我が問いに答えよ
目の前の巨大なゴーレムは私たちの前に立ちふさがる。
すると、ゴーレムは胡坐をかき始めた。
『オレハ、戦ワナイ』
という声が聞こえてくる。
戦わない? ボスなのにか。私たちは剣を抜こうと、腰に手を掴むがそこに武器はなかった。いつのまに取られた?
持ち物の中にも剣などはない。それはミカボシもナエギさんも同じようだった。
『コノ部屋デハ、一切ノ暴力行為ガ禁止サレテイル』
「…じゃあどうやってあんたを倒せばいいの? ここを通るためには?」
『ココヲ通ルニハ、私ガ出題スルクイズニ正解スル必要ガアル』
ということらしい。
クイズで正解したらここを無事通れる、暴力行為は一切禁止、暴力ができないよう武器の類はどこかに行くようだ。
『オマエラハ四人! 四問出題スル! 四人全員正解シタラ通シテヤロウ! タダシ、一人デモ不正解ダッタリ、一人二問答エルノモ禁止スル!』
私たち四人が一問ずつ正解しないと通れない、尚且つ不正解の場合はダメ、ということだ。
「もし禁止行為を犯したり、間違えた場合は?」
『オシオキヲ受ケテモラウ! オシオキハ許サレル!』
オシオキ=死とみて間違いないだろう。
どんな問題が来るかは知らんが…。私と三日月は比較的頭がいいほうだ。私と三日月は。灘は…。灘は…うん。
前の期末テストで後ろから数えたほうが早い成績とだけ言っておこう。
「だれがどの問題を答えるのかも考えないとね…」
『準備ハイイカ?』
「いいっすよ。どんとこい!」
私たちは身構える。
どんなクイズが来るのだろう。
『第一問』
そのゴーレムの無機質な声が響く。
『始まりの街と呼ばれる街の名前はアデリーというが、ならアデリーが属する国の名前を答えよ』
と、急に流暢な日本語になったな…。
国名、国名ね。私今まで調べたことなかったな。王子の苗字でとか考えたがアレクとしか聞いてないのでわかるわけがない。
「ミカボシわかる?」
「私はわかるけど…。簡単な問題ならクシナダに答えさせたいんだよね」
「あー、まあ、そうか。クシナダわかる?」
「どこかで聞いたことはあるんだ。思い出せない…」
『誰ガ答エル? 誰デモイイゾ』
「私が答えるよ」
と、ナエギさんが前に出た。
「ごめんね。私も馬鹿だからこういうのしかわからないんだ。聖シンフォニア王国」
と、ナエギさんは答えると、正解という声が聞こえてくる。
なるほど、覚えた。聖シンフォニア王国、ね。
『第二問』
どうやらこのゲームの知識のクイズか…。
私はこのゲームをやり始めて日が浅いからな…。でもどこかで答えないといけない。どこで私は答えるか…。
くっ、英語なら答えられるのにな!
『聖シンフォニア王国は何年の歴史がある?』
「1087年だ! これはわかるぞ!」
『正解だ』
おお、クシナダここで答えるか。
残り二問。今のところ順調といえる。解答権は私とミカボシだけにしか残っていない。今のところ私が分かる問題はない。いじめですか。
『第三問』
ミカボシと私はゴーレムのほうを向く。
『この国を治める王の名前を答えよ』
「知らねえ!」
「ブロンズ・ハイ・シンフォニア」
『正解だ』
と、ミカボシが答えた。
残りは私一人。最後が私とかめっちゃ嫌なんだけど。私って基本情弱だし調べないでやるからさ…。こういうのに弱いの。
『最終問題』
私は唾をのみこむ。
しょうがねえ、答えるしかねえ!
『王都内に赤い屋根の家は何件?』
と。
最後、みんな知らなさそうな問題が来た。三人を見てみるとえっという顔をしており、全員知らないようだ。私も知らない。
誰が屋根の色なんて数えてるかよ!
「……ええと」
ここは勘で答えるしかねえ!
ちっ、運はいいとはいえ当たるか?
「えっと、407…」
『それでいいのか?』
「構わない!」
私は勘で答えた。正解はどうだろう。




