幸運の後の不運
私たちはダンジョンから出て、王子の部屋に向かう。
王子にいろいろと説明したら、納得しがたいという顔をしていた。当たり前だろうな…。だがしかし、あれを潰すことは多分神への反逆になるんじゃないかというと素直に受け入れた。
私たちは王城を後にすると、外は月が上っており満月だった。
「今日はもう夜遅いしログアウトしようか…」
という意見がまとまり、私たちは宿屋を取りログアウトすることになった。
私はログアウトしたのは12時を上回っており、明日は球技大会なので体力も残しておかなくちゃななんて思いつつ、下に降りて紅茶を飲もうとすると。
誰かがソファに座っていた。
座っている人はスーツ姿。父さんでも母さんでもない知らない人…。私は警戒しながら声をかける。
「ど、どちらさん?」
すると、男はこちらを見て涙を流し始めた。
「夜分遅くに勝手に入ってきてすいません! 私はアルジャーノンさんの後輩の三菱というんですぅ! アルジャーノンさんに今日は家に泊まれとおっしゃってくれたんでぇ…」
「あー、父さんの…」
「うち、妻が恐ろしくてェ…。離婚しようとしたら殺されかけたんですぅ! 今日だけ! 今日だけでいいんで!」
「まあいいっすけど変な気とか起こさないでくださいね」
「もちろんです!」
というので私は紅茶を淹れ、ソファに座って紅茶をゆっくり飲む。
ポケットに入ってる携帯を見ると確かに父さんから知り合いを今日家に泊まらせると書いてあり、帰るのができないといっていた。
ふぅん。
すると、その時だった。
突然玄関の方からドンドンと強く叩く音が聞こえてくる。
「おい悠馬! てめぇいるんだろ! 出てこいやボゲェ!」
「ひいいい! 妻ですぅ!」
「てめえ離婚するだァ? 許さねえぞゴラァ!!」
奥さんの方は頭に血が上っているらしい。
「とりあえず警察に電話してください。私が対応します」
「でも…」
「こう見えても腕っぷしだけは強いんです」
私は玄関の方に向かい、扉を開ける。
そこには金髪に髪を染めた女が狂気迫る顔だった。女は強引に入ってこようとしたので私が引き留めると私を突き飛ばして来た。
「邪魔なんだよてめぇ!」
「ああ、そうか、い!」
私は足を払うと女はすっ転んだ。
ぎろりとこちらを睨んでくる。私は起き上がり、女の上に乗り腕を後ろで固め、身動きをとれないようにすると、サイレンの音が聞こえてきた。
私は後ろを振り向くと警察関数名が立っており、懐中電灯で照らしてくる。
「不法侵入っす。私の家に無理やり入ろうとしてきて転ばされたんでしめてます」
「…いや、それはいいんだが」
「見事に決まってるっすね…。綺麗というかなんというか」
「とりあえず連れていけ。お嬢さん、どいてもらっても?」
と、私が退けると女は私の胸倉をつかんでくる。そして、頬に一発パンチをしてきたので私はそのままお腹をパンチしてやった。
女は蹲る。
「あ、やり返しちゃいましたけどダメです?」
「先に手を上げたのは女性の方だし構わないけど…。こ、こええ」
「大丈夫かい、頬は」
「まあ」
少し痛いが耐えられるくらいには弱い。
警察は女を連行していく。ったく、ついてない。あんなに幸運だったのになんで今更ついて何んだろうな。
幸運がやってきた後には必ず不運が来るんだよ。なんなんだよったく…。




