ダンジョンはいずこに?
出現したと告知されたダンジョン。誰もまだ見つけられていない。
うーん。ヒントぐらいなにかありそうなもんだけどな。こう、やみくもに探すんじゃなくてなにか手がかりというか…。そういうのがあってもおかしくはないはずなんだ。
まずはそれを探したいが、その手がかりつってもなぁ。やっぱり噂しかないか。
私は王都の地図を開く。
王都の地図は王都内の店の名前、ギルドの名前は載っていたりする。職業ギルド、なんてものもあれば冒険者ギルドというものもあるらしい。
ふむ、とりあえず捜査の基本は聞き込みからだよな。刑事ドラマでそう言ってた。
「ダンジョンっていうと冒険者ギルドの管轄か?」
私はそう思ったのでまず冒険者ギルドに向かうことにした。
異世界と言えば冒険者ギルドだからな。このゲームはやっぱり冒険者ギルドも再現している。なんてったって魔物がいるからな…。それを駆除する人がいなきゃダメだって話。
つまりダンジョンが出現したら冒険者ギルドの人たちが安全を守らなくちゃならないってわけだ。
私は冒険者ギルドに赴く。
中に入ると受付があり、騒いでいる人もいた。私は受付に向かう。
「あのー」
「はい、なんでしょう」
「ちょっとした質問なんですけど、ここらへんでダンジョンとか最近湧いたりしました?」
「ダンジョン?」
「王都の中か、王都の付近か…」
「その話は聞いたことがありませんね…。ダンジョンが出没した、という話は耳にしておりません」
「そうですか。ありがとうございます。あと、冒険者たちに不審な動きとかは?」
「いえ、特には…。あ、でも、冒険者たちに話しかけて実力を見せろという人がいますね」
「…その人は?」
「この国の王子様なんですが…」
王子様が?
「ありがとう」
私はそう言って受付を離れる。
王子様がなんで実力を知りたがっている? なにかと戦うつもりなのか。怪しい。そういえばさっきもどこかにでかけていた。
私を轢いたときも馬車でどこかに出かけていた。一国の王子というものがそんな出歩いていいのだろうか。
怪しい。
「まずは王城に向かうか…」
あのアレク王子。何を考えているんだ?
冒険者たちの実力を聞くような真似して。何かと戦う…。いや、もしかすると。
「ダンジョンの入り口って王城の中にあるんじゃないか?」
誰もかれもが好き勝手入れないからこそ、報告例がないんじゃないだろうか。
王城は警備がかたいのと、誰でも入れるわけじゃないからな。むしろなくて当たり前なのかもしれない。王国としては速やかに処理したいダンジョンだからこそ実力者が必要だったんじゃないだろうか。
「だけどまだ推測だし、怪しく思えてきたのはこのダガーだ」
私は自分の武器を見て言う。
今考えれば普通の武器屋にこんなSランクの武器があるのもおかしい話だ。こんな武器どこから仕入れた? 周りは高くてもAランクの武器だった。
武器屋の人に話を聞いてみよう。もし、仕入れ先が貴族、もしくは王族、王城関係者だと疑惑がかなり強まるな。
私は先日武器を買った武器屋に行く。
武器屋に入ると先日対応した店員がいたので、話を聞いてみることにした。
「あのー、先日このダガーを買った者なんですが」
「はい? どうなされました?」
「このダガー、どこで仕入れました?」
そう聞くと、店員は裏に向かって何やら紙を持ってくる。
「えっと、エリザベート・ハードル公爵令嬢様ですね。私にはいらないものだから買い取ってほしいと言われ買い取りました」
「貴族…。なるほど、ありがとうございます」
エリザベート令嬢。第一王子の婚約者だ。
なるほど、やっぱりそうなのかもしれないな。




