこし…」
私たちはナイフを構える。
「覚悟はできてるかテメエら! こいつを倒さなきゃ進化の石は手に入んねえぞ!」
「こいつが落とすの?」
「違え。こいつはいわば門番みたいなもんさ。進化の石を守る門番さ」
なーるほど。番人か。ま、進化の石みたいなプレイヤーなら誰もが欲しがるであろうものはそう簡単に手に入るわけがないっていうことだ。
フェニクスは高い鳴き声で私たちを威嚇する。
「行くぞ!」
と、レイピアを構えスケアリーが突っ込んでいく。
フェニクスはスケアリーの攻撃を避けた。私はナイフを投げると、フェニクスの胸のあたりに突き刺さる。そこが急所だよな。死点というスキルで急所が見えるが胸が急所。あとは翼も急所らしいがあの炎を消さない限り急所にはならないのか、点滅している。
「よぉ~し」
ミカボシは弓矢を取り出した。
弓を引き絞り矢を放つ。
「ミカボシ前剣使ってなかった?」」
「私は基本なんでも使えるよ?」
「あ、そうなの?」
「敵によって武器種を変えるのが私だからね」
らしい。
まあミカボシって運動もそれなりにできるし何でも器用にこなすぐらいのスペックはあるからな。器用貧乏ってやつなんだが。
「うーむ。やっぱダメージはそこそこか。じゃ、これだ」
と、ミカボシは大剣を取り出した。
ミカボシは私の手を握ってくる。目で訴えてくるのはあそこまでぶん投げてということだ。私は闇の二面性を発動させる。
ミカボシをフルスイングし、そのままフェニクスに向けてぶん投げる。
「そんな戦い方を…。お前ら頭おかしいな」
と、スケアリーがそんな感想を漏らしていた。
ミカボシは大剣を構え、そのままフェニクスの体を貫く。フェニクスはそれが相当痛かったのか、地面に落ちて、うめいていた。
ミカボシは着地し、私に駆け寄ってくる。私は手を上げ、ミカボシとハイタッチ。
「さっすが言いたいこと分かってたねえ」
「ま、トモダチだからな」
「おい、まだ死んでねえぞ。油断するんじゃないぜ」
「はーい」
私たちはまた武器を構えて突撃していく。
その時だった。フェニクスは叫ぶ。すると、辺り一面が火の海になっていったのだった。火の海になった地面は立っているだけでもダメージを食らっている。
「ちぃ、熱い」
「早期決着しかないね」
「そうだな。行くぞミカボシ!」
「任せて!」
私とミカボシは武器を構えて突撃するのだった。




