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アンダーワールドクロニクル  作者: 鳩胸 ぽっぽ
王と私たち、王都と始まりの街
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ムカつくことは再び

 昨日はあの男に殺されてすぐログアウトした。

 夜も遅かったこともあるがそれ以前にムカついたのでふて寝することにしたのだ。ホントにムカついたからな…。


 だがムカつくことはまだ続くわけで。


「おいアゼリア」


 と、私が廊下を歩いていると吉崎に声を掛けられた。

 先生という立場もあるので私は無視するわけにもいかず振り向くと、吉崎は私の髪を掴む。


「いつまで金髪に染めてるままなんだ? 黒に染めろといったよな?」


 と、黒い染髪スプレーをかけてくる。私の頭が変に黒くなったのだ。

 

 私は思わず頭を触る。

 黒いものが私の手につき、スマホを内側にして自分の姿を確認すると、私の髪が変に黒くなっていた。

 私は思わず叫んでしまう。


「テメエ! 何してくれんだこの野郎!」


 私は思わず吉崎を殴った。

 吉崎は吹っ飛んでいき、私はその場に泣き崩れる。私だって外国人であるか否かの前に女の子だ。髪だって大事。

 私は変に染まった黒い髪を見る。


 私が泣いていると先生方がやってきた。


「どうした!?」

「そ、そこのアテナに殴られたんです! 退学だ! 退学にしてやるからな!」

「アテナさん。なんだいその髪…」

「吉崎先生に、スプレーで…」

「そ、そいつを生徒指導室に連れていけ! さっさと!」


 女の先生が私に駆け寄る。


「これ髪を染めるスプレーだわ…。外国人だから金髪は少なくないでしょうに…。勝手に染めようとしたのね」

「吉崎先生。話がありますからあとで職員室へ。悪いけど三村先生、アテナさんを頼めますか?」

「任せてください。…それにしてもひどいことするわね」


 私は三村先生に介抱されながら保健室へ向かう。

 保健室に行くと養護の先生が私の髪を見て驚いていた。


「うわ…ひどい染めようだね。どうかしたの?」

「吉崎先生がこの子に無理やり髪を染めるスプレーをかけまして…」

「それはひどい…。とりあえず落とさないと髪が痛むよ。それに制服にもかかってるし…」


 私は一通り泣き、泣きつかれたので泣き止むことにした。

 まだ泣きたいが、泣いたままだと終わらない。解雇されるだけで終わると思うなよ。


「すいません、ちょっと電話しますね」


 私は携帯を取り出し、母さんに電話をかける。


「はいもしもしぃ?」

「あ、母さん。ちょっと学校に来てもらえる?」

「ん? あー、今? いいわよ。暇だし娘のためならば!」


 というので電話を切った。









 私の母さんは私の髪を見て驚いていた。


「誰にやられたの!?」

「吉崎先生って言う人。訴えられるよね?」

「そりゃもちろん。で、吉崎先生はどこに?」

「今応接室に呼んでまいります」


 そういって三村先生が呼びに行った。

 応接室には校長と私の母親、私、吉崎先生が座る。


「私は髪を染めてこいと言って染めてこなかったのでしたまでです! 聞かないほうが悪いでしょう!」

「それの何が問題が? 私たちは外国人です。外国人なら金髪でも不思議ではないでしょう」

「ですが一人金髪だと…」

「校長。校則を見るに染髪は華美なものでなければ許可すると書いてますよね。地毛で金髪ならばそれはどうでしょうか?」

「地毛ならば問題ないでしょう。吉崎先生。今回あなたがやったことは大変ひどいことだ。処分は相応なものとなるでしょう」

「あ、私こういうものですから」


 と、母親が名刺を渡す。


「べ、弁護士…?」

「はい。訴えますからね。クビになるだけで済むなんてことはさせませんから」

「も、申し訳ありませんでした! 裁判だけはっ…!」

「それはおいおい話し合いましょうか。あなたのせいで娘は大変傷ついたんです。それ相応の罰は受けてもらいますからね」


 そういって私は母に連れられ応接室を出ていく。


「すいませんが娘は今日早退させますね」

「はい。うちの吉崎が大変申し訳ありませんでした」

「吉崎先生以外はいい先生みたいだし気にしてないわ」


 私は母の車に乗る。


「…ありがと」

「アテナちゃんのためならいいのよー」


 少し、母が好きになった。



























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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] 親が弁護士、強い…それも母親、強い(▔•ω•▔) あの日言っておいて良かったね。
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